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September 15, 2011

アッと驚く新演出「ウィーン気質」(その1)

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待望の2011/2012シーズンが開幕しました。国立歌劇場では、日本の甲斐 栄次郎さんが「シモン・ボッカネグラ」でドミンゴさんと共演しましたね。

さて、本来ならば「ウィーン気質」はプルミエを観たかったのですが、今回は諸般の事情で、鑑賞はプルミエの翌週となりました。さっそくですが、その模様をお伝えしましょう。

指揮はAlfred Eschwéさん、イプスハイム=ギンデルバッハ侯爵(ロイス=シュラインツ=グライツ国首相)がCarlo Hartmannさん、ツェドラウ伯爵がThomas Blondelleさん、伯爵夫人ガブリエーレがKristiane Kaiserさん、フランツィスカ・カリアリはSieglinde Feldhoferさん、フランツィスカの父親カグラーがWolfgang Böckさん(テレビにも出演している有名な役者さんです)、ペーピ・プライニンガーがJohanna Arrouasさん、ヨーゼフがThomas Sigwaldさん、フィアカーの御者がGerhard Ernstさん、ヨハンシュトラウスがGeorg Wacksさんといった面々でした。

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ご存じの方も多いように「ウィーン気質」は、作品に合わせて作曲したのではなく、作品に既存の曲を合わせたため、普通のオペレッタ以上にお芝居の部分が多いのが特徴です。

そのため、今回のキャスティングでは、Wolfgang Böckさんをはじめとする役者さんに加えて、お芝居の上手な歌手を起用したようです。結論から言えば、これが当たり。さすがマイヤーさん、本質をよく押さえています。

お話はオリジナルと同じですが、二幕の途中で休憩を入れるパターンになっていました。上演時間は3時間と、最近の作品にしては長めですが、これはバレエ部分が充実していることも影響しているようです。

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演出ですが、近代化せず、世紀末の雰囲気を醸し出したものでした。また、役の性格付けをしっかり定義しており、観ていてわかりやすい展開になっていました。

なお、一幕が始まる前に「語り」が出てきて、口上を述べます。一幕は「ツェドラウ伯爵の別荘」ですが、回り舞台と吊しものを上手につかって雰囲気を出していました。印象的な舞台装置は横に長いソファーでしょうか。

とにかく性格付けがはっきりしているので、かんしゃく持ちのフランツィスカは、ヨーゼフなどに当たり散らします。

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また、一幕の見どころは、何と言ってもイプスハイム=ギンデルバッハ侯爵のCarlo Hartmannさんと、彼を運んできたフィアカーの御者Gerhard Ernstさんとの掛け合いでしょうね。

Gerhard Ernstさんの出番は、ここだけ(時間にして5分程度)なのですが、さすがにお二人とも見事なお芝居で劇場は爆笑の渦。よく、こんなちょい役にGerhard Ernstさんを引っ張り出したものです。

そして、娘を訪ねてきたカグラーのお芝居は、さすがに逸品です。存在感は抜群ですね。この人、プラーターあたりにいるおじさんの雰囲気が良く出ています。コテコテのウィーン訛りなのですが、何でもグラーツのご出身とか(ご出身はリンツで、演劇学校がグラーツだったそうです)。

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フランツィスカの衣装を届けに来たペーピとヨーゼフのやりとりも、踊りながら歌う設定になっており、これまた楽しい場面です。Johanna ArrouasさんとThomas Sigwaldさんの面目躍如といったシーンが見どころでしょう。一幕は1時間ほどあるのですが、テンポがよいため、余り時間を感じさせません。

休憩時間を1回にしたため、回り舞台を使った暗転で二幕へ入ります。ハイソサエティが集まるパーティ(設定はヴェルニサージュ)なので、ここからバレエ団、合唱団の出番が始まります。

賑やかなヴェルニサージュの会場で注目を集めるのは、シュタットパークを抜け出してきた金色のヨハンシュトラウス。こんなところでアルバイトをしていたの? 旧市街で見られるパントマイムの要領で、ポーズを取っています。もちろん、時々演奏も‥そして、お客さまにチップを要求。

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今、工事中で本物のストラウス像がないことを意識して登場させたのでしょうか‥いずれにしても、シュトラウス君、本来の舞台進行とは別の形で、お芝居を展開する名脇役になっています。

舞台装置は回り舞台の大道具と吊しものを使ってヴェルニサージュ会場の雰囲気をよく出しています。最初のバレエは、ウェイター、ウェイトレスに分したダンサーが、ヴェルニサージュに集まってきた紳士淑女をおちょくる踊り。この振付が、なかなか楽しいですね。当然、最後はシュトラウス君の周りに集合。

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ペーピはフランツィスカから、会場で衣装が会わなくなった時のために‥ということで、ヴェルニサージュの会場に呼ばれているのですが、入り口で怖そうなセキュリティのお兄さんにブロックされてしまい、会場内へは入ることができません。このあたり、Johanna Arrouasさんの演技が光ります。

結局、ペーピは最後はセキュリティを騙して、会場内に入るのですが、セキュリティに見つかり、担がれて退場‥コミカルな演技は彼女の個性がよく出ています。

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そういえば、ヴェルニサージュには色々な有名人が紛れ込んでいます。フロイト風のおじさまやクリムト風のおじさまなどです。フロイトは参加者を観察し、精神分析の真っ最中。フロイトは絵筆をとっています。直接、物語の進行とは関係ないのですが、世紀末の雰囲気を醸し出すのには、必須のアイテムなのでしょう。

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ところで、ツェドラウ伯爵の母国は架空の国なのですが、イプスハイム=ギンデルバッハ侯爵が二幕でかけている「たすき」の色は黒・赤・黄の三色。これだけで、架空の国がどこをイメージしているか、子どもさんでもすぐにわかるという粋な演出です。

なお、二幕前半は、ツェドラウ伯爵夫人が伯爵に対し、“彼の人柄がすっかり変わり、魅力的になった”と告白する場面でお開きとなります。二幕前半は約30分なので、前半は1時間30分ほどになっていました。結構、引っ張りますね。

notes どうも新演出のオペレッタものは気合いが入ってしまうので、ご紹介が長くなります。後半は明日、お届けしましょう。

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