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February 14, 2010

壮絶新演出 グラーツ歌劇場「チャールダーシュの女王」(その2)

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バンクーバーで冬季オリンピックがはじまり、こちらオーストリアでは地元選手の活躍に期待が集まっています。ジャンプのノーマルヒルでは、銅メダルでしたね(ちょっと残念 wink )。さて、「オリンピック」には関係なく、今日も引き続くオペレッタの話題です。

今日は、グラーツ歌劇場「チャールダーシュの女王」(その2)をお届けします。

休憩を挟んだ二幕後半は、皆が塹壕に入り、蓄音機で「チャールダーシュの女王」の音楽を聴いている場面から始まります(この当たりは、なかなか風情があって良いのですがね)。二幕後半の見所は、エドウィンとシルヴァ、ボニとスタージの四人が一緒に歌う場面ですね。

普通、エドウィンはシルヴァが好きだが、スタージにも気がある…ボニはスタージが大好き…この気持ちを踊りながら歌い、表現するという場面です。が、ここでスタージとシルヴァが大げんかを繰り広げてしまいます。お互いに自分の恋人をとられてたまるか…という「女の情念」が出たすさまじいバトル angry 。貴族の気品や情緒などまるでありません。

さらに、四人が歌っている場面に負傷兵が担架で運び込まれてきます。ボニが兵士の頭に手を当てると、頭がとれてしまいます。ところが、頭がなくなった「死体」が突然起き上がり、頭のないままシルヴァと戦場で踊る場面が…「チャールダーシュの女王」はいつからホラー作品になったのでしょう。

そのほか、戦場場面はやたらにリアルです。はっぱさんのブログにもあるように、リッペルト公爵が塹壕の中から手榴弾を投げると、盛大に爆発し、手や足が宙を舞うといった場面もありました。

また、興味深いシーンは、アメリカ兵捕虜が突然出てきて、シルヴァを観るなり“あなたはニューヨークで公演する予定だった歌姫のシルヴァさんですね。私はファンです”といった台詞をいい、周囲の兵隊(ドイツ軍)達が驚くというところがありました。

本来、二幕のハイライトであるエドウィンとシルヴァの名デュエット“踊りたいの”ですが、銃声が飛び交う中なので、うきうきする楽しさが伝わってきません。

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二幕を二つに分けた関係で、意味不明の戦闘シーンやお芝居が多く、間延びした感じになっています。ただ、曲目などは一応、オリジナルに沿っています(曲順は若干違いましたが)。

結局、エドウィンを好きなのにも関わらず、態度が気に入らないシルヴァは、皆の前で、ブダペストで書いた「結婚を約束した書面」を破り捨て、ボニと一緒に「どこか」へ立ち去ります。

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三幕へは暗転で切り替わるのですが、間奏曲と同時に緞帳の前に登場したのが、フェリ・バチ率いる大けがをした女性グループ。松葉杖ギプスをつけた状態で、ダンスを披露します。うささんのブログに、「後半はバレエ団が大変」と書かれていましたが、これで、その理由がわかりました。とにかく、緞帳が下がっているため、非常に狭いエリアで踊る訳ですから、本当に大変です。しかも、いったん座って、立ち上がるという難易度の高い要求も入っています。バレエ団の皆さま、お疲れ様です coldsweats01

ただ、戦争で怪我をしたオルフェウム劇場の踊り子さんという想定なのかもしれませんが、その後、特に出てくるわけでもなく、何か後味の悪い感じがしましたね(ハンデキャップを背負っての踊りですから、盛大な拍手をしたいところですが、お役さまもあっけにとられて、苦笑するのが精一杯でした)。

本来は、二幕で大きな溝ができてしまったシルヴァとエドウィン。二人の恋を如何に成就させるかが、第三幕のテーマです。

さて、舞台装置は、「瓦礫の山」と化してしまった某所です。三幕の冒頭、シルヴァとエドウィンは舞台よりのロジェに陣取っています。一方、瓦礫の山となった舞台上には、三幕の中心人物、フェリ・バチが登場しますが、精彩がありませんね(当たり前ですが)。

落ち込んでいるフェリ・バチを勇気づけるため、ボニがジプシーの楽団(下の写真は、カーテンコールに登場したジプシー楽団役の皆さま ヴァイオリン3人、クラリネット1人、バス1人という構成です)をけしかけ“ヤイ ママン”を演奏させます。ところが、なかなかフェリ・バチが乗ってきません(本来はフェリ・バチが落ち込んでいるシルヴァを勇気づけるために“ヤイ ママン”を演奏させるのですが…)。

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渋々、“ヤイ ママン”を歌うフェリ・バチ。でも、格好良くないぞ。そこへ、ボニやシルヴァも加わるのですが、心が燃えたぎるような高揚感はありません。三人で歌っても、どんどん気持ちが暗くなる一方 down 。絶望のどん底へ転げる落ちるような展開でした。

「チャールダーシュの女王」では、ここが最も盛り上がる場面で、お客さまの気持ちが一気に高揚する場面です。が、今回はリフレインもゼロなので、手拍子どころか、拍手もまばら…何と言っても、三人が「華麗なステップ」を踏みながら歌う場面がないですからねぇ。最後のオケによる演奏がむなしさを誘います down 。

その後は、瓦礫の山となった「某所」に関係者が三々五々やってくるのですが、基本的な展開はオリジナルに準じています。ただし、これまでダラダラとやっていた上に、“ヤイ ママン”での盛り上がりに欠いているため、冗長な印象をぬぐうことができません。要するに演出にメリハリがなく、テンポが良くないのですね。困ったことに、舞台に変化をつけるためなのか、ヒトラー風の伝令?が登場しますが、位置づけが不明で、お客さまから全く受けていませんでした(苦笑はありましたが…)。

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リッペルト侯爵夫人とフェリ・バチの再会シーンもあるのですが、リッペルト公爵と夫人は、その後、二人の愛を確かめあるため「某所」にしけ込んでしまいます(この抱き合っているシーンが変にリアル)。

また、なぜか場違いなウェディングドレス姿のスタージにボニが愛を告白する場面は、「言葉ではなく行動」で突っ走ります。スタージをボニが押し倒して、○○○を迫ります。ムードも何もあったものではありません。ドイツ人らしい、ストレートな表現は、お腹いっぱいです coldsweats02

最後は、ボニが軍用移動電話を使った大芝居で、シルヴァの本音を引き出し、二組のカップルが無事誕生してお開きとなります。が、最後のシーンは、シルヴァとエドウィン、スタージとボニという二組のカップルが塹壕に腰掛けて、遠くを見つめるという展開でした。なお、この戦争ですが、脚本では第一次世界大戦のようです(でも、対戦車ロケットが世に出たのは、第二次世界大戦からなのですが…)。

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Feriはてっきり、この後、戦争でも終わって楽しいエンディングが待っているのかと思ったら、指揮者がコンサートマスターと握手をし出して、“えっ、これで終わりなの”とあっけにとられてしまいました。

フォルクスオーパー版では、3組のアップルがワルツを踊る中、フェリ・バチ一人が、見えない相手をパートナーとして踊るという有名場面がありますが、こんなものはありません。フェリ・バチは粋なオヤジでも、なんでもない普通のハンガリーの戦争難民(上の写真の人物がフェリ・バチです)になってしまいました shock

notes 以下、明日に続きます notes


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Posted by: ブログランキング | February 14, 2010 at 10:23 AM

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