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October 04, 2010

「ルクレティア・ボルジア」プルミエレポート

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首脳陣が交代して新シーズンを迎えたウィーン国立歌劇場ですが、やっと公演を観るチャンスが巡ってきました。前半のハイライトとも言えるグルベローヴァさん主演のドニゼッティ作曲「ルクレティア・ボルジア」です。10月2日にプルミエが行われたので、その模様をご紹介しましょう。

当ブログでもご紹介したように、この演目はウィーンでは事実上の初演です。また、他に起用できる歌手がいないためか、コンサート形式での上演となりました。

当日の指揮はFriedrich Haiderさん(グルベローヴァさんのご主人ですね)、主なキャストはアルフォンソ公役がMichele Pertusiさん、ルクレツィア・ボルジア役がEdita Gruberova さん、傭兵隊長ジェンナーロ役は José Brosさん、ジェンナーロの友人で士官のマッフィオ・オルシーニ役がLaura Polverelli さんでした。

初上演の演目だけに、当日のコンサートマスターはRainer Küchlさんでした。このオペラですが、女性の出演者は合唱団以外では、ルクレツィアとズボン役のオルシーニ(今回はCarmen Oprisanuさん、メゾソプラノ)の二人だけという珍しい演目です。余談ですが、Carmen Oprisanuさんは男役なので、本当にパンツ姿で舞台に登場しました。

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演奏は、そつなくまとまっている感じがしましたね。傭兵隊長ジェンナーロ役の José Brosさんは、グルベローヴァさんのお相手役に何度も起用されているので、安定した歌いぶりでした。また、このほかのキャストも、なかなか見事な仕上がりでした。

タイトルロールのルクレッィアは個性的な女性で、グルベローヴァさん向きの役だと言えます。例によって、ドロドロした人間関係が特徴のオペラです。Feriは以前、「現代演出」のバイエルン国立歌劇場版を観ていますが、今回はコンサート形式なので、まぁ、演出で不満が出ることはありません。

さて、第一幕、一人寝ているジェンナーロに、グルベローヴァさん扮するルクレツィアが近づき、アリア「なんと美しい」を歌うのですが、さっそくグルベローヴァさんの本領発揮。しかも、コンサート形式なので、舞台に出た瞬間、歌う前から盛大な拍手とブラヴァにはまいりました。コンサート形式とは言え、感情を込めた歌でお客さまを魅了していましたね。

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「ルクレティア・ボルジア」で見所の一つに第一場第二場があります。本来は、宮殿の紋章にあるBORGIAの「B」を取ってしまった(ORGIAは破廉恥という意味になるそうです)犯人を捜し、処刑するようにツクレツィアが夫のアルフォンソ公宮公に依頼するのです。ところが、アルフォンソ公はルクレツィアがジェンナーロを愛していることを知っていて、その上で、ジェンナーロを犯人として捉え、処刑するように命じます。

当然、動揺するルクレツィア。このとき、実は歌を歌わずに演技だけで、愛する人が処刑されるという揺れ動く女心を表現するのですが、さすがにコンサート形式では、ここは無理がありました。バイエルンでは、ここが迫真の演技だっただけに、ちょっと残念な場面です

その後、ジェンナーロの助命をアルフォンソ公に嘆願する場面も聴かせどころです。まさしく真に迫る迫力がありました。結局、ジェンナーロは毒薬で処刑されるのですが、ルクレツィアが解毒剤を差し出し、一命を取り留めます。
休憩を挟んで、第二幕となりますが、一幕のカーテンコールがすさまじかったこと。

第二幕の聴き所は、最後の場面でしょう。ルクレツィアが青年達に受けた屈辱を晴らそうと酒に毒を盛るのですが、こともあろうにジェンナーロまでも、この酒を飲んでしまうのです。一滴だけ残っていた解毒剤を差し出すルクレツィア。しかし、ジェンナーロは、友を見捨てるのは忍びないと解毒剤の服用を拒みます。しかも、ジェンナーロは、ルクレツィアを道連れにと、剣を向けます。窮地のルクレツィアが発した言葉は“私こそ、おまえの母親”。最後のアリアは、グルベローヴァさんお得意の感情の起伏が激しい歌なので、最高に盛り上がりました。

このオペラは、グルベローヴァさん扮するルクレツィアが登場する場面は、比較的少ないのですが、感情の起伏が激しい歌が中心なので、印象に残るシーンが多々あります。

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ウィーンで初の演目なので、最後は怒濤の拍手となりました。しかし、本来、抜群の演技力を要求される役だけに、舞台装置付きで見たかったところです。

ところで、新シーズンになってプログラムも変わりました。サイズが大きく(A5)になり、携帯に不便になりました。また、出演者リストに、主要なキャストの紹介(写真入り)が掲載されるようになっています。

なお、プログラムですが、従来の演目は、以前のコンパクトサイズのままです。従って、これからプルミエを迎える演目からサイズアップするようです。また、今まで劇場側から歌手に花束が贈呈されるケースはなかったのですが、今回は花束の贈呈も行われました。また、プルミエの関係者パーティー(劇場内で実施)が異様に長かったというウワサを耳にしました。

まぁ、首脳陣が変わると、色々と流儀も変わるようですね。

なお、10月13日から2011年1月9日まで、オーストリア劇場博物館で「エディタ・グルベローヴァ ウィーン国立歌劇場40周年記念展」が開催されます。ご興味のある方は、ご覧になったらいかがでしょうか。

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Comments

グルベローヴァさま、怒涛の拍手だったのですね!!私は3月にバイエルンで観ようと思ってます。チケットは12月発売なのでまだ入手してません。新演出ではなさそうなので、おそらくFeriさまがご覧になった現代風なのでしょう。その前の2月、リセウの「アンナ・ボレナ」はチケットもう買ってます。この2つは私にとって、この冬の滞在のハイライト! 今から楽しみです。惜しむらくは、ウィーンで観ることができないこと。40周年とはすごいですね。

Posted by: Bon | October 04, 2010 16:00

Bonさま、バイエルン国立歌劇場の公演については、以前、当ブログでもご紹介しておりますので、そちらをご覧いただければ、雰囲気がわかるかと思います。
そうそうバイエルン国立歌劇場の公演については、DVDが発売になっていますね。

リセウは行ったことはないのですが、比較的規模の小さい劇場のようで、グルベローヴァさんは最近、お気に入りのようです。

Posted by: feri | October 04, 2010 22:39

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