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September 15, 2010

番外編 ロイヤルオペラ日本公演「マノン」

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今日は久しぶりの番外編をお届けしましょう。恒例のNBSさん招へいのオペラ・フェスティバルですが、今秋はイギリスのロイヤルオペラが登場しました。ロイヤルオペラの来日公演は1992年以来なので、18年ぶりとなります(当然、Feriは、前回は観ておりません )。

今回の演目はマスネ作曲「マノン」とヴェルディ作曲「椿姫」という二つ(各四公演)ですが、「マノン」には、かのアンナ・ネトレプコさんが出演するというので、話題になっていました。

Feriは、9月14日公演(二回目)を観たので、その様子をご紹介します。

当日の指揮は、アントニオ・パッパーノさん(ロイヤルオペラの音楽総監督、両親はイタリア人ですが、ロンドン生まれという方)でした。

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主なキャストはギョード・モルフォンテーヌ役がクリストフ・モルターニュさん、ド・プレティニ役がウィリアム・シメルさん、プセット役がシモナ・ミハイさん、ジャヴォット役がルイーゼ・イネスさん、ロゼット役がカイ・リューテルさん、宿の主人役がリントン・ブラックさん、レスコー役がラッセル・ブラウンさん、マノン・レスコー役がアンナ・ネトレプコさん、騎士デ・グリュー役がマシュー・ポレンザーニさん、伯爵デ・グリュー役(騎士の父親ですね)がニコラ・クルジャルさんでした。

ちなみにニコラ・クルジャルさんは、当初予定されていたクリストフ・フィシェッツァーさんが咽頭炎のため降板となったための代役です。余談ですが、今回のロイヤルオペラは、とにかく代役大会の様相を呈しています

今回の演出はロラン・ベリーさんによるもので、今年6月に現地で上演された新演出バージョンです。最近の演出ではありますが、比較的オーソドックスなものでした。すくなくともドイツ系の珍妙な演出よりは、まともでした。また、舞台装置は簡略化されていましたが、各場の雰囲気が良く出ていましたね。

舞台は第1幕と第2幕が1時間20分、第3幕が1時間、第4幕と第5幕が45分(第2幕と第3幕の後に各25分の休憩入り)でした。余談ですが、14日は16時開演でした。終演時間が20時と早いのはありがたいのですが、仕事を持っている人は、かなり厳しい開始時間でしたね。そのため、ご年配の方が多かったような印象を受けました。

演奏は、なかなか見事なハーモニーを奏でていましたが、Feri個人としては、オーケストラとしての個性が弱い感じがしましたね(ひねくれ者ですねぇ )。

さて、皆さん、お目当てのマノン・レスコー役のアンナ・ネトレプコさんですが、「マノン」を歌い慣れているだけあって、非常に安定していました。しかし、今年4月ウィーンでお目にかかった時とおなじく、健康的なイメージが強いふくよかな体格はそのまま

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という訳で、少女時代を演じる第1幕と第2幕は、役のイメージ通りでした。とにかく快活な少女(想定では16歳ですからねぇ)を見事に演じていましたね。

第3幕第1場では、パリで愛人となり、贅沢三昧名生活を送っている場面ですが、かつてのような「男を惑わす妖艶な美女」というイメージが弱くなっていましたね。幸い大きな帽子で顔が大きくなっているのがカバーされていたため、体格が良いのはそれほど気になりませんでしたが…なお、第1場で、マノンが男どもを引きつけるガヴォットがあるのですが、続きがあるにもかかわらず、途中で拍手が出てしまったのが残念でした

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が、第3幕第2場、神父となった騎士デ・グリューがいるサン・シュルピス修道院へマノン・レスコーが赴く場面では、帽子もなく、白いタイトなドレスなので、申し訳ありませんが、顔の大きさが目立ちましたね。そして体の線も…圧倒される迫力ではありましたが。

第4幕では賭博場に深紅のドレスで登場します。登場人物の中で、唯一深紅のドレスを着ているので、非常に目立ちます。また、髪をアップにしているので、存在感は抜群でした。また、「私にはお金が全て」という部分があるのですが、何となくご本人と一脈通じるのか、Feriにはやけにリアルに見えました。

最も興味深かったのは、流刑となったマノン・レスコーと騎士デ・グリューが再開する第5幕です。刑務所に収監されていたため、マノン・レスコーは痛々しく弱った姿…という設定なのですが、如何せん、体格がよろしいので、顔はメイクで汚れてはいるものの、元気はつらつといったイメージがぬぐえませんでした。とくに一度、道ばたに倒れたマノン・レスコーを騎士デ・グリューが抱き起こす場面がありますが、よっこらしょというかけ声が聞こえてきそうなほそ、重そうな感じでしたね

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その後、悲劇オペラの定番、ヒロインが最後の歌を歌って息絶えるのですが、もともとネトレプコさんは、声はきれいですが、音域が非常に広い歌手ではないので、死ぬ直前でもしっかりと歌わざるを得ません(小さな声でも、客席まで声が通る歌手がいますが、そういうタイプではありませんね)。そのため、意地の悪いFeriなどは、最後の場面は、心臓麻痺で突然死したような印象でした(少なくとも歌を聴く限りでは、衰弱死には見えませんでした。ごめんなさい )。

しかし、ネトレプコさんは「マノン」を歌い慣れているので、普通に見れば見事な舞台と言って良いでしょう。とくに「声の質」(艶)と声量に関しては、以前と変わらないと思います。声量はもしかしたら、出産後の方が大きくなったかもしれません。当然、お客さまからは、 ブラヴァが結構でていました。

お芝居は若手ソプラノ歌手の中では上手な方だとは思いますが、まだ若いためか、心の内面描写が物足りない感じがしましたね。ただ、これは演出家の考えであるケースも多いので、何とも言えませんが…

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意外と良かったのはお相手役の騎士デ・グリュー役のマシュー・ポレンザーニさんでした。声量もあり、歌にも力が入っていました。また、ギョード・モルフォンテーヌ役がクリストフ・モルターニュさんと、ド・プレティニ役のウィリアム・シメルが見事な演技で舞台を引き締めていました。

それにしても、マノン・レスコーというのは、関係した男を皆不幸にする小悪魔的な女性ですね。また、第3幕ではギョーがマノンの気を引くため、オペラ座のバレエ団を引っ張っきます。周りにはパリの色男どもが沢山いるのですが、バレエ中、バレリーナの品定めをして、終了後、バレリーナをお持ち帰りしてしまうという場面があります。まぁ、オペラとは言え、ずいぶんすごい展開ですね

「マノン」と言えば、同じ原作をベースにプッチーニが作曲したオペラ「マノン・レスコー」もありますね。「マノン・レスコー」の方は、一途な情熱がテーマになっていますが、皆さまはどちらの作品がお好みですか?
ところで、ウィーン当たりだとネトレプコさんが出演するオペラの チケットはプレミアムが付いて取り引きされているのですが、ここ東京では、今回、直前まで余っていたようです。つまり、日本では「普通のオペラファン」が見に来ている訳で、ウィーンのように「いつもはオペラは観ないけれど、ネトレプコさんが出るから見に来た」というちょっと変わったファン(オヤジが多いのですが)は少ないようです。

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なお、ネトレプコさんですが、2011年6月に予定されているメトロポリタン・オペラでも来日する予定になっています。出演するのは「ラ・ボエーム」で、役どころはミミとなっています。

ところで、今回のロイヤルオペラ日本公演では代役続出で、「椿姫」のヴィオレッタ役がアンジェラ・ゲオルギューさんからエルモネラ・ヤオさんに代わりました(NBSさんの説明では、ゲオルギューさんの娘さんが手術をすることになり、その立ち会いだそうです)。

ところが、代役のヤオさんですが、9月12日の初日、第1幕でアレルギー症状が出て、歌えなくなり、急きょ、第2幕からバックアップのアイリーン・ペレスさんに2幕に交代したそうです。御難続きのロイヤルオペラ日本公演ですが、残りが無事、上演されることを祈るばかりです。

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Comments

Feriさん、saraiです。

本日、3回目のマノンの公演を見てきました。
ネトレプコの美声にまさに酔いしれ、感動しました。
詳細は当方のブログで書いていますが、マノンはやはりネトレプコの歌うオペラだと思いました。

太めはあまりの音楽の素晴らしさの前に吹っ飛びました。

saraiはやっぱりネトレプコのファンですね。

Posted by: sarai | September 18, 2010 01:33

saraiさま、お久しぶりです。また、コメント、ありがとうございました。お気に障っちゃったでしょうか

Feriは、他の歌手が出演した「マノン」は見たことがありませんので、比較はできませんが、確かに雰囲気はぴったりだと思います。

個人的には記事にも書きましたが、3幕で男を惑わす妖艶さがもっと出ていたら最高だったと思います(少女時代からの変化が見所ですよね)。声がきれいなのは、おっしゃるとおりで、これが彼女の武器ですね(それにしても、生まれ持ったものなのでしょうが、これは特をしていますよね)。今後は、美声だけに頼るのではなく、さらに演技面をきわめてもらえたら…と思っています。

Posted by: Feri | September 18, 2010 08:46

Feriさん、saraiです。

いえいえ、気に障ったなんて、とんでもないです。気にしないでくださいね。
何と言っても、いつもお世話になっているFeriさんでうからね。

ただただ、ネトレプコの美声が大好きなだけなんです。透明な声のソプラノが聴きたくて、オペラを見ているようなものです。
もちろん、美しいネトレプコもいいですが、そうでなくても、あの声だけで大ファンになったでしょう。

もちろん、お芝居もうまいにこしたことはありませんが・・・

来年のMETも楽しみです。

Posted by: sarai | September 18, 2010 23:10

saraiさま、たびたびのコメント、ありがとうございます。

「ラ・ボエーム」のミミも似合いますね。ところで、こちらウィーンでは、なぜかネトレプコさんが出るときは、客層が変わってしまうのですよね。

Posted by: Feri | September 20, 2010 10:01

Feriさん、saraiです。

そうですね。ウィーンではあまりオペラに興味のなさそうなかたがネトレプコのオペラにきますね。
日本では、逆にあまりネトレプコのファンが多くなさそうですね。ブラヴィーの声がほとんどないです。おかしな現象です。

Posted by: sarai | September 21, 2010 12:12

初めまして。
僕は20日のマノンを見ました。

マノンはフレミングとデセイのDVDをそれぞれ持ってますが、やはりマノンはネトレプコで決まりでしょうか(因みにバレンボイムが僕は苦手なのでネトレプコのは持ってません)?

演出について言えば、ペリにしては少々理屈が先に来てしまったでしょうかね(勿論最近の単なる思い付き演出とは比べ物になりませんが)。

パッパーノの指揮とオケ、僕も余り印象に残ってません。コヴェントガーデンのオケも所詮あの程度でしょうか?

PS
ある種ミーハー(死後)的な現象でそういうことが起こるのでしょう。こういう事って洋の東西問わず変わりませんね。
一方、僕たちから見れば(オペラファンの端くれの僕からしても)、ネトレプコはオペラの数多いトップスターの一人でしかない訳です。
おかしいというより、おもしろい現象だと僕自身は思いますが。

Posted by: ジャンボ | September 21, 2010 22:10

ジャンボさま

コメント、ありがとうございます。
「マノン」の最終公演をご覧になった訳ですね。
考えて見ると、こちらウィーンではオペラ歌手のマスメディアへの露出度が、日本と比べ、格段に高いですね。そのため、「普通の人」の目にとまる機会が多いことも影響していると思います。
例えば、ORFのニュースでも、プルミエの祭は、評判などを流しますし。そうそう、「ラ・ボエーム」でネトレプコさんが復帰した際も、大々的に報道していました。

また、オペラが日本以上に一般的(日常的に見に行く訳ではなくても)なことも要因かもしれません。イメージとしては、歌舞伎の若手役者さんが日本で良く話題になるのと一緒かもしれませんね。

Posted by: Feri | September 22, 2010 08:06

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