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June 27, 2010

番外編 「フーゴ・ヴォルフ」レクチャーコンサート

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音楽に関しては番外編大会の様相を呈している6月ですが、26日に「ドイツ・リートのよろこび フーゴ・ヴォルフと共に」というレクチャーコンサートに行ってきました。このコンサートですが、Austria-fan.comのサイトで知ったものです。

会場が日本福音ルーテルむさしの教会というのも興味を引かれました。何しろ日本ではキリスト教会での一般的なコンサートというのは、まだ珍しいですから。

このコンサートですが、財団法人日独協会の主催によるもので、当日の出演者はソプラノ歌手の野口玲子さんとピアノの大場俊一さんでした。野口玲子さんは、1968年にウィーンへ留学されたソプラノ歌手で、オーストリアで行われたフーゴ・ヴォルフ・コンクールで第3位に入賞するなど、日本におけるドイツリートの第一人者です。

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会場の日本福音ルーテルむさしの教会ですが、ドイツの進学者で宗教改革の中心人物だったマルティン・ルターが創始者となっているキリストの教派の教会です。ルーテル教会は、日本では1892年にアメリカの宣教師によって伝道がはじまったそうです。

Feriは、この教会には初めて行ったのですが、木造の非常に美しい教会でした。牧師先生のお話ですが、最近、耐震補強工事をしたそうですが、音響特性はさらに良くなったようです。また、礼拝堂内は大変きれいに整備されており、信徒の皆さまが協会に寄せる思いが良く伝わってきました。ルター自身も音楽について深い造詣があったようですから、場所としては最適だったような気がします。

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さて、今回のテーマとなったドイツリートの大御所フーゴ・ヴォルフですが、お恥ずかしい話ですが、今回、このレクチャーコンサートに参加するまでオーストリアやウィーンと深い関係のある作曲家であることは知りませんでした。

同期のグスタフ・マーラーの作品が大きく取り上げられる機会が多いのに対し、フーゴ・ヴォルフの作品は、かつてウィーンでは高い人気を誇ったものの、日本ではあまり知られていないのは、ちょっと残念な気がします。

ドイツリートは敷居が高い think ”という印象があったのですが、今回は野口玲子さんのすばらしい解説を聴くことができ、認識を新たにしました。フーゴ・ヴォルフは、シュタイアーマルク州ヴィンディッシュグレーツ( Windischgrätz)で生まれた作曲家だったのですね(現在はスロベニア領Slovenj Gradecになっています) confident

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そして、ウィーン音楽院でグスタフ・マーラーと一緒に学んだ(同期)というのですから、驚きです。野口さんの解説には、フーゴがウィーンで過ごした日々のお話が多かったのですが、Feriが知っている場所が沢山でてきて、非常に感慨深いものがありました。

フーゴ・ヴォルフですが、リヒャルト・ワーグナーに心酔していたようですが、彼の作品からはワーグナーの雰囲気はあまり感じられませんね(若かれし頃、ホテル・インペリアルでワーグナーに会っているそうですね)。フーゴ・ヴォルフは気にいった「ドイツ語の詩」を見つけると、インスピレーションが湧くようで、ごく短時間で独特の曲を創り上げたそうです。

野口さんのお話によると、天才の性なのか、在学中は教授達と折り合いが悪く、結局、退学処分になっています。天才作曲家故に面白いエピソードがたくさんあり、今回のコンサートでは、その一端が披露されました。単位、フーゴ・ヴォルフの歌を聴くだけではなく、作曲したときの彼の状況、その時のエピソードを知った上で、聴くと新たな発見がありますね。

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また、ピアニストの大場俊一さんからは、フーゴ・ヴォルフが意図的に和音を使わずに作曲していることなどが、ピアノ実演を交えて披露されました。グスタフ・マーラーと同時代に活躍しただけあって、曲の内容こそ違いますがマーラーとも一脈通じるものがありますね。19世紀後半(いわゆる世紀末)のウィーンで流行ったという理由もわかるような気がします。

フーゴ・ヴォルフには支援者(パトロン)が多くいたようで、作曲活動を全面的にバックアップしていたようです。それにしても、さすがウィーンです happy01

面白いエピソードは、「サロンブラット(当時の社交誌)」の音楽評論家時代の話です。彼の評論は、「妥協のない辛らつな表現」で物議をかもしだしたとか。ワグナリアンだったので、ひどいワーグナーの演奏についても厳しいコメントだったようです。そして、かつて自分をバカにしたブラームスについては、最も厳しい評論を下しています。

ところで、ヴォルフの末期は作曲活動もできず、かなり悲惨なものだったようで、1903年に満43歳という若さで、その生涯を閉じています。

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今回のレクチャーコンサートでは、メーリケ歌曲集より「祈り」、青春時代の歌曲より「夜のあいだに」、6つの女声のための歌曲より「少年とみつばち」「捨てられた女中」、ゲーテ歌曲集より「アナクレオンの墓」、スペイン歌の本から「わたしの髪のかげで」、イタリア歌の本から「ちいさいものでもうっとりさせるものがあるわ」「どんなに長いあいだ私達は待ち望んだことでしょう」「ペンナにわたしのいいひとがいる」が披露されました。

ところで、「はっぱさんの日記」では今年の3月21日に、奇しくもフーゴ・ヴォルフの「リートの夕べ ゲーテの詩による歌曲集」の模様が紹介されています。その中で“歌詞のドイツ語に、如何にニュアンスを加えて「聴かせる」かという難しさがある。”という一文があるのですが、Feriも今回、実際にレクチャーコンサートを聴いて、それを強く実感しました。

Feriにとって身近な存在になったフーゴ・ヴォルフ。機会を作って彼が関係するウィーン周辺の「ゆかりの地」を巡ってみたいと思います。

なお、7月30日には日本フーゴ・ヴォルフ協会による「ロベルト・シューマン生誕200年、フーゴ・ヴォルフ生誕150年」を記念したリサイタルが、東京の津田ホールで行われるそうです。詳しくはAustria-fan.comで紹介されているので、ご興味のある方は、是非お出かけ下さい。フーゴ・ヴォルフの「独特の世界観」にはまるかもしれません。

余談ですが、レクチャーコンサート終演後、主催した日独協会の皆さまとお食事をする機会に恵まれたのですが、ドイツやドイツ語に深い造詣のある皆さまなので、興味深いお話を沢山うかがうことができました。


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