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April 04, 2011

事前公演(VORAUFFÜHRUNG)よもやま話

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今日は「フォルクスオーパーの事前公演のお話」です。

オペレッタやオペラで「新しい演出」に改訂した場合、プルミエが「公演初日」になるのが本来の姿です。しかし、最近、フォルクスオーパーでは、プルミエの前に「事前公演」を行うケースがあります。

この「事前公演」ですが、代表的なものが総舞台稽古と訳されることが多いゲネプロです。本来のゲネプロは、途中で演出家や指揮者の指示が入っていったん、公演を止めることもあるようですが、最近、フォルクスオーパーでプルミエの数日前に行われるゲネプロは、ちょっと性格が異なっています。

具体的には平土間の中央に照明や音響のコンソールこそ置かれていますが、基本的に公演は通常通り、通して行われています。また、舞台上は本番と全く同じで、プレスの皆さんが報道用の写真撮影を行っています(「ウィンザーの陽気な女房達」の時は、ゲネプロなのにカーテンコールまでやっていました。二枚目の写真がゲネプロ時の平土間です)。

さすがにオーケストラの皆さんは、私服ですが。しかも、最近のゲネプロは、劇場関係者が「お客さま」として結構入っており、無料の事前公演の様相を呈しています。もちろん、ここで通して上演し、細かい問題点を軌道修正することもあります。

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通常は、ゲネプロの後、「プルミエの本番」となるのですが、一部では、その間に有償の「事前公演」(VORAUFFÜHRUNG)が入るケースがあります。今回、演出が改訂された「チャールダーシュの女王」は、再演初日は3月12日だったのですが、急きょ、3月9日に事前公演が行われました。この「有償の事前公演」ですが、出演者が急きょ変更されるなど、準備内容に不安があるような場合に行われるケースが多いようです。

Feriが以前体験した事前公演で印象深いものは2001/2002シーズンに上演されたオペレッタ「ペンザンスの海賊」があります(1枚目と3枚目の写真が「ペンザンスの海賊」事前公演の模様です)。この公演はプルミエが2002年5月4日だったのですが、何と前日の5月3日に事前公演が急きょ設定されました。

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これは、出演者の一部が変更されたことによるもので、当日は、何とびっくり、急きょ入った新しい出演者が台本を片手に演じていました。なお、当初、この日は「小鳥売り」が上演されることになっており、Feriは1ヶ月前に「小鳥売り」を予約しました。その後、連邦劇場連盟ブッキングオフィスでチケットを受け取りびっくり仰天。演目が知らないうちに「ペンザンスの海賊」(事前公演)に変わっているではありませんか。

ブッキングオフィスの窓口で係員に確認したところ、「公演が変更になった」の一点張りでした。また、当日、劇場でも公演前に、事前公演に変更になった旨のお詫びがありましたね。そうそう、「ペンザンスの海賊」では、今回の日本支援コンサートにも出演予定の中嶋彰子さんが、大活躍されていました。

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このほか、2009/2010シーズンでプルミエを実施した「小鳥売り」も、9月6日に計画的な事前公演がありました(プルミエは9月8日。事前公演は料金がワンランク下のBに設定されていました)。このときはTiroler役2名がプルミエの際に交代しただけで、主要な役は同じでした。

このように通常、事前公演は最終的な仕上げなので、プルミエと同じ出演者を起用するのが普通です。ところが、今回の「チャールダーシュの女王」では、何と一部の出演者が変更になっていたのです。

重要な脇役であるレオポルト・マリア侯爵と妻のアンヒルデが、事前公演と再演初日では違っていました。具体的には、レオポルト・マリア侯爵が事前公演ではPeter Piklさん(Rollendebüt)でしたが、再演初日はPeter Maticさん(Rollendebüt)に、妻アンヒルデは事前公演ではRegula Rosinさんでしたが、再演初日はMaria Happelさん(Hausdebüt)に、それぞれ変更されました。ちなみに右の写真が事前公演(9日)、左の写真が再演初日(12日)のものです。

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どうですか? 比べてみると、結構雰囲気が違いますね。これは、事前公演でお二人の仕上がり具合が今一歩だったので、再演初日の出演者を変えたのかどうかわかりませんが、非常に珍しいケースだと思います(その逆も考えられますが…)。「チャールダーシュの女王」の事前公演ですが、オーケストラの演奏や舞台上とのタイミングの取り方は、確かにぎこちないところがありました。しかし、この成果だったのか、本番になる再演初日には見事に修正されていました。

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それから事前公演は通常、1回目にはカウントされません。しかし、「チャールダーシュの女王」では、Rollendebüt(役への初起用)とHausdebütの方が非常に多かったのですが、事前公演出演者に関しては、再演初日にRollendebütとHausdebütのマークが外れていました。一方、「小鳥売り」の時は、VORAUFFÜHRUNGへの出演は全くカウントされず、プルミエでRollendebütやHausdebütが記録されていましたね。恐らく、計画的な事前公演で、料金も下げていたためだと思われます。

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なお、今回は事前公演も再演初日も料金は全く一緒。ゲネプロが無料なのを考えると、何となくしっくり来ないのですが、まぁ、仕方がないですかね。計画的な事前公演の場合、正規のプログラムが販売されるのが普通なのですが、今回の「チャールダーシュの女王」では、プログラムの制作が間に合わなかったようで、事前公演の際にはゲネプロで使われる簡易版のプログラム(お値段は80セント)でした。これも異例ですね。ちなみに最後の写真が、「チャールダーシュの女王」事前公演の簡易プログラムです。

なお、今シーズン、Feriが最も注目している新演出の「メリーウィドウ」ですが、こちらも今の時点で5月19日に事前公演が計画されています(プルミエは5月21日)。興味深いのは、この「メリーウィドウ」の事前公演についても「小鳥売り」と同様、料金が本番よりもワンランク下のBクラスに設定されています。さて、どのような事前公演になるのか、ちょっと興味がありますね。

このように事前公演は、本番とは異なり、仕上がりが今ひとつのケースが多いのですが、興味深い発見があるので、やめられませんね。


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