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April 09, 2010

久しぶりの「従兄弟」

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今日はFeriのホームグラウンドであるフォルクスオーパーの「オペレッタの話題」をお届けしましょう。

ベルリン・オペレッタの傑作であるキュネッケ作曲の「かの地から来た従兄弟」は、ウィンナ・オペレッタとはひと味違う雰囲気を持った作品です。

お話の詳細はかつて、当ブログで紹介していますので、省略しますが、出演者が少ないという特徴があります。とくに合唱団が全く出ないため、こぢんまりとまとまったオペレッタになっています(そのため、地方のカンパニーでも上演しやすいというメリットがあります)。こういった珍品はいつまで上演するかわかりませんので、掛かっているうちに観るのが鉄則です。

当日の指揮は女性のElisabeth Attlさんでした(「こうもり」に続いての指揮)。主なキャストは、遺産相続人のユーリア・デ・ヴェールト役がAndrea Bognerさん、ヨーゼフの甥アウグスト・クーブルト役がLadislav Elgrさん、ユーリアの友人ハイヒェン役がJohanna Arrouasさん、ユーリアが愛していた従兄ローデリッヒ・デ・ヴェールト役がBoris Pfeifer(プルミエに出た人)、ユーリアの叔父で後見人のヨーゼフ・クーブロト役がおなじみのCarlo Hartmannさん、クーブロトの妻ヴェルヘルミーネ役がIsabel Weickenさん、ユーリアのもう一人の後見人エゴン・フォン・ヴェルデンハーゲン役がMarko Katholさん、召使いのハンス役がThomas Markus、召使いのカール役がStefan Cerny(この二人はプルミエと同じメンバー)という面々でした。

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演出は、前シーズンから全く変わっていませんが、改めて、この作品を見ると出演者が少ない分、各自の役割が明確で、しっかりとした歌唱力と演技がポイントであることがわかりました。

その点、ユーリア役のAndrea Bognerさんは言うことなし heart04 。現時点では最高のキャスティングと言えるでしょう。ところで、Andrea Bognerさん、意外と背が低いのにはビックリした(役柄の想定にもぴったりですね)。

また、ハイヒェン役のJohanna Arrouasさんとのコンビも絶妙でした。Johanna Arrouasさんはダンスを披露する場面があるのですが、身体が柔らかいことがよくわかります。

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今回、自分が初めて観たアウグスト役Ladislav Elgrさんは、今まで見たアウグスト役の中では「最高の出来」でした(前シーズンはDaniel Johannsenさんでした)。とにかく歌唱力が抜群で、存在感があります。また、お芝居も堂に入っていました。 heart04 Andrea Bognerさんとバランスがとれたカップルが実現したと思います。

その他はプルミエ以来のメンバーなので、お芝居、歌ともに安心して観ることができました。クーブロト夫婦役のCarlo HartmannさんとIsabel Weickenさんは、ベテランらしいコミカルな演技が光ります(何しろ1幕では本物のシュニッツェルを食べながら台詞を話すのですからねぇ。大変です)。

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ところで、ローデリッヒが名前を名乗るときの「独特の振り付け」(観た人にしかわかりませんが delicious )は、何度観ても印象に残りますね(誰が考えたのでしょうか?)。今回のキャスティングは本作品では「最高の布陣」と言っても良いでしょう。

また、指揮のElisabeth Attlさんも自分が楽しみながら指揮をしており、シーズン後半になってオーケストラとのコンビネーションがうまくいくようになった感じがしました。なお、通常、オープニングでローデリッヒの「雄叫び」を指揮者が上げることが多いのですが、Elisabeth Attlさんの場合、女性なのでオケのメンバーが代わりになっていました。

それと、後半、トランペットのソロパート(ユーリアが自室で一人トランペットを吹いているという不思議な想定)があるのですが、さすがに奏者の方も緊張するようで、無事演奏が終わったところで、隣の同僚に“やれやれミスをしないでうまくできたよ”というジェスチャーをしていました coldsweats01

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さて、お客さまの入りなどを考えると、来シーズン、「かの地から来た従兄弟」が継続上演されるかは、微妙な気がしますね。今シーズンは、あと3公演が予定されていますので、ウィーンにいらっしゃる方は、後で後悔しないように是非ご覧ください(後悔する人は少ないかもしれませんが… happy02 )。

余談ですが、この作品、プロンプターボックスの上に「斧が刺さった小人」が乗っかっており、ごていねいに流血まで再現されています(笑って刺されていますから、結構、不気味です)。が、シーズン後半だからでしょうか、流血の作り物が折れてしまったようで、透明のテープで補修してありました。気づいた人はFeriくらいでしょうが、哀愁を感じる場面でしたね coldsweats01


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オペレッタ |

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Comments

Feriさん、Steppkeです。

Der Vetter aus Dingsdaは、11日(日)に観/聴きました。
題名役(Ein Fremder, August Kuhbrot)は、Daniel Prohaskaに戻っていました。
従って、1年半前に経験した出演者(多分初演時と同じ)とは、Julia(Rebecca NelsenからAndrea Bognerに)とEgon(Daniel JohannsenからMarko Katholに)、それに指揮者(Alexander DrčarからElisabeth Attlに)が代わっていることになります。

Bognerさん、いいですねぇ。
見た目はちょっとししおきが豊かで、私のJuliaのイメージとしてはNelsenさんの方が近いのですが、歌はBognerさんが勝ちです。

Prohaskaさんは、私は合格点だと思ってます。
しかし、Feriさんが「最高の出来」とされ、声がよく出ると言われたたLadislav Elgrの方も聴いてみたかったですね。

HannchenのJohanna Arrouasさんは、さすがの一言です。
前日にご一緒したDie Blume von Hawaiiでも大活躍でしたが、準主役級が連日、しかも別の役柄で出演するVolksoperは大変です。

アンサンブルは素晴らしい。20回目の公演なので、ますます練れてきたようです。
Carlo HartmannさんとIsabel Weickenさんは、巨体を揺らしながらの演技で、熱演でした。
HansとKarlのコンビもよい味を出しています。しかし、結構な数の小人たちに短時間で傘をさしたりしなければならず、大変です。
(カーテンコールにも少し時間が掛かりますが、小人たちを一列に並べる為なのでしょうね)

指揮のAttlさんは、以前、楷書のイメージだと書いたことがありますが、今回の印象もそうです。
ただ、この作品ではちょっときちんとし過ぎているという感じでした。あそこまでオケをしっかり鳴らして歌も合わさざるを得ないようにすると、踊りや演技をしながらの歌手はちょっと可哀相な気がします。
指揮台のすぐ斜め後ろの席(真後ろはわざと避けてます)だったので、半分指揮を見ながらの鑑賞だったのですが、そこ!もうちょっと余裕をもってとか遊んでとか、心の中で叫びながら聴いてました。

トランペットは、ミスってました。最初にミスったので、後は結構ボロボロな感じでした。
プロンプターボックス上の小人は、直ってませんでした。

来シーズンのプログラムが未だ発表されませんが、この曲はベルリン・オペレッタの中でも特に好きなので、残ってくれると嬉しいのですが..
駄目なら、ドレスデン辺りに浮気しますか..

Posted by: Steppke | April 17, 2010 at 06:40 PM

Steppkeさま、詳しいレポート、ありがとうございます。
実は、FeriとしてはDaniel Prohaskaさんの方も観たかったのですね。というのは、彼は「小鳥売り」の主役のアダム役を演じて、「一皮むけた」感じがしたからです。プルミエのアダム役評は、あまり良くなかったのですが、真っ正面から役にぶつかっていたので、その後が楽しみだと思っていましたので…

>指揮のAttlさんは、以前、楷書のイメージだと書いたことがありますが、今回の印象もそうです。
正に言い得て妙な表現です。全体的にゆとりが少ない感じがしますね。ただ、経験もあると思いますので、今後、キャリアを積めば良い指揮者になるような気もしています。

「かの地から従兄弟」は、合唱団やバレエ団が出演しないフォルクスオーパーとしては異色の演目ですが、それだけに出演者一人ひとりの実力がはっきりと出てしまいます。オペレッタファンとしては、興味深い演目でもありますね。

ところでフォルクスオーパーの来シーズンのプログラムですが、例年通り、来週あたり発表になりそうな気がします。オペレッタに何がリリースされるか、気をもむ今日この頃です。

Posted by: Feri | April 17, 2010 at 11:51 PM

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