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April 07, 2010

「ラ・ボエーム」にネトレプコさんが登場

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今日は注目の歌姫アンナ・ネトレプコさんの話題をお届けしましょう。

この4月から5月にかけて、国立歌劇場ではネトレプコさんが登場するオペラが多数上演されます。ちなみに現在、出演が予定されている演目は「ラ・ボエーム」、「清教徒」、「カルメン」、「マノン」の4作品です。

ご存じのように「カルメン」はガランチャさんとの競演なので、完全なプラチナチケット状態です。手も足も出ません。で、たまたまネトレプコさんがミミを演じる「ラ・ボエーム」のチケットが手に入ったので、その模様をお伝えしましょう。

当日の指揮はConstantinos Carydisさん、キャストは詩人ルドルフォ(Rodolfo)役がPiotr Beczalaさん、マルチェロ役(Marcello)役がBoaz Danielさん、音楽家ショナール(Schaunard)役がEijiro Kaiさん、哲学者コッリーネ(Colline)役がJanusz Monarchaさん、ミミ(Mimì)役がAnna Netrebkoさん、ムゼッタ(Musetta)役が Anita Hartigさん、アルチンドロ(Alcindoro)役と家主ブノア(Benoit)役がAlfred Šramek(一人二役という省エネキャスティングです)という面々でした。

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Feriは、てっきりネトレプコさんは国立歌劇場でミミを演じていたと思っていたのですが、実は今回が初めてだったのですね。これはびっくり。そのため、ORFの取材が入っていました(当然、ホーレンダー総裁もご鑑賞 写真はご家族でお楽しみのホーレンダーさん)。また、Piotr Beczalaさん(ポーランドのご出身)もルドルフォ役は初めてのようで、ノリノリでした。

国立歌劇場の「ラ・ボエーム」は今回で380回。ご存じの方も多いと思いますが、「いわゆる伝統的な演出」で上演される数少ないオペラです。まぁ、Feri個人としては、こういった演出の方が好きなのですが…

「ラ・ボエーム」事態は有名なオペラですから、ここで改めて内容をご紹介することもないでしょう。貧しい庶民の生活を描いたオペラですが、「 貧乏くさくて好きになれない」という方もいらっしゃるようです。が、日本人の中には「この貧乏くさいところが、親近感があり好き」という人も多いようです。まぁ、これは好き、嫌いの問題なので、作品の評価とは別ですが…

さて、ルドルフォをはじめ、マルチェロ、ショナール、コッリーネともになかなか良い味を出していました。4人の息もぴったりと合っており、安心して観ることができましたね。

甲斐さんが、歌も含めて良い演技をしていたのですが、ネトレプコさんにどうしても注目が集まってしまうため、お客さまからの声援が少ないのが気の毒な感じでした。ルドルフォ役のPiotr Beczalaさんは、声量もあり申し分ないのですが、オーケストラがフルに演奏する場面では、声が埋没してしまう傾向が… これは「声の質」の問題かもしれません。ところで、Piotr Beczalaさんは、終始ご機嫌でした。

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さて、「今日のお客さま」のお目当ては、ネトレプコさん。1幕の途中から出てくる訳ですが、やはり「」がありますね。彼女が出てくると、やはり舞台に一輪の花(大輪ですが)が咲いたような雰囲気になります

オペラ歌手の場合、歌の上手、下手も大切ですが、こういった「華」というのは大切なのですよね。ネトレプコさんの実力から考えるとミミ役はもったいない気もしますが、“私の名前はミミ”などは余裕をもって歌っているように感じました。また、3幕でのルドルフォとの別れのアリア“さようなら”も雰囲気が良かったですね。そして、4幕、仲間に見守られて息を引き取る場面の演技なども、ネトレプコさんらしい魅せるものがありました。

Feriは、前回、「ルチア」でネトレプコさんを観たのですが、グルベローヴァさんが演じていた役を観ると、わかっていても歌唱技術や演技力を比較してしまいます。その点、ミミ役は、比較対象がないので、冷静に観ることが(というか聴くことが)できました。

ミミ役は、「強烈に聴かせる歌」がある訳ではないので、気の毒な感じはしますが、正直、背筋に電気が走るような強烈な印象はありませんでした(ファンの皆さん、申し訳ありません )。これは役柄上、仕方がないのですが、歌唱技術や繊細なお芝居でお客さまを魅了するには、さらなる研鑽が必要なのだろうと思います。

あと、意外と良かったと言っては失礼ですが、2幕の主役、ムゼッタ役Anita Hartigさんがいい味を出していましたね。とくにアルチンドロに対してヒステリーを起こす場面など、感情の起伏を前面にだした演技が光っていました。

華のあるネトレプコさんは、やはりお客さまを呼べる歌手なので、劇場にとっては大切な人…と言っても良いでしょう。今度、どのようなキャリアを積み、さらにレベルアップしていくかが楽しみではあります(今のままで終わって欲しくない感じがしますね)。

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さて、お子さんを生んでから、ちょっとぽっちゃり(ふくよかになった)したネトレプコさんですが、その体型は変わっていないようです(ザツルブルク音楽祭のヴィオレッタような色気は影を潜めましたねぇ)。言葉は悪いですが、「健康優良児のミミちゃん」みたいな雰囲気でした(少なくとも、病気に冒されていて、すぐに死にそうには見えません )。まぁ、これは他の歌手でも同じですがね。もっとも、これをお芝居でカバーできるのが優れた歌手の条件なのだとは思いますが。

一つ残念だったのは、当日、平土間に30席近くの空席があったことです 。理由はよくわかりませんが、結局、最後まで空席のまま。もったいないですねぇ。それと、これは以前も感じたことですが、お客さまもいわゆる「オペラ通」とは違った客層のような気がします(オペラ通は、皆さん舞台が見えない後ろにいたようです)。

ちなみに、6日付けの無料配布新聞には「ラ・ボエーム、30の空席、しかし多くの拍手」という見出しが出ていました。

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「客層の違い」は、公演終了後、楽屋口に集まった「出待ち」グループの雰囲気からも感じましたね。そのためかどうかわかりませんが、出待ちの集団が殺伐としていたのが印象に残っています(一応、集まったファンにサインはしていたようです。ただ、時間制限があったようで、全員にはサインをしていないようです)。

まぁ、いずれにしてもネトレプコさんというのは、オペラの本場ウィーンでも「話題になる歌手」だということを改めて実感した一夜でした。

さて、今年9月のロイヤルオペラ来日公演でも「社会現象化」するのでしょうね


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Comments

Feriさん、saraiです。

昨年、ウィーンでネトレプコのヴィオレッタを観てから、早、もうすぐ1年。
ネトレプコのミミですね。テレビでは、映画版を見ました。正直、今ひとつでした。
Feriさんがルチアでグルベローヴァと比較されますが、saraiにとって、ミミは永遠にフレーニのものです。ウィーンで最初に登場したときにその姿を見ただけで、背中に震えが走ったことを思い出します。
フレーニのミミを見るためにオペラを見始め、そして、フレーニのミミを見るためにウィーンに出かけました。
その頃(1992年)とウィーンの演出はまったく同じなんでしょうね。できれば、ずっと、変えないでほしいものです。

とはいえ、saraiはネトレプコのファンでもあります。ロイヤルオペラの来日公演の「マノン」のチケットは何とか確保しました。これは楽しみです。

Feriさんは「清教徒」、「マノン」も観られるんでしょうね。いつもながら、羨ましい限りです。

ところで、はっぱさんもお陰でフォルクスオーパーで「メリー・ウィドウ」のよい公演を見られたようで、ラッキーでしたね。昨年のsaraiが見た公演とキャストがほぼ同じですが、肝心の主役2人が良い方向で違っていたようです。

Posted by: sarai | April 07, 2010 13:08

saraiさん、こんにちは、コメント、ありがとうございます。

私の場合、ミミの決定版を観たことがないので、何とも言いようがないのですが、saraiさんのお気持ちはよくわかります。

なお、演出や舞台装置は昔のままで、私好みです。怒濤のネトレプコ月間の様相を呈している国立歌劇場ですが、私は今回の「ラ・ボエーム」だけで上がりです(資金が…)。という訳で、ネトレプコさんに関しては、次回は日本で観ることになります。私見ですが「マノン」は向いていそうな感じがします。

ところで、昨晩、ORFのニュースで「ラ・ボエーム」のことを取り上げていたようですが、悪い予感が当たってしまいました…楽屋口にいた私の姿が放映されてしまいました
私はフォルクスオーパーに行っていたので、見ていませんが、ご覧になった方からご一報をいただきました。

Posted by: Feri | April 07, 2010 14:40

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