「ピッコロ君」こぼれ話
先日、シュタット・オペレッタ・ドレスデンの「白馬亭にて」の話題をお届けしましたが、今日は、そのキャストに関連するお話をお届けしましょう。
Feriは、日本オーストリア食文化協会さまのメールマガジンを愛読しているのですが、そこに興味深い話題が掲載されていました。
「白馬亭にて」をご覧になった方はご存知だと思うのですが、同ホテルの給仕長レオポルトの部下にウエイター(まぁ、ボーイさんですね)のピッコロ君がいます。
イタリア語の“Piccolo”は「小さい」という意味なので、このオペレッタでもピッコロ役は若者や小柄な人が出るケースが多いようです。
以前、Feriは、“子供だからピッコロという愛称がついているのかな”と思っていたのですが、実は、この業界ならではの裏話があるようです。
オーストリアの レストランで、お客さまの接待を一手に引き受けているウエイターのことをドイツ語でKellner(ケルナー/給仕係)と言うそうです。そうそうフランスではギャルソンと呼ばれていますが、日本では、なぜかこちらの名称の方が有名ですね。
さて、こちらの職業では、親方のマイスターがいるように、同一職種でもランクがあります。で、給仕さんの場合、下働きのピッコロ(Pikkolo)からはじまり、お客さまの接遇を担当できるケルナー(これで、とりあえず一人前)、そしてケルナーを統括するオーバーケルナー(Oberkellner/給仕長)へ上がっていくそうです。
オーバーケルナーが、いわゆるマイスターのような立場なのでしょうね。当然、会計ができる人も限られてきます。オペレッタ「白馬亭にて」の準主役であるレオポルトは、オーバーケルナーという立場になるのでしょう。
ですから、オペレッタに出てくるピッコロ君は、原作では「ケルナー見習い」といった位置づけなのかもしれません。もっとも実際のオペレッタの中では、ケルナー顔負けの活躍をしていましたが…
ただ、見習いだと、先を急ぐ観光客から一斉に“ツァーレン、ツァーレン”(お会計、お会計)というコールを受けて、大慌てでオーバーケルナーのレオポルトを探し回るのも納得できます。オペレッタの場合、こういった文化的な背景が色濃く反映しているので、こうった「裏話」を知っていると、よりいっそう楽しめますね。
さて、ここで、 写真の解説を… トップの写真はシュタット・オペレッタ・ドレスデンの「白馬亭にて」に登場したピッコロ君です。オーバーケルナーのレオポルトさんを探しているところです。
二枚目の写真も同じくシュタット・オペレッタ・ドレスデンのカーテンコール時のものですが、ピッコロ君は白い前掛けをしていますが、レオポルトさんはしていません。この当たり、ランクの違いが出ているのでしょう。
ちなみに三枚目の写真は、2008年にメルビッシュで上演された「白馬亭にて」に登場したピッコロ君です。こちらは、上着を着ないスタイルで、オーバーケルナーのレオポルトさん差を出しています。
そして、四枚目の写真は、フォルクスオーパーのピッコロ君(一番右側)。フォルクスオーパーでは、子役を使っていました。前のナプキンがトレードマークですね。このように見るとなかなか興味深いですねぇ 。
ところで、ピッコロという言葉はイタリア語の方が有名ですが、オーストリアはイタリアからの文化的影響を受けているため、ドイツ語でも「外来語」としてPikkoloを使っているようです。
そういえば、ドイツの鉄道模型メーカーのフライッシュマンでは、同社のNゲージ・シリーズに「ピッコロ」という愛称をつけていますね。
なお、日本オーストリア食文化協会さまは、日本でウィーンやオーストリアのお菓子やお料理を提供しているプロフェッショナルの団体ですが、お客さま向けの情報発信も積極的に行っています。
特に週1回発行される メールマガジンには、会員さんのお店で提供されているお菓子の話題をはじめ、オーストリアやウィーンにまつわるエピソードも多数紹介されています。こちらは、会員以外でも購読可能(しかも無料です)なので、オーストリアファンの皆さまには、購読されることをお勧めします。
購読は、同協会のWebサイトから行うことができます。
※「人気ブログランキング」に登録しています。下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります。
Comments