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June 12, 2010

番外編 東京オペレッタ劇場「紅いリンゴ」

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今日は昨日に引き続き「オペレッタの番外編」をお届けします。それにしてもFeriは日本で、二晩続けてオペレッタを観たのは初めてかもしれません(フォルクスオーパーの来日公演をのぞきますが…) heart04

今回観たのは東京オペレッタ劇場によるジャック・オッフェンバック作曲の「紅いリンゴ」(原題“Pomme d’Api”ポム・ダピ)です。Feriも観たことのない演目なのですが、1873年9月4日、パリ・ルネサンス座で初演されました(名作「地獄のオルフェウス」の半年前に初演)。ちなみにオリジナルの台本はR.アレヴィとW.ビュスナックによる1幕もののオペレッタですから、いわゆる「小品」の部類に入る作品でしょう。

東京オペレッタ劇場版では、演出は塩見 哲さん、訳詞は高橋英郎さん、台本は塩見 哲さんと角 岳史さん、音楽監督と指揮は日本オペレッタ協会でもご活躍の角 岳史さんでした。当然、完全日本語上演です。

この作品は出演者が少ないのが特徴で、わずかに4名。新米ハウスキーパーのカトリーヌ役(マリーの姪)は針生美智子さん、富豪のラバスタン役は小栗純一さん、ラバスタンの甥ギュスターヴ役は武井基治さん、そして伝説のハウスキーパー・マリー役は何とビックリ、テレビドラマでもご活躍の俳優、市原悦子さんでした(特別出演)。

市原さん以外は、日本オペレッタ協会の公演でおなじみのメンバーですね。どういった経緯で市原さんを引っ張り出したのかはわかりませんが、これが結果的には大成功でした。そういえば、市原さんはテレビドラマ・シリーズ「家政婦は見た」にも主役として出演されていますから、ピッタリの役ということができます happy01

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演奏は、東京オペレッタ劇場アンサンブルで、今回はヴァイオリン、クラリネット、ピアノというトリオでした。ちなみに6月11日の会場は千葉県四街道市の四街道市文化センター大ホールでした(写真が会場です)。

初物なので、今回は「あらすじ」もご紹介しましょう。お話は、マリーが姪のカトリーヌから来た手紙を読み、カトリーヌを手助けするため、一肌脱ぐ決心をするところから始まります。

今回、マリーが派遣されることになった富豪のラバスタン家は、今まで派遣されたハウスキーパーは、なぜか、皆、長続きしません。そこへ、ラバスタンの甥ギュスターヴが2年ぶりに戻ってきます。

ギュスターヴは、ラバスタンの理不尽な命令で同棲中の彼女を別れて、戻ってきたのです。恋人と別れて落ち込むギュスターヴに、ラバスタンは“釣り合う素敵な女性を見つけるから”と慰めますが、本人はすねてしまい自室にこもってしまいます。

そこへ斡旋所から紹介されたカトリーヌが到着します。ラバスタンは、一目でカトリーヌを気に入るのですが、そこへギュスターブが現れて大騒ぎ。なぜなら、ギュスターブが2年間、同棲していた恋人がカトリーヌだったのです。お互い気まずい雰囲気になりますが、ラバスタンは二人の関係を知るよしもありません。

ラバスタンとギュスターブが出かけている間に、マリーがやってきます。マリーはカトリーヌを勇気づけ、問題を解決してあげると宣言。実はマリーは、若い頃、この館で新米ハウスキーパーとして働いていたのです。そして、ラバスタンと恋に落ちたのでした。この思い出をマリーが回想するところで、休憩となります。

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休憩後、マリーとカトリーヌが居間で話す場面があるのですが、ここで日本語版オリジナルの演出がありました。マリーが“ハウスキーパーは一芸に秀でていないとだめよ”と言うのですが、それに応えてカトリーヌが歌を披露します。この歌が日本の戦後ヒット曲第一号となった appleリンゴの唄」なのです(やりそうな機がしたのですが coldsweats01 )。途中から市原さん扮するマリーも加わって、客席が大いに湧きましたね。その後、マリーはカトリーヌとギュスターヴの恋を成就させるため、作戦を練るため、屋敷の奥へと消えていきます。

そこへ昼食を終えたラバスタンとギュスターブが居間に戻ってきます。何も知らないラバスタンはカトリーヌに色々な質問をして、最近、恋人と別れて落ち込んでいることを知ります。三人はワインを飲んで、嫌な思い出を忘れようと盛り上がります(三重唱「乾杯! 乾杯! ~一人、二人、三人!」)。

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カトリーヌに一目惚れしたラバスタンは、自分の財産をカトリーヌに与えても良いと言いだします。ラバスタンの行動にビックリするギュスターヴ。カトリーヌはギュスターヴが自分を愛していることを確かめるために、“あなたは私に何をくれるの”と問い詰めます。叔父の支援で生活しているギュスターヴはカトリーヌにプレゼントするものは何もなく、“愛情だけだ”とラバスタンの前で言い放ちます。

ギュスターヴの恋人がカトリーヌだったと知って、ビックリするラバスタン。ラバスタンは、“ハウスキーパーとは釣り合いがとれないから付き合うことを禁じる”と命じますが、そこへマリーが登場します。しかし、ラバスタンは、かつて自分が愛した女性であることに気づきません。

マリーがハウスキーパー時代に歌っていたメロディーで、ラバスタンはやっと目の前の女性がマリーであることに気づきます。マリーは、ラバスタンに“時代が変わったのだから、二人の結婚を許してあげなさいよ。あなたは昔のように、若い二人を不幸にするの”と諭し、ラバスタンは考え方を改めます。そして、現役を引退したはずだったマリーも、再びラバスタンのところで働くことが決まり、幕となります(舞台では明言していませんが、マリーとラバスタンの熟年カップルも結ばれるのでしょうね)。

舞台装置は、写真のように至ってシンプル。小道具をのぞいて、最後まで同じです。

歌手組の針生美智子さん、小栗純一さん、武井基治さんは、オペレッタ協会さんの公演でも一緒に出演することが多いので、息もピッタリ合っていました。ただ、これだけだと「いつもの日本のオペレッタ公演」なのですが、今回は俳優の市原悦子さんが、どう絡むかが注目していました。さすがにベテランの俳優さんだけあって、お芝居は見事ですね。良い味を出していましたね。また、自然体の発声に好感が持てました。

歌手組の皆さんは、お芝居の部分をベルカントで発声するため、Feriにはどうしてもしっくりこないのですが、市原さんは、セリフを自然な感じで話すのですね。しかし、ちゃんと声は通る。Feriは専門家ではないのでわかりませんが、根本的な発声法が違うのでしょうか。

途中、市原さんがソロで歌う場面があります。かつてハウスキーパー時代に口ずさんでいた曲「誰よりもあなたを愛しているのに」です(バラード調の曲)。本格的な声楽のトレーニングをしていないので、歌手組と比べるのは気の毒ですが、それでもなかなか良い味を出していました。通常、俳優さんが歌うときは、マイクを使うことが多いのですが、市原さんは果敢にもマイク無しで、歌にも挑戦していました。伴奏がトリオだから可能だったのかもしれませんが、役者魂に感銘を受けました heart04

また、指揮者の角さんが、途中、乱入する場面もあって、お客さまから受けていましたね。

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ふと、ウィーンで見たロベルト・マイヤーさん出演のオペレッタを思い出しました。舞台装置や衣装は全く違いますが、フォルクスオーパーで、今シーズン上演された「酋長アーヴェントヴィント」に似た雰囲気の舞台でしたね。やはり本格的な俳優さんが加わると、舞台が締まります。これは日本もオーストリアも一緒なことが、よくわかりました confident

最近観た「日本のオペレッタ」の中では、ツボを押さえた良い内容だったと思います。日本のカンパニーの場合、財政的な問題からフルオーケストラや合唱団、バレエ団などを動員したオペレッタを上演しづらくなっています。そのため、有名な「メリーウィドウ」や「チャールダーシュの女王」などをアンサンブル用に改変した上演するケースが増えています。

しかし、大編成が魅力の一つになっているオペレッタを無理矢理アンサンブル用に改変すると、正直、魅力が半減してしまいます。逆に、今回の「紅いリンゴ」のようなオペレッタの小品を上演した方が、魅力的な公演になるように感じました。また、小品の場合、料金も比較的リーズナブルなので、気軽に観賞することができます。結果として、集客にも貢献するのではないでしょうかね。

各カンパニーが協力して、こういったオペレッタの小品を特定の劇場で続けて上演できるようになると、新しいオペレッタファンが開拓できるかもしれません。そして、今回の市原悦子さんのような俳優さんの起用が実現すると、より魅力的な舞台になることでしょう confident

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