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June 19, 2011

番外編 新国立劇場「マダム・バタフライ」

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今日は日本国内で上演されたオペラの話題をお届けしましょう。Feriは、予算の都合もあって、日本のオペラは観ない主義なのですが、今回、ひょんなことから新国立劇場で上演された「マダム・バタフライ」を観るチャンスに恵まれました

本来、日本を代表するオペラ劇場として期待された新国立劇場ですが、皆さまご存じのように、スタート当初から運営母体と音楽監督の確執などがあり、運営方針が二転三転しています。何しろ本場のオペラに精通した方が財団のトップについていた訳ではないですからね。本来はウィーンのように音楽やオペラに造形の深い方がトップにつくと良いのですが‥

さて、今回、Feriが観た公演ですが、指揮はトロント出身のイヴ・アベルさん、演出は栗山民也さんです。
キャストですが、蝶々さんはオルガ・グリャコヴァさん、ピンカートンはゾラン・トドロヴィッチさん、シャープレスは甲斐栄次郎さん、スズキは大林智子さん、ゴローは高橋 淳さん、ボンゾは島村武男さん、神官は佐藤勝司さん、ヤマドリは松本 進さん、ケートは山下牧子さんという面々でした。

主役クラスに海外から招へいしたゲストをあてるかどうかは、難しい問題ですね。興行的には実力派の歌手を呼んできた方が良いのは間違えないのですが、反面、オペラ上演が少ない日本では、日本人歌手が育たないという問題も出てきます。

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ウィーン国立歌劇場もそうですが、海外で「マダム・バタフライ」を上演すると、蝶々さんが妙な衣装登場するケースが多々あります。また、衣装は着物でも、身のこなしが日本人が観るとがっかり‥というケースもあります。

これは、歌手に問題があるのではなく、演出家の指導に問題があるわけです(そもそも日本文化に造詣が深いオペラ演出家は、いないですよね)。その点、今回は、新国立劇場で数々のオペラ演出を手がけた栗山さんなので、期待が持てます。

舞台装置は、シンプルなデザインでしたが、螺旋階段を使うなど、長崎をイメージしたものになっていました。ただ、舞台中央に日本家屋はなく、大広間があるだけ。その後ろに障子があり、これで変化を付けていました。

ただ、衣装に関しては、さすがに日本人。日本人役の多くは本物の着物をお召しになっていました。一幕の嫁入りシーンなどは、見応えがありましたね。このほか、小道具を使った演出も光りました。例えば、一幕で蝶々さんが嫁いでくる時、父親の位牌を持ってきてピンカートンに説明するのですが、ピンカートンは意に介せず、粗雑に扱います。Feriは、こういった芸の細かい演出は好きですね。蝶々さんは嫁ぐ前にキリスト教に改宗している訳ですが、十字架を手にして、祈るシーンなども印象的でした。

蝶々さんを演じたオルガ・グリャコヴァさんはロシア人ですが、着物の着こなしに加えて、こまかい身のこなし(着物を着ての歩き方、座り方、お辞儀の仕方)も見事でした。正直、かなり日本人を研究されたと思います。また、演出陣のアドバイスもあったのかもしれません。歌に関しても、最後まで声量が落ちることはありませんでした(蝶々さんは、一幕から三幕まで、ほぼ出ずっぱりで、三幕に山場のアリアがありますから、歌手泣かせの役ですよね )。

反面、客席からみると、しっかりとした着付けをしていたようなので、歌うのがたいへんだったのではないかと思います。ところで、グリャコヴァさんは2012年3月、ウィーン国立歌劇場で「マダム・バタフライ」に出演予定です。こちらも興味深いですね。

ピンカートンはゾラン・トドロヴィッチさん(ユーゴスラビア出身)は、全般的に高音の伸びが今ひとつでした。とくに、一幕の前半は、気になりましたね。一幕の後半からはまずまずの出来になってきましたが、全体的に物足りない感じがしましたね。やはりテノールは高音の伸びが勝負というところがありますから、難しいところです。ただ、お芝居はなかなか上手な方で、女にすぐ手を出すアメリカ人の雰囲気は出ていました。

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ウィーンでも活躍されている甲斐 栄次郎さんは、今回、領事シャープレスでしたが、さすがに堂々とした歌いぶりと演技で、安心して観ることができました。すでにベテランの風格が感じられます。ただ、一幕では、若干抑え気味だったように感じました。ただ、二幕にピンカートンの手紙を持って蝶々さんを訪ねるシーンや、三幕では、いつもの甲斐さんらしい歌いぶりになっていましたね。

このほか、スズキの大林智子さんがなかなか良いお芝居を見せていました(良い味を出していましたね)。このほか、共演した日本人歌手の方も、全体的に良い仕上がりでした。演出も奇をてらったものではなく、好感が持てます。

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ただ、シーズン中の上演が、1ヶ月間で、回数も5回では、歌手の個性を前面に出した上演が難しいと思います。Feriとしては、もっと歌手の個性を出してもらった方が興味深い舞台になると思いますが、これは日本の現状では難しいのかもしれませんね。

改めて「マダム・バタフライ」を観ると、昔の日本人が持っていた「自己犠牲の精神」にプッチーニが惹かれたのではないか‥という気がしました。

ところで、当日、劇場で配布していた出演者リストに、カバーの方のお名前まで入っているのが、日本らしいところです。ところで、来シーズンは久しぶりにオペレッタ「こうもり」が上演されるようなので、機会があれば観に行ってみたいと思います。

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