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March 14, 2011

待ちに待ったフォルクスオーパー「チャールダーシュの女王」再演(前編)

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日本では巨大地震と大津波、さらに原子力発電所のトラブルで大変なことになっていますが、13日にステファン教会で行われた四旬節最初のミサでは、大司教が日本の地震で犠牲になった方へ哀悼の意を表すメッセージがあったようです(伝聞ですが)。

こんな時に何のですが、楽しみにしている方もいらっしゃるので、「チャールダーシュの女王」編まではタイマー更新でお届けします。

昨年2月、フォルクスオーパーでダイレクターのマイヤーさんに会ったとき、Feriが“カールマンの作品がなくなって寂しい”と言ったことがあります。その時、マイヤーさんがニヤッと笑って“待っていなさい。ちゃんとやりますから”とのお答えいただきました。ついに、その日がやってきました。2010/2011シーズン、前半は低調だったフォルクスオーパーのオペレッタですが、3月12日、ついにカールマンの名作「チャールダーシュの女王」が再演されました。おっちゃんは、この日を待っていました。当然、これを観ないわけにはいきません。

実は、当初、予定にはなかった3月9日が「チャールダーシュの女王」再演一回目になったのですが、こちらは「事前公演」という位置づけで、正式な再演初回は3月12日でした。だいたい事前公演が入る場合、演出を変えているケースが多いのですが、実は、今回も演出の改訂が行われました。

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今回、再演での注目点は「1.指揮がルドルフ・ビーブルさんである」、「2.タイトルロールのシルヴァが客演になるなど出演者が一新された」、「3.曲目を含む演出に手が加えられた」という三点です。

演出は、安心して観ることのできるRobert Herzlsさん自身が手を入れているので、妙な演出になることは考えられません。問題は、どの程度、手が入っているかです。

指揮は巨匠Rudolf Biblさんですが、12日のキャストは9日の事前公演から一部変更になっていました。通常、事前公演は「ゲネプロ」の有料版のような位置づけなので、本番と出演者を変えないのが原則なのですが、今回は異例です。

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シルヴァがIngeborg Schöpfさん(シュタット・オペレッタ・ドレスデンからの客演。Feriも何度か観ていますが、実力派です)
アナスタシアがAnita Götzさん(オーストリアの人、将来有望。バーデンの「シュヴァルツヴァルトの娘」にも出演。フォルクスオーパー初出演)
エドウィンがDominik Köningerさん(「こうもり」のファルケで出演)
ボニがJeffrey Treganzaさん(2010/2011シーズンは「こうもり」のブリント、「ハロー・ドーリー」のAmbrose Kemper、「小鳥売り」の村長Schneck、「ガイズ・アンド・ドールズ」のRusty Charlieに出演。歌のレベルは高くはありませんが、歌って踊れる歌役者さんです)

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フェリ・バチが名優Kurt Schreibmayerさん
オイゲンがMartin Bermoserさん
レオポルト・マリア侯爵がPeter Maticさん(事前公演ではNicolaus Haggさん)
その妻アンヒルデがMaria Happelさん(事前公演ではRegula Rosinさん)
という面々でした。実は12日の本番ではフェリ・バチのKurt Schreibmayerさん以外、初めての役か、フォルクスオーパー初出演という、かなり大胆なキャスティングです(一応、事前公演で出演しているメンバーは初出演ではなくなりましたが)。

当初、フェリ・バチがWolfgang GratschmaierさんとMarko Katholさんのダブルキャストだったのですが、急きょ、Kurt Schreibmayerさんを引っ張り出してきたところに、出演者の「こなれ度合い」がわかります。

まず、気になる舞台装置ですが、予算も含めて、さすがに、そこまでは手が回らなかったようで、1幕から3幕まで従来の演出と全く一緒でした。ご安心を。ただ、Feriが前回観2008年2月26日なので、曲順などもはっきりと覚えていないところがあります。そこで、つたない記憶を元に比較してみることにします。なお、お芝居の部分が多いためか、今回は全員がマイクを使っていました。

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一幕は、ブダペストのオルフェウム劇場。シルヴァのお別れ公演から始まりますが、最初から看板歌手の「最後の歌」になるので、正直、ここでシルヴァ役の実力(と当日の調子)がわかってしまいます。Ingeborg Schöpfさんは、歌だけではなく、演技も上手なので、歌姫シルヴァの雰囲気を良く出していましたが、冒頭の「私の故郷は山の中」では、十分声が出ていなかったのが残念でした(それでも事前公演よりは良くなっていましたが)。

彼女の後援者(日本でいうところのタニマチですね)を自認するボニとフェリ・バッチが、ここでのもう一つの主役です。フェリ・バッチのKurt Schreibmayerさんは、やはり、この手の役はうまいですね。現役時代のSándor Némethさんに比べると、役のフィット度は下がりますが、雰囲気、抜群です。ボニ役がJeffrey Treganzaさんですが、身のこなしが軽く、青年貴族の雰囲気をよく出していました。

全体的にアンサンブルは事前公演の際よりも、遙かに良くなっており、きっちり修正してくるところはルドルフ・ビーブルさんの面目躍如です。

「チャールダーシュの女王」は、本来、一幕が一場から六場までありますが、今回も吊しものを上手に活用して舞台転換を行っていました。

エドウィンが遅れてやってくる場面は、オルフェウム劇場のロビー。ここで、エドウィンが外されたシルヴァの看板を前にして歌いますが、Dominik Köningerさん(前回はThomas Sigwaldさん)も気合いが入っていた。今回、エドウィンの性格付けが修正されたのか、優柔不断なところはなくなり、家系にこだわる人物になっていました。ただ、当日、「アニーを銃をとれ」でバーデンに出演しているThomas Sigwaldさんの方が歌に関しては、遙かに上でしたね。良かったが。

また、ミクサは劇場の支配人と3幕のホテルのボーイ長を、同一人物が兼ねる設定になっていました(そのため、3幕では、ボニたちと“なんで、おまえがここにいるのだ”といったやりとりが繰り広げられます。また、やたら金にどん欲な人物設定になっていました)。

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テンポ良く場面転換が行われ、次は劇場の楽屋になる。ここで、シルヴァ、ボニ、フェリ・バッチ、エドウィンが集まり、なじみ客同士で一杯やる場面も楽しいシーンですね。

そこへ、エドウィンをウィーンに連れ戻すためにオイゲンがやってきます。オイゲンとボニ、フェリ・バッチがオペレッタらしいやり取りを見せますが、このあたりも従来通りでしょうか。

この後に、例によってボニがお色気たっぷりの女性ダンサーと一緒に歌って踊る場面(歌い手の若い娘たちは)がありますが、しっかり足も上がっており、歌役者の面目躍如といったところですが、その分、声量が不足しているような気がしました。このあたりは、難しいですね。

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召集令状をもらったエドウィンは劇場に公証人を呼び、8週間のうちにシルヴァと結婚する約束を書面にし、彼女のアメリカ行きを断念させるところが、一幕では最も盛り上がる劇場関係者から祝福される場面ですね。今回の改訂でもっとも変わったのが、この部分です。

従来はメンデルスゾーンの結婚行進曲だけでしたが、今回はメドレーでカールマン「ハンガリー万歳」が新たに加わり、劇場のダンサーが踊る場面が加わりました。しかもごていねいに最後は、メンデルスゾーンのメロディーに戻るようになっています。ハンガリー色を強めることで、二幕以降との対比を明確にしたのでしょう。全般的にバレエ団の出番が増えたような気がします。これは華やかな雰囲気が強くなって良かったですね。

エドウィンがオイゲンとウィーンに発ったあと、ボニがオイゲンから手に入れたエドウィンとスタージの婚約通知を、シルヴァに見せて、彼女が落胆し、アメリカ行きを決意する場面では、以前よりもシルヴァの感情の起伏が強調されていたような気がします。

一幕の最後、一人劇場に残ったフェリ・バチが、シャンペングラスを床にたたきつけ、シルヴァの不幸を嘆くシーンは、従来通り。フェリ・バチの気持ちが良く伝わってくる名場面ですね。

notes 明日に続きます。

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