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February 21, 2010

番外編 日本オペレッタ協会「チャールダーシュの女王」

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今回、お家芸のアルペンスキーで、なかなか金メダルが取れないオーストリアでしたが、女子スーパー大回転でAndrea Fischbacher 選手がやってくれましたね crown 。一方、選手層が厚く、期待されていたジャンプ・ラージヒルはGregor Schlierenzauer 選手が銅メダルでしたね(しかし、4位と5位がオーストリアだったので、本当に残念 weep )。

さて、このところご無沙汰していた日本オペレッタ協会さまの公演ですが、2月19日~21日の3日間、東京都北区の「北とぴあ」(小ホール、定員420名)で「チャールダーシュの女王」が上演されました。

実は、「チャールダーシュの女王」を日本に紹介するためにご尽力されたのが、現在、日本オペレッタ協会を率いている寺崎裕則さんです。フォルクスオーパーが1982/1983シーズンにプルミエを行った作品を寺崎さんが現地で観て、そのすばらしさに感動。1985年のフォルクスオーパー来日公演の演目に加えてもらったというものです。

ところが、今まで日本オペレッタ協会さまでは、意外なことに「チャールダーシュの女王」を上演したことがなかったのですね。

さて、今回、台本・演出は寺崎裕則さん、指揮は松岡 究さんが務めました。主なキャストは、シルヴァ役は砂田恵美さん(19日・21日)と針生美智子さん(20日)、エドウィン役が田代 誠さん(19日・21日)と小貫岩夫さん(20日)、スタージ役が大塚幸子さん(19日・21日)と小泉英恵さん(20日)、ボニ役が安冨泰一朗さん(19日・21日)と武井基治さん(20日)、フェリ・バチ役が小栗純一さん(19日・21日)と坂本秀明さん(20日)、ジギ・グロス役が阿部六郎さん、リッペルト侯爵レオポルト・マリア役が島田啓介さん、アンヒルテ役が中川眞主美さんという面々でした。

オペレッタ協会さまの公演ではおなじみのベテラン歌役者の皆さんが多いですね。

舞台構成は1幕60分、休憩を挟んで2幕・3幕が70分でした。という訳で、ダイジェスト版ではなく、正規版での上演となっています。もちろん、オペレッタ協会さまお得意の完全日本語版上演です。

ところで、今回の演奏ですが、ピアノ1台とヴァイオリン1弦でした。正直、これにはビックリしました。以前は、アンサンブル程度のメンバーが揃っていたのですが…「ガラコンサートの伴奏」と言った感じで、これに指揮者がついている訳ですから、ちょっと寂しかったですね。

また、バレリーナ4名は参加していたものの、合唱団などはゼロですから、当然、演出にも影響がでます。

具体的には、1幕でエドウィンをウィーンに引き戻すためにやってくるオイゲンがいません。そこで、何とリッペルト公爵夫人(アンヒルテ)が電報を持ってオルフェウム劇場にやってくる設定になっていました。そこで、オルフェウム劇場の支配人ジギ・グロスにエドウィン召還の電報と、ボニに渡す婚約の電報を託します。

なお、キャストが少ないため、ジギ・クロスは1幕では劇場支配人ですが、2幕ではリッペルト侯爵邸の執事(そのため、1幕でリッペルト公爵夫人に会った際、電報を渡す代わりに執事への登用を依頼しています)、さらに3幕ではグランドホテル・ウィーンにあるバーの支配人になっています。

その関係で、リッペルト公爵夫人は1幕で「元チャールダーシュの女王」であったことが、ジギ・クロスとの会話で披露されます。

演出そのものは、寺崎さんがフォルクスオーパー版に惚れ込んでいることもあり、キャストの変更による曲目順やお芝居の内容改訂以外はオーソドックスなものでした(グラーツ歌劇場のペーター・コンビュチュニー版を観た後だと、マイルド過ぎて刺激が足りなく感じてしまうほどです。つまり、それだけ良い演出だったという意味ですよ coldsweats01 )。

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また、伴奏がピアノとヴァイオリンだったため、歌手の皆さんの声は会場内に良く届いていましたね。また、シルヴァ役の針生美智子さん、エドウィン役の小貫岩夫さん、スタージ役の小泉英恵さん、ボニ役の武井基治さん、フェリ・バチ役の坂本秀明さんなどは、寺崎さんが目指している「歌って、踊って、お芝居ができる歌役者」として存在感を発揮していました。このあたり、元ブダペスト・オペレッタ劇場の音楽監督だったカタリンさんとの交流が成果につながっているのだと思います。

ただ、Feri個人の見方なのですが、エドウィンは「お金持ちのぼんぼん」なので、優柔不断。だから、ウィーンへの召還電報を見て、シルヴァへの結婚をやっと決断できた…と思っていました(というか、この方がオペレッタ的には「絵になる」と思いますので)。今回は、召還電報は、シルヴァへの婚約証書が出来上がった後に、ジキ・グロスから手渡され、悩むことなくさっさとウィーンへ行ってしまいました。このほか、リッペルト侯爵邸でのエドウィンは、結構きりりとしていて、何でもさっさと自分で決めることができるような性格描写になっていました(本人が決められないで、ボニやフェリ・バチなど、周囲の仲間がヤキモキする…という展開が好きなのですがテント年)。

逆に、ボニの方が頼りなさそうな感じでしたね(いい人というイメージは強かったですが…)。Feriは、ボニについてはフォルクスオーパーでのフルテンシュタイナーさんのイメージが強いためか、エドウィンよりもしっかりしている印象がありますね。

このほか、シルヴァですが、マイルドな感じに仕上がっていました。これは、演出の関係だと思うのですが、個人的には感情の起伏をもっと出してもらうと、お芝居がしまったような気がします。

また、残念だったのは、演奏や合唱が入らなかったことです。財政的な事情が厳しいのはよくわかりますが、これではソロ歌手の皆さんがすばらしくても、魅力は半減してしまいます。また、初めてオペレッタを観るお客さまには、「オペレッタというのは、少人数の伴奏で行う音楽劇」と誤解を与えてしまう恐れもあります。Feri自身、最初にフルオーケストラ、見事なソリスト、合唱団、バレエ団が総出演する見事な舞台を観ることができたから「はまった」訳ですからねぇ。最初が肝心なのですよ。せめて、今回、なぜこういった編成でやっているのかというお話が事前にあれば、初めての方の誤解は解けたと思います。

また、オペレッタ協会で公演実現に尽力しているメンバーの方だと思うのですが、早い段階から手拍子を入れてくるのが気になります。本来、手拍子はリフレイン(繰り返し)の時に入れるのが一般的です。最初はじっくり歌を聴き、リフレインで盛り上げる…当然、オペレッタファンの協会メンバーならばご存知だと思うので、この当たりをご配慮頂けると、より楽しめるような気がしています。

ところで、会場内でお客さまの会話を聞いていると、知り合いが出ている(協力している)縁で来場された「オペレッタ初めて組」や、オペレッタは何回か観ているものの「チャールダーシュの女王は初めて組」といった皆さんが意外と多いようでした。確かに、今の日本国内では「チャールダーシュの女王」はほとんど上演されませんから、観る機会もないですよね。

今回、A4サイズの立派なプログラム(作品・楽曲解説が充実しています)が無料で配布されました。しかし、できれば、開場後、開演までの時間を使って寺崎さん当たりが、簡単な解説をして頂けたら、初心者の方ももっと楽しめたと思っています。

例えば、「物語のあらすじや聴き所」、「題名のチャールダーシュとは何なのか」、「ヤイ・ママンとは、どういう意味なのか」(Feriの後ろに座っていた若い女性グループは「良いママ」の歌じゃないの…と言っていました coldsweats02 )など、自身がお持ちである豊富な知識の一端をご披露頂けるとオペレッタファンの拡大につながったような気がします。

オペレッタファンとして、最近のオペレッタ協会さまの公演を観ていると、予算的に厳しいため、小劇場で小規模メンバーでの上演(オケ、合唱なし)→入場料収入減+オペレッタの魅力半減→お客さま減という悪い循環に陥っているような気がしています。

寺崎さんが、「もう、このレベルのアンサンブル・オペレッタでよい」と思っているとは考えられないので、是非、オペレッタファン拡大に向けた工夫をして頂けたらと思っております。

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Comments

Feriさま
まさに神出鬼没、先週末は日本にいらっしゃたのですね。私も20日(Feriさんと同じ日?)に王子まで行ってきました。もともとよく出来た作品ですので、それなりに楽しめましたが、一方でFolksoper(WVO)の公演をもう一度見てみたいという欲求不満的な気持ちが強くなりました。
前回話題になった1985年の来日公演放送(なぜかプログラムにこのときの写真が数枚つかわれていましたね)をきっかけに、都合3回WVOのチャールダーシュの女王の公演を見ていますが、WVOからこの演出が消えるとしたらさみしい限りです。3日間ほぼ満席のようでしたから、日本でもフル規格での公演がもう少しあってもいいのではないかと感じます。

Posted by: Zsupan | February 23, 2010 at 09:45 PM

Zsupanさま、コメント、ありがとうございます。

以前は、日本オペレッタ協会さまがオーケストラ、合唱団、バレエ団をフルに揃えて上演していましたよね。それを規模縮小した理由は、恐らく財政的な事情が大きいと思っています。この当たり、部外者の私には、どの程度、大変なのかわかりませんが…

私もフォルクスオーパーの「チャールダーシュの女王」は、ぜひぜひ観たいです。

で、問題は2010/2011シーズンにカールマンものが復活するかどうかですね。この前、マイヤーさんにお会いした際、“カールマンの作品が好きなので、今シーズン、なくなってしまって寂しい”と言ったところ、“忘れていませんよ。もうちょっと待って下さい”と言っていました。

とりあえず、来シーズンのプログラム発表を待ちましょう。

Posted by: Feri | February 23, 2010 at 11:03 PM

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