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June 11, 2010

番外編 シェーンブルン宮殿劇場オペレッタ「こうもり」

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6月8日にシェーンブルン宮殿で行われたウィーンフィルの野外コンサートは、好天気に恵まれ観客約10万人だったそうです。来年は6月2日に予定されています。

さて、今日は「来日オペレッタ公演の話題」です heart04 。現在、シェーンブルン宮殿劇場という怪しげなカンパニー名で「こうもり」の来日公演が行われています。

当ブログをご覧に皆さんならばおわかりのように、本当のカンパニー名は「ウィーン・カンマー・オパー」です。しかし、シェーンブルン宮殿の名を冠した方が集客が期待できるところから、こういった名称での来日公演になったのでしょう。

副題もすごいsign03 。「マリー・アントワネットが愛した伝統の劇場」だそうです coldsweats02 。まぁ、間違いはありませんが。そういえば、かつてFeriが現地のシェーンブルン宮殿で観た時は、例の欧州猛暑の年で、空調のない劇場内での観賞は「 bearing 我慢大会 happy02 」の様相を呈していました。

Feriが観たのは、東京は渋谷、オーチャードホールでの公演でした。

指揮はロベルト・ツェルツァー(Robert ZELZER)さん、主な出演者はダブル・キャストでしたが、Feriが観たときは、アイゼンシュタイン役がペーター・エーデルマン(Peter Edelmann)さん、ロザリンデ役がエリザベート・フレッヒル(Elisabeth Flechl)さん、アデーレ役がハイディ・ヴォルフ(Heidi Wolf)さん、ファルケ博士役がアルフレード・ベルク(Alfred Berg)、オルロフスキー公爵役がヨッヘン・コヴァルスキー(Jochen Kowalski)さん、フランク役がホルゲ・ナザララ=ファピエ(Jorge Nazrala-Favier)さん、フロシュ役がフランツ・スーラーダ(Franz Suhrada、俳優さん)さん、ブリント役がダヴィド・アメルン(David Ameln)さん、イーダ役がウルスラ・サメイト(Ursula Szamelt、バレリーナ)さんという面々でした。なお、オルロフスキーの従者イワンは、変装したブリントが務めるという演出になっています。

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演出ですが、Feriが2007年7月にシェーンブルン宮殿劇場(現地)で見たものと、舞台装置も含めて全く一緒でした。ちなみに第1幕が45分、第2幕が55分、そして第3幕が40分というオーソドックスな構成で、各幕間に20分間の休憩が入っています。

大がかりな舞台装置ではないので、2幕と3幕の間は暗転も可能なのですが、余裕を持った演出をしているのでしょう。ところで、来日公演なので、日本語のセリフを織り交ぜるという工夫がありましたが、余りどぎつくなく妥当な入れ方だったと思います。来日公演ということもあり、出演者は2007年7月に観たものとは全く違っていました。

演出の詳細は2007年7月の当ブログ(記事はここからリンクします)をご覧いただくとして、改めて観てみると、シェーンブルン宮殿劇場版の場合、現在のフォルクスオーパー版と比べ、細かいお芝居が省略されている点が目に付きました。

また、3幕のフィナーレは、フォルクスオーパー版では、ロザリンデがアイゼンシュタインをぎゃふんと言わせる演出です。しかし、シェーンブルン宮殿劇場版の場合、アイゼンシュタインがロザリンデに“すべてシャンペンのせいだから”と言うものの、すぐにロザリンデが許してしまい、最後は一生に牢獄に入って“これで彼は8日間私のもの”というセリフで終わるようになっています。何となく、アイゼンシュタインにベタ惚れの奥様というニュアンスでした。Feri個人としては、見慣れているフォルクスオーパー版の方が好きですが…まぁ、こういった変な見方をしているお客さまは日本にはいないでしょうけれどもね…

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演奏については、来日公演と言うことで、レベルの高い奏者を選んできたようです(2007年に現地で観たときは、結構悲惨なオケでした bearing )。そのため、比較的無難な演奏で、大きなミスもありませんでした。ただ、座付きオーケストラの場合、通常使う劇場に合わせているため、劇場が変わると本来の実力が十分に発揮できないことがよくわかりました。というのはシェーンブルン宮殿劇場は非常に狭い劇場です(左の写真はシェーンブルン宮殿劇場の内部です)。

一方、今回、東京公演の会場となったオーチャードホールは、日本で歌劇を上演できる劇場としては狭い方なのですが、それでも容積はシェーンブルン宮殿劇場の2倍以上あると思います。オーケストラが少人数なこともあり、響が全く感じられませんでした。これは劇場の大きさと、オーケストラの規模の関係だと思うので、正直、気の毒な感じがしましたね。なお、演奏のテンポは、比較的ゆっくりとしていたように思います。

さて、歌手陣ですが、フォルクスオーパーでも活躍しているエリザベート・フレッヒルさんが、頭二つ抜け出している印象でした。特に今回のキャストの中では、歌が一番見事でしたね。Feriは今年の2月5日にフォルクスオーパーで、同じ役を観ていますので、演出やコスチュームは違えど、安心して観ることができました。しかし、うまいですねぇ heart04

もちろん2幕の主役はカウンター・テナーのヨッヘン・コヴァルスキーさんです。さすがに往年のキレはなくなってはいるものの、スタイルと歌のギャップが見事で、正に怪演と言っても良いでしょう。実際、彼を見に来たお客さまも多かったようです。オルロフスキー役は、最近はメゾソプラノが担当するケースが圧倒的に多いだけに、これだけでも貴重な公演と言えるかもしれません happy01

その他の役では、アイゼンシュタイン役のペーター・エーデルマンさんは、声量が乏しく、イメージも役に合っていない感じがしました。正直、重唱の場面では、相手役のエリザベート・フレッヒルさんに押されっぱなしでしたね。ただ、パートが本来はバリトンなので、気の毒な面はありますね(本来はテノールが担当しますから)。また、ファルケ博士役のアルフレード・ベルクさんですが、存在感はあるものの、歌は今ひとつという印象でした。

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今回、残念だったのはアデーレ役です。ハイディ・ヴォルフさんは、小柄な上に、スマートなタイプの歌手なので、「パワフルで、上昇志向が強いアデーレ」のイメージには合わなかったですね。歌は一生懸命歌っていましたが、正直、コロラツゥーラがうまくないようです bearing

そして、お相手となるイーダ役のウルスラ・サメイトさんとのバランスが悪かったのも残念です。というのはウルスラ・サメイトさんは元々バレリーナなので、背が高いのです。しかもちょっと見ると老け顔なので、役の設定とは逆の感じになってしまいます(今回はアデーレが姉、イーダが妹という想定でした)。

なお、シェーンブルン宮殿劇場版では、バレー団が加わっていないため、本格的なバレエを披露する場面はありません。せっかく、バレリーナを起用したイーダですが、イーダのコミカルなバレエシーンを観ることはできませんでした。ウルスラ・サメイトさんは、バレリーナだけあって、身体表現能力は高く、消化不良のような感じがしました。もったいなかったですね。

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また、ブリント役がダヴィド・アメルンさんですが、演出の関係からか、服装も含めて、弁護士というよりも書生(または弁護士の助手)のような雰囲気で、何となく頼りなさそうでした。とくに三幕では法服で出てこないため、アイゼンシュタインと入れ替わっても、変装がバレバレ…ちょっと気になる演出でしたね。

フロシュ役はウィーン生まれの俳優のフランツ・スーラーダさんでしたが、こちらはさすがに見事な演技で、お客さまの人気を集めていました good

フランク役を演じたホルゲ・ナザララ=ファピエさんは変わったお名前ですが、アルゼンチンのご出身だそうです。何と、Feriも2008年にアン・ディア・ウィーン劇場の「ルイサ・フェルナンダ」で観ています。いぁ、ご縁があるものですね。

普通に見れば、さすが本場ウィーンから来たカンパニーだけあって、一定水準の仕上がりですが、如何せん「オペレッタにはまっている男」の独自基準は高いので、厳しめのコメントになりました。実際、来場したお客さまは、結構、楽しんでいたようです。やはり会場が広い分、歌手の皆さんも勝手が違った部分があるかもしれません。

それにしても、改めて現在、フォルクスオーパーで上演されている「こうもり」の完成度が高いことを、再認識する結果ともなりました lovely

今回の来日公演は、Feriに対する慰問公演といった趣でした heart01最近、フォルクスオーパーへ来ないので、エリザベート・フレッヒルさんが慰問に来てくれた…と考える楽しい一夜でした heart02 。そうそう、久しぶりにウィーンなまりのドイツ語も聴けたし…

なお、通常、来日公演の場合、舞台の大きさが異なるため、舞台装置(大道具)は日本で独自に制作するケースが多いのですが、今回のシェーンブルン宮殿劇場は規模が小さいためか、何と現地の舞台装置を船で日本へ運び込んだようです。この当たりのお話は招へい元のプロ アルテ ムジケさんの「バックステージ ブログ」というサイトで詳細に解説しています。オペレッタファンには興味深い裏話が乗っています。

今後、11日に盛岡市民文化ホール(今日ですが、渋谷の翌日です)、13日に郡山市民文化センター、15日に兵庫県芸術文化センター、18日にアクトシティ浜松で上演されます。それにしてもハードスケジュールですね。


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Comments

こんにちは、はじめまして!
兵庫県に住むAkiといいます。
実は私、今日、兵庫県芸術文化センターの”こうもり”を見てきたばかりです。
”こうもり”は私の大好きなオペラの一つだっただけに、非常に楽しみにしていたのですが、
正直がっかりでした。
Feriさんはアイゼンシュタイン役は本来テノールが担当と書いてらっしゃいますが、
私はバリトンしか聞いたことがなかったので、正直今回が初めてでした
(兵庫県ではアイゼンシュタイン役はテノールのWolfgang Veithさんが担当)
Peter EdelmannさんはHPを見てもわかるように、
アイゼンシュタインまたはファルケ博士を年に何回もされているだけあって、
本来得意の役ではないかなと思います。
(私自身も昔の彼のDVDを見ていますが、悪くないでしたよ)
今回、生Peter Edelmannが観れると思ったのに観れなかったのも残念でしたが、
Wolfgang Veithさんの声のひどさ
(言葉悪くてすみません)にとてもがっかりでした。
しかもアイゼンシュタインは全幕にわたって歌うので、もう最悪...
チケットを購入してから今日まで、とても楽しみにしていたのに、
私の楽しい気持ちは最初のオープニングで消え去ってしまいました...
でもそれ以外の方々の歌は良かったですよ。
なんかちょっとさびしい舞台だったので、
何故かな?って思っていたのですが、
Feriさんのコメントを読んで納得しました。
本来小さい劇場なんですね
めげずにまた見に行きたいと思います
ではでは
長文ですみません

Posted by: Aki | June 16, 2010 at 12:34 AM

Akiさま、詳しいご感想、ありがとうございます。

私も1回だけ兵庫県芸術文化センターの大ホールに行ったことがあります(以前、このブログでもご紹介しましたが佐渡裕プロデュースの「メリーウィドウ」)。非常にすばらしいホールで感激しました。ただ、劇場が広い分、小規模なカンパニーには辛いものがあるかもしれません。

また、来日公演でダブルキャストの場合、観たい歌手さんが出演しないこともありますよね(実際、出演者は当日までわからないことが多いですから‥いわゆる「ハズレ」を引いてしまうことがあります weep )。

ところでロザリンデ役とオルロフスキー役は何方でしたか? 東京公演と同じエリザベート・フレッヒルさんとヨッヘン・コヴァルスキーさんだったでしょうか。

話は変わりますが、佐渡 裕さんのプロデュースオペラ2010は「キャンディード」ですが、これは期待できそうですね。Akiさまはご覧に行かれますか? もしご覧にったら、ご感想をお寄せいただければ幸いです。

Posted by: Feri | June 16, 2010 at 09:44 AM

こんにちは

akiです
ロザリンデ役エリザベート・フレッヒル
オフロスキー役ヨッヘン・コヴァルスキー
アルフレード役ヴァレリー・セルキン
アデーレ役ハイディ・ヴォルフ
ファルケ博士役アルフレード・ベルグ
フランク役ホルゲ・ナザララ=ファビエ
ブリント役ダヴィッド・アメルン
フォロッシュ役ヨーゼフ・アイスラー
イーダ役ウルスラ・サメイト
フロッシュ役とイーダ役のお二人は
出ずっぱりになるんですね
Feriさんがおっしゃるように
エリザベート・フレッヒルさんが一番上手でしたね
ヨッヘンさんはかなりお歳に見えましたが
凄いですね、歌声に歳が感じられませんでした

「キャンディード」はとても面白そうな舞台ですので
見に行きたいですね
その時はまた感想をお伝えしますね
ではでは

Posted by: | June 17, 2010 at 08:05 AM

Akiさま、出演者の詳細をご連絡いただき、ありがとうございました。

エリザベート・フレッヒルさんは、Feriのホームグラウンド、フォルクスオーパーでも同役を何度もやっているベテランなので、良かったと思います。
また、ご存じのようにオルロフスキー役は、最近、メゾ・ソプラノが中心なので、カウンターテナーが起用される公演は珍しいので、これでけでも価値があったと思います。

Posted by: Feri | June 17, 2010 at 10:57 AM

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