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March 15, 2011

待ちに待ったフォルクスオーパー「チャールダーシュの女王」再演(後編)

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今日は、引き続きフォルクスオーパーで3月12日に改訂版再演が行われた「チャールダーシュの女王」の後編をお届けしましょう。

二幕は、ウィーンのヴァイラースハイム侯爵の館です。例によって金属フレームのドームを活用し、バックの照明で変化をつけるという舞台装置です。

エドウィンの父、レオポルト・マリア侯爵が息子とスタージの婚約発表のパーティを間いているところから始まります。リッペルト侯爵役のレオポルト・マリア侯爵のPeter Maticさんは文句のないすばらしい方なのですが、Feriには「マイ・フェア・レディ」のピッカリング大佐のイメージが強すぎて、どうもしっくり来ませんでした。

エドウィンアメリカに行ったまま音信不通のシルヴァが気になっているため、スタージに“ある知らせが車で結婚出来ない”と告げますが、スタージもエドウィンがシルヴァに恋をしていることを、薄々感じている。ここでの二人のやり取りが面白いところですね。

今回、スタージに起用されたAnita Götzさんはぽっちゃり系で、声量も十分ありました。ブダペスト・オペレッタ劇場で、かつて大活躍したマリカ嬢に近い雰囲気がありますね。ただし、アクロバット系の演技はありません。

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そこヘシルヴァがボニと現れるわけですが、このあたりシルヴァのIngeborg Schöpfさんは堂々たる演技でしたね。さすが客演だけのことはあります。

二幕のハイライトは、エドウィンとシルヴァのデュエット“踊りたい”です。今回は、二人とも意気が合っていました。
結婚したくても、身分(要するに世間体)が邪魔をしてウィーンでは、シルヴァに結婚を迫れないエドウィン。エドウィンとスタージの婚約発表の時、スタージが婚約発表を止めに入りますが、ここで「ツバメがするように巣をつくりましょう」の一節を歌って、エドウィンに正直になるように迫る場面が新鮮な感じがしました。

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結局、エドウィンを好きなのにも関わらず、態度が気に入らないシルヴァは、皆の前で、ブダペストで書いた「結婚を約束した書面」を破り捨て、ボニと一緒に立ち去りますが、このあたり、感情の起伏が激しいシルヴァの演技は見事。

二幕から三幕へは暗転ですが、従来の「これが恋というものさ」と「踊りたい」の間奏曲に加えて、前奏曲が再度、演奏されました。これも新しい試みかもしれません。

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三幕はボニとシルヴァが泊まっているウィーンのホテルです。舞台装置は、吊しものを上手に使い、ホテルのバーを見事に再現していましたが、冒頭にびっくり企画。何と男女のソリストによるダンスが加わりました。

どうもバーが閉店する前のスペシャルショーといった位置づけらしいのですが、何となく不自然。まぁ、三幕は歌や演奏の場面が少ないので、変化をつけるために入れたのかもしれません。

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お客さまが引き上げたところへ、ボニとシルヴァがやってきます。今回、ミクザはホテルの来場者を案内するなど、結構、芸が細かいところが印象的です。

三幕は従来の演出よりも、細かいお芝居が徹底するようになった感じがしました。そのため、物語の流れがよくわかるようになりました。この点は「こうもり」の改訂と一脈通じるものがありますね。

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シルヴァは、すぐにかっとなってしまう自分に落ち込んで戻ってきます。そこへ、フェリ・バッチが登場。フェリ・バチとシルヴァのお芝居が良い。フェリ・バッチは、事情を聞きシルヴァを慰めるため、ボニにバンドを呼ばせて“ヤイ、ママン”を歌います。最初は、乗り気ではなかったシルヴァも歌姫の血が騒ぎ、結局、歌の輪に入り、三人で盛大に歌いまくる…という三幕で最高に盛り上がる場面です。

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「チャールダーシュの女王」と言ったら“ヤイ、ママン”なのですが、今回はリフレインが一回だけ(しかも後半の三人で踊る場面だけ)に変更されていました。

個人的にはがっかりなのですが、考えてみると、ここで異様に盛り上がってしまうと、肝心のお芝居の印象が薄くなってしまいます。本来、ここからが二組のカップルが誕生する重要なお芝居があるので、おそらく、それを踏まえて、あえて“ヤイ、ママン”を控えぎみにしたのかもしれません。

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この後は、いかに二組のカップルを上手にとまとめ上げるかという「お芝居」です(詳しい「あらすじ」を知らないと日本人のお客さまにはつらい場面です)。「お芝居」なので、台詞が多いが、実は、このお芝居が面白いのですよ。

エドウィンに続いて、レオポルト・マリア侯爵がやってきて、ボニに詰め寄りますが、エドウィンと同じような仕草なので、ボニは“この一家は、病気か”のようなジョークを言って、観客を盛り上げます。そしてボニはスタージに電話でプロポーズ。また、今回はレオポルト・マリア侯爵とフェリ・バチがバーで雑談をする中で、婦人アンヒルデの素性がわかるという演出になっていました。

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素性がばれたところで、レオポルト・マリア公爵夫人が登場した方が、自然な流れですね。レオポルト・マリア公爵夫人のMaria Happelさんですが、「元チャールダーシュの女王」という雰囲気をよく出していて、見事が演技でした。フェリ・バチとのコンビネーションも良かったですね。

そこへ、ボニとの結婚を承諾したスタージもホテルへやってきます。ボニとスタージのデュエット「それが恋というものさ」を歌います。以前は、比較的長く歌っていたような気がしますが、今回は短め。テンポ良く次の場面へ転換します。

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シルヴァをあきらめてしまったエドウィンにシルヴァの本音を聞かせるため、ボニが電話を使った大芝居を打つ場面は従来と同じです。ただ、シルヴァは電話には出ず、やけの落ち着いていましたが。

最後のシーンは、シルヴァとエドウィン、スタージとボニ、リッペルト侯爵夫妻がカップルで、踊る中、フェリ・バッチ一人が、見えない相手をパートナーとして踊る場面になる。ちょっと、ホロッとくるシーン。でも、フェリ・バッチは粋なオヤジです。

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「こうもり」の改訂と同じく、基本は変えずに微修正をはかった感じがしますが、バレエの出番を増やしたような気がします。当然、カーテンコールでは演出家のRobert Herzlsさんも登場しましたが、当然、ブーはありませんでした。

三幕冒頭のソロだけが「取って付けたような感じ」(必然性が感じられない)ですが、それ以外は雰囲気を盛り上げていたと思います。しかし、曲順が変わっていることもあり、ルドルフ・ビーブルさんが譜面をおいていたのには驚きました(ほとんど見ていませんでしたが)。

歌手の仕上がりですが、タイトルロールのシルヴァIngeborg Schöpfさんは、お芝居は堂に入っており、歌も後半は調子が出てきた感じがします。ただ、個人的にはハウスメンバーでやってもらいたかったところですね。

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意外と良かったのはハウスデビューとなったアナスタシアがAnita Götzさん。彼女はかわいらしい感じだが、ぽっちゃり系なので声量もあり、今後が期待できますね。

エドウィンのDominik Köningerさんは、歌については、ほぼ合格水準といって良いでしょう。お芝居もなかなかこなれていましが、12日はカーテンコールの際に一部からブーが出ていました。

ボニのJeffrey Treganzaさんは、最近のフォルクスオーパーでは少ない「歌って踊れる歌役者」です。雰囲気も役にあっているような気がしますね。ただ、その分、声量に問題があるのか、マイクのアシストが必要なのかもしれません。全体的に、歌手のレベルはそろっているような感じがしました。

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ただ、新しい演出がこなれていない感じがしたので、今後に期待したいところです。しかし、ここで演出の改訂を行ったということは、2011/2012シーズンも継続上演される可能性が高いですね。少なくとも舞台装置は手を入れている訳なので、これは期待できます。

Feriとしては、安心して観ることのできる見事なオペレッタという評価です。是非、お越しください。

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オペレッタ |

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Comments

Feriさん、saraiです。

4月13日にビーブルさん指揮の「チャルダッシュの女王」を観る予定です。配役もエドウィン役がLadislav Elgrになる以外はすべて同じです。
今回の記事は大変参考になりました。ありがとうございました。
シルヴァ役のIngeborg Schöpfさんもよさそうとのことで楽しみです。この役が歌が駄目だと興ざめですからね。
前回ここでこの演目を観たのが2002年ですから、約10年ぶりになります。2002年とも大筋、演出は変わっていないようですね。

“ヤイ、ママン”のリフレインが1回だけは寂しいですね。せめて2回くらいはやって欲しいものです。

また、オペレッタの記事を期待しています。よろしくお願いします。

Posted by: sarai | March 16, 2011 at 11:47 AM

saraiさま、ご丁寧なコメントを頂きながら、返信が遅れて申し訳ございませんでした。

「チャールダーシュの女王」ですが、3月に集中的に上演しているので、だいぶこなれてきていると思います。改めて振り返ってみると、3幕のお芝居が非常に良くなっている(良い意味で緻密になっている)感じがします。どうしても言葉がわからないと、このあたり厳しいのですが、Feriとしては、全体的なバランスは良くなっていると思います。

Ingeborg Schöpfさんについては、ハンガリー色はさほど強くはありませんが、お芝居もうまいので、安心して観ることができると思います。

おそらく、この期間後滞在中ですと、例の「日本支援チャリティーコンサート」もご覧になる予定ではありませんか? ぜひ、素晴らしい滞在になることをお祈りしております。ウィーンのどこかでお会いできることがあれば、幸いです。

Posted by: Feri | March 26, 2011 at 11:42 AM

Feriさん、saraiです。こんばんは。

そうですね。3月からずっと公演が続くので、よい仕上がりになっていることを期待しましょう。

4月10日ですが、実ははっぱさんとご一緒する予定でした。で、いち早く、はっぱさんから「日本支援チャリティーコンサート」のお誘いを受け、その後の楽友協会でのマーラーも含め、はしごすることになりました。日本人として、ウィーンのかたがこういう形で支援してくれるのは嬉しいですね。
ウィーンでは例の「アンナ・ボレーナ」も聴けそうで、充実した日々が送れそうです。
ウィーンか東京かでいつかはお目にかかれることを楽しみにしています。

Posted by: sarai | March 26, 2011 at 06:57 PM

saraiさま、コメント、お返事、ありがとうございます。

「チャールダーシュの女王」ですが、今回のリニューアルに合わせて、プログラムが新しくなりました。日本語のあらすじも入りましたので、内容はご存じかと思いますが、記念にぜひお求めいただければ幸いです。詳しくは書けませんが、Feriもほんのちょっと、係わっているものですから…また、ブログではご紹介していませんが「南太平洋」のライブ版CDが発売になっています(Feriはまだ買っていませんが)。

私は「アンナ・ボレーナ」は断念組ですので、ぜひ、すばらしい公演をお楽しみになれることをお祈りしております。

本来、この時期、ウィーンはイースター(今年は遅いですが)で、一番、良い季節に入りますね。イースターは復活祭、正に音楽で「日本の復活」を支援してくれるウィーンの皆さまに、感謝する日々です。

Posted by: Feri | March 27, 2011 at 10:09 AM

Feri さん、こんばんは。Steppke です。

こちらでは、昨晩(今日28日の早朝)、Staatskapelle Dresden の Silvesterkonzert がNHK-BSで放送されました。

Thielemann がドレスデンに行き、ベルリンに対抗して Silvesterkonzert を始めて3年間、ずっとオペレッタのプログラムが続いていますが、あの Thielemann だし、ほとんどオペレッタをやらない(Peter Konwitschny の Die Csárdásfürstin などという恐ろしいものはありましたが..)オケだし、何よりもヴィーンでないし、鈍重で詰まらないだろうと勝手に決め込んで観て/聴いていませんでした。
今朝、たまたまその時間に目が覚めて聴いていたら、意外にも、とても楽しめました。(その為に今日は寝不足です)

そこで、ソプラノを歌ったのが、Ingeborg Schöpf さんです。
病気の Diana Damrau の代役だったようで、普段歌わない曲は譜面を持ってでしたが、Thielemann、Piotr Beczala というビックネームに伍して、聴き劣りもせず、かなりの水準でした。
急な代役でオペレッタを歌えるのは、Staatsoperette Dresden のメンバーの彼女しか居なかったのかも知れませんが、オペレッタ・ファンとしては嬉しい出来事です。
Thielemann が指揮台を降りて彼女に指示を出していたのも、面白い見物でした。

アンコールの1曲(Stolz)を除いて Kálmán で、Das Veilchen vom Montmartre、Kaiserin Josephine など題名しか知らない珍しい曲も演奏され、プログラムとしても興味深いものがありました。前者のテノールのアリアは、Volksoper の Die Csárdásfürstin で Edwin 登場のアリアとしてお馴染みの曲だという発見もありました。

もちろんヴィーン的ではなく、非常に豊潤な音なのでオペレッタらしくはないのですが、軽味もそこそこあり(あの Thielemann が..)、このような演奏会でのオペレッタもまた良いものだという感想です。

しかし、一昨年 Baden であった Der Zigeunerprimas の訳が『ロマの王様』というのは、NHKとしてちょっとどうだったのでしょうか?

Posted by: Steppke | January 28, 2013 at 10:48 PM

Feriさま、Steppkeさま
28日早朝放送のDie Operettengala aus Dresden録画しました。昨年はLehár特集でしたが、今年はKálmán特集でなかなか楽しかったですね。Ingeborg Schöpfさんは2011年4月VolksoperでのDie CsárdásfürstinのSylva役で観ていたのですが、今回は髪型が違い見違えてしまいました。Staatsoperette DresdenのSolistenensembleメンバーでもある由、リリーフとはいってもなかなかの貫録でしたね。

Posted by: Njegus | January 29, 2013 at 07:59 PM

Steppke様、Njegus様、日本の情報、ありがとうございます。

私も放送内容は知っておりましたが、どんな内容なのか興味がありましたので、詳細なご報告、感謝しております。

ところで、現地時間の今日、フォルクステアターで上演予定だった「白馬亭にて」は、前日になって演目変更となってしまいました。

理由は明確に書かれていませんが、どうやらキャストに問題が生じた可能性がありますね。フォルクス系の劇場は、カバーが十分手当されていないため、演目変更が多いので、頭が痛いです。そのため、1月はオペレッタ全滅です‥

その点、国立歌劇場は、よほどのことがない限りカバーを立てて、予定の演目を上演するのは、やはり外国人ファンに対する配慮かもしれませんね。

Posted by: Feri | January 30, 2013 at 06:18 PM

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