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February 04, 2010

グルベローヴァさん、デビュー40周年

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今日は「オペラの話題」をお届けしましょう。

お歳を召しても、すばらしい歌声と歌唱技術で抜群の存在感を示すディーヴァ、エディタ・グルベローヴァさんですが、だんだんオペラへの出演が減ってきているようです。確かにオペラで、タイトルロールクラスになると、体力を使いますからねぇ(一晩で数キロ体重が落ちるとも言われています)。

国立歌劇場2009/2010シーズンで、1シーズンぶりにベルリーニ作曲の「清教徒」が上演されることになりました。「清教徒」もグルベローヴァさんお得意の演目です。2007/2008シーズンでは4回上演されたのですが、今回は3回と少なくなっています。これも負担軽減のためでしょうかね。

さて、2010年2月3日、国立歌劇場で上演された「清教徒」への出演で、「デビュー40周年」を達成されました。これはすごい記録ですね。そのため、2月3日の「清教徒」は、デビュー40周年記念公演となりました。

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現時点では何とも言えませんが、グルベローヴァさんが出演する「清教徒」のウィーンでの上演は、今回が最後になる可能性があります。という訳で、Feriも観てきました

指揮はJan Latham-Königさん、ジョルジョ役はChristof Fischesserさん、アルトゥーロ役はShalva Mukeriaさん(2006年3月に起用された歌手、そのときが初出演)、リッカルド役はBoaz Danielさん、エルビィーラ役はEdita Gruberovaさんという面々です。

前回の公演とは出演者ががらりと変わっています。興味深いのはアルトゥーロ役のShalva Mukeriaさんは2006年3月にも代役で、急きょ同じ役に出演していることですね。

さて、毎回、ご紹介していますが、国立歌劇場の「清教徒」ですが、Feriは、正直、舞台装置が好きになれません。というのは最近流行の抽象的なスタイルだからです。「ルチア」のような舞台装置ならばご機嫌なのですがねぇ

さて、第一幕第一場は、エルビィーラの見せ場(聴かせどころ)が少ないのですが、それでもグルベローヴァさんならではの音域の広さ、オーケストラと一線を画した音質により、際だった存在でしたね。しかし、第一場の舞台装置(首をはねられた像が並ぶ)は、何度観ても好きになれません。第一幕最大の見せ場は、第三場の「狂乱の場面」でしょう。アルトゥーロに裏切られたと思い込んだエルビィーラが正気を失う場面は、まさにグルベローヴァさんならではの「迫真の演技」です。

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前回のアルトゥーロ役はバルセロナ・リセウ劇場で競演したJosé Brosさんでしたが、今回のShalva Mukeriaさんもなかなか見事でした。2006年に比べると、格段に良くなっているような印象を受けました。またリッカルド役はBoaz DanielさんもFeriが考えていた以上に良い出来でした。

当然ながら、この場面では、拍手のフライングはゼロ。オーケストラの伴奏が終わった瞬間から、「ブラヴァの嵐」となりました。第一幕第三場が終わったところで、休憩となるだけに、このシーンは強く印象に残りますね。

第二幕では、アルトゥーロの死刑宣告を聴き、エルビィーラが錯乱状態を示す場面が聴き所です。第一幕第三場に続いて、グルベローヴァさんの歌唱力と演技力を見せつける場面です。ここの演出は、暗い舞台の奥がちょっとだけ開いて、赤い光を背に受けてシルエット状態でエルビィーラが出てくる…という印象的なものです。演出効果が高いだけに、ここでも「ブラヴァの嵐」で、しばらく中断し、結局、舞台奥から再度登場するまで、拍手が鳴り止みませんでした。歌唱力は全盛期よりは落ちているのは間違いないのですが、それを技術でカバーしているところがすごいね。

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さて、第三幕の目玉は、アルトゥーロとエルビィーラの二重唱です。アルトゥーロ役のShalva Mukeriaさんもレベルが上がり、 単なる引き立て役になっていなかったところが、印象的でした。「清教徒」は、いわゆる「狂乱もの」の中では、テノールが活躍する場面が多いだけに、共演者のレベルも重要になってきます。その点、今回のキャスティングは、なかなか良かったですね。

ところで、今までの演出では、最後にシュチュアート王家が滅び、アルトゥーロとエルビィーラが結ばれるのですが、嫉妬心に燃えるリッカルドにアルトゥーロが刺され、絶命する形でお開きになる…というオリジナルとは異なる悲劇的な結末になっていました(しっくり来なかったのですよねぇ)。しかし、今回は、アルトゥーロがリッカルドに刺されるシーンがなくなっていました。何らかの理由で変更されたのだと思うですが、国立歌劇場では珍しいですね。個人的には、今回の演出の方が好きです。なお、これに伴って、最終部分の展開が若干変わりました(以前はアルトゥーロが刺されてから、エルビィーラが狂乱状態で歌ってエンディングでした。今回は、エルビィーラが歌ったあと、アルトゥーロと抱き合ってエンディングとなりました)。

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さて、例によってカーテンコールのすさまじいこと。最初にグルベローヴァさんが登場した時は、花束が多数投げ込まれていました。その後も、怒濤の拍手で、都合5回以上、カーテンコールが行われました。“エディータ”というかけ声も飛んでいましたね 。さて、おなじみのファンクラブの皆さまも、大挙して、来場していました。

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もちろん、例によって楽屋口にも多くのファンが集まっていましたね。しかし、1月25日と31日は終演後、例によって守衛所で特設サイン会が行われました。ところが、2月3日は、公演終了後、プライベートパーティが開催されたようで、特設サイン会は行われませんでした

来シーズンからは国立歌劇場の総裁、音楽総監督が代わるので、運営方針も変更されると思います。さて、新シーズンでもグルベローヴァさんの活躍を観ることができるか…ちょっと心配です。


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Comments

Feriさん、saraiです。

そういう記念公演を見られて、羨ましい限りです。
40年ですか!
saraiが初めて彼女を聴いたのは1990年のバルセロナのリセウ劇場でのツェルビネッタでした。以来、2008年のドレスデンでのルチアまで、随分、楽しませていただき、感動もしました。
40年のうちの後半20年ですね。

感心するのは、いつも安定して、良い出来だったことです。例外はヴィオレッタだけ?
なかでも、最高だったのは、やはり、ツェルビネッタとルチアでした。みなさんもそうでは?

saraiはもう十分楽しませてもらったので、最高だったドレスデンでのルチアでグルヴェローヴァは封印かなと思います。

大好きだったフレーニと並び、60過ぎても立派に歌うグルヴェローヴァ。

今が旬なフリットリとネトレプコははたして、いつまで歌えるかしら?

では、また。

Posted by: sarai | February 05, 2010 15:35

saraiさま、コメント、ありがとうございます。

Feriもツェルビネッタ役は好きですが、実は私がウィーン国立歌劇場で最初に見たグルベローヴァさんは「ロベルト・デヴェリュー」(エリザベッタ役)でした。

ちょうど、エリザベッタの実年齢と近くなっていたこともあり、女性の情念を見事に再現しており、一発で「虜」になりました。とくにエンディングの髪をむしり取り、絶叫するシーンは、今でも強く印象に残っています。

また、グルベローヴァさんのすごいところは、あのお歳になっても若い女性役を演じることができる点でしょうね。

昔と今では、歌手を取り巻く状況が全く違うので、長く歌える歌手が今後、どの程度、出てくるか非常に興味があります(歌手を消耗品のように扱う流れに若干の違和感があるのですが)。

しかし、グルベローヴァさんの「生オペラ」を観ることができる時代に生きていて、本当に幸せです

Posted by: Feri | February 05, 2010 17:40

お久しぶりです。
以前ネトレプコのルチアの時にコメントさせていただいて以来、ご無沙汰しておりました。
グルベさまの「清教徒」1月30日に観ました!
あまりの素晴らしさに思わず拝んでしまいました^^。
演出は訳分からないものですが、どうでも良いです。
30日はBoaz Danielが途中一瞬声が出なくなってしまったのですが、ご覧になった日は大丈夫でしたか?
この方はウィーンを中心に活躍してるようですが、なかなか魅力ある声の持ち主ですね。
グルベさまはミュンヘンとウィーン以外コンサート形式がほとんどですから、今後もウィーンで歌い続けていただきたいと私も願っております。

Posted by: kametaro07 | February 07, 2010 01:15

連投で失礼いたします。
「清教徒」観たのは30日ではなく25日でした^^;

Posted by: kametaro07 | February 07, 2010 01:21

kametaro07さま、コメント、ありがとうございます。

すでにおわかりかもしれませんが、30日と3日の2回観ています。Boaz Danielさんですが、私が観た2日間は非常に良い出来でしたね。

グルベローヴァさんですが、バイエルン以外では、今年6月、ドレスデン・ゼンパーオーパーで「Lucrezia Borgia」への出演が予定されているようです。また、ファンサイトによると2010/2011の国立歌劇場も「Lucrezia Borgia」のようです。

Posted by: Feri | February 07, 2010 08:26

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