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November 05, 2010

ちょっと変わった「トスカ」の楽しみ方

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二回にわたって送りした「ドレスデンのDDR博物館」、お楽しみいただけましたでしょうか

さて、今日は久しぶりに「オペラの話題」をお届けしましょう。

オペラファンの方はご存じのように、オペラはギリシャ悲劇を下敷きにしているためか、登場人物、しかも主役級がよく亡くなります。先日、プッチーニの名作「トスカ」を見ていたとき、“もしかしたら「トスカ」というオペラは、亡くなり方のバリエーションが豊富な作品ではないか?”ということを考えてしまいました(不謹慎ですねぇ )。ご存じのように「トスカ」では、主役級の三人が全員、亡くなってしまいます

現在、ウィーン国立歌劇場で上演されている「トスカ」はオーソドックスな演出で、舞台装置も音楽にふさわしく重厚なものです。その中で、様々なパターンで登場人物が亡くなっていきます。

まず、最初に亡くなるのは警視総監スカルピア。まぁ、オペラの中では殺されても仕方がないような悪行を行っている悪役です。スカルピアは、トスカの自分のものにするため、トスカの恋人カヴァラドッシを逮捕し、拷問にかけた上、死刑を命じますよね(「サソリ」とはすごい名前ですが、スカルピアは、いわゆるサ○ィス○ですね )。

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スカルピアは、トスカにカヴァラドッシの命と引き替えに体を要求する…まぁ、えげつない男です。余談ですが、最近は「良い人」がスカルピア役に起用されることが多く、憎々しさが薄れてしまうのがちょっと残念です。10月にFeriが見たとき、スカルピア役はKSのFalk Struckmannさんでした。この方も紳士的な歌手なので、憎々しさはちょっと弱かったような…

良くガラコンサートなどでも取り上げられるトスカのアリア“歌に生き、恋に生き”は、すばらしい歌ですが、実際の舞台ではスカルピアに抱かれる前にトスカが歌う悲劇的な歌でもありますね。そして、トスカは、スカルピアに抱かれた直後、隠し持っていたナイフで彼の背中を刺して、絶命させます。最初のパターンは刺殺ということになります

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次に、亡くなるのは画家のカヴァラドッシです。彼の殺され方は、オペラの中でも珍しい銃殺刑です。トスカに殺される前、スカルピアはカヴァラドッシに死刑(銃殺刑)を宣告しているので、それが執行されます。トスカがスカルピアに体を許したため、スカルピアは部下に死刑執行に使う弾には空包を指示するのですが、実際には実弾が使われたため、あえなくカヴァラドッシはサン・タンジェロ城の屋上で絶命してしまいます。

トスカは、空包を使った処刑であることをカヴァラドッシに伝えているのですが、処刑が終わって刑場に倒れているカヴァラドッシに駆け寄ると絶命していた…まさに悲劇というにふさわしい展開です。という訳で、二人目はオペラでは珍しい銃殺です。

そして、最後はカヴァラドッシが死んだことに失望したトスカが、スカルピア殺害の容疑で追っ手が迫る中、サン・タンジェロ城の屋上から身を投げる…今度は投身自殺ということになります。

やはり主役級が全員死亡するため、音楽も音楽もドラマチックですが、まぁ、人が死ぬために、音楽も必然的にドラマチックになるのかもしれません。

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余談になりますが、トスカがサン・タンジェロ城の屋上から身を投げる場面では、実際に大道具の向こう側へ飛び降ります。もちろん、オペラ歌手にアクロバットみたいなまねはさせることができないので、飛び降りる高さは体が隠れる程度の高さになっているそうです。また、下には事故防止のため、クッションが置かれているそうです。

ところが、このクッションの調節が悪いと、飛び降りて死亡したはずのトスカが、クッションの反動で城壁の上に頭を出してしまうことがあるとか… 幸い?Feriが今までに観た「トスカ」では、こういったアクシデントはありませんでしたが、劇的に終わった瞬間、トスカが城壁から飛び出してきたら、喜劇になってしまいますね。

ところで、青島広志氏の著書「オペラ作曲家による ゆかいでへんなオペラ超入門」という本には、オペラでの「人の死に方」には、どのようなものがあるかが紹介されています

ちなみに病死(「椿姫」のヴィオレッタや「ラ・ボエーム」のミミはいずれも結核ですね、このほか「ランメルモールのルチア」のルチアのように精神疾患を患って亡くなるケースもあります。精神疾患の場合、演技が難しいですよね)、事故死(「地獄のオルフェウス」のエウリディーチェは毒蛇の咬傷ですが、あの世でしっかり生き返りますが…)、他殺(オペラではもっとも多いそうです。有名どころでも「カルメン」のカルメン、「リゴレット」のジルダ、「サロメ」のサロメなどなど、確かにたくさん殺されていますね)、自殺処刑などがあるそうです。

ちなみに自殺のパターンで多いのは、ドラマチックに見える自刃だそうですが、入水自殺や焼身自殺、投身自殺なども取り上げられているとか…。言われてみれば「マダムバタフライ」の蝶々さんも自刃でしたね。また、処刑は「アイーダ」や「ノルマ」でも見られますね。

ところで、お正月公演では、さすがに年始から人がたくさん亡くなるオペラは敬遠しているのか、「セビリアの理髪師」など、数少ない「人が死なないオペラ」が上演される傾向があります。しかし、今シーズンの国立歌劇場は総裁や音楽監督が交代したこともあり、1月5日に「ランメルモールのルチア」、7日に「トスカ」が上演される予定です。

Feriはオペラも好きですが、人がよく死ぬので、見終わったあと、すばらしい音楽を聴いたという気持ちにはなっても、心ウキウキという楽しい気分にはなりませんね。だから、オペレッタが好きなのですが…


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