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September 16, 2011

アッと驚く新演出「ウィーン気質」(その2)

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今日は新演出「ウィーン気質」の後半をお伝えしましょう。

20分の休憩を挟んで、二幕後半へ。冒頭、フロイトがウィーン気質に染まってしまったツェドラウ伯爵と面接をするシーンが入っています。これが地元のお客さまには大受け。確かにお堅い人間がいきなり女性に目がない人間に変身してしまったのですから、精神分析をしたくなるのもわかります。

そして、二幕後半に見どころは、フランツィスカ、ツェドラウ伯爵夫人、ペーピの三人が揃って歌う場面でしょう。この場面、歌手のプライドもあり、つばぜり合いが面白い場面です。また、この後、三幕で逢い引きする三組にカップルで合唱する場面も見どころでしょう。

二幕から三幕へは暗転になりますが、緞帳が下りている間、なんとカグラーがアコーディオンを弾くモーツァルト風のお兄さんと掛け合いをする場面が展開されます。

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アマデウスが奏でるアコーディオンのメロディに合わせて、カグラー役のWolfgang Böckさんが歌うのです(というか語りに近いですが)。この歌詞が、地元民に大受け。大爆笑の渦に包まれます。この間、舞台では舞台装置の交換が行われています。

しかし、この場面、Wolfgang Böckさんの大物ぶりが遺憾なく発揮されます。写真入りポスターに出すぐらいですから、マイヤーさんも多いに期待してた役者さんであることは良くわかりますが、その期待に十分応えていました。

さて、三幕はヒーツィングのフェスト会場。フェストと言っても、大人が「らんちき騒ぎ」をすることがお約束のフェストです。

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舞台上には巨大な卵形(当然、人が入るため半分ですが)をした東屋が三つ、そしてその卵を産んだのでしょうか。巨大なダチョウが三羽。このダチョウ、正直、不気味な感じで舞台を回っています。メリーゴーラウンドはなし。まぁ、ダチョウ君で代替えということでしょうか。

らんちき騒ぎの中での逢い引きという設定にはピッタリの「怪しい舞台装置」です。でも、電飾を上手に使っているので、きれいですね。なお、三幕でも、「らんちき騒ぎの場」なのでバレエ団も大活躍。なかなか見事な踊りを見せてくれます。この卵形東屋を巡る逢い引きが三幕の見どころ。

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ペーピとツェドラウ伯爵、ペーピとヨーゼフのやりとりが面白いところです。最後はオリジナル通りツェドラウ伯爵夫妻、ペーピとヨーゼフが結ばれます。

そしてイプスハイム=ギンデルバッハ侯爵がフランツィスカを母国の宮廷劇場に採用するという話になり、お開きとなりました(実際にはカグラーの肩入れで、イプスハイム=ギンデルバッハ侯爵はフランツィスカと結婚することになります)。

ドタバタ騒ぎの後は、皆さん、元の鞘に収まりました‥という、いかにもウィーンで起こりそうなお話です。そうそう、二幕と三幕では、カイザーとシシィ風のお二人が舞台に登場します。これもまた、ご愛敬。

Feriは、実際に観るまで、こんな演出になっているとは想像もしていませんでしたが、奇抜な演出ながら、要所を押さえており、ご年配の方から若い方まで楽しめる「楽しい舞台」に仕上がっていると思います。

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出演者ですが、一部の配役はダブルキャストになっています。Feriが観た回は、適材適所のキャスティングだったと思います。唯一、物足りなかったのはツェドラウ伯爵のThomas Blondelleさんでしょうか。一生懸命に歌っているのは評価できますが、全体的にお芝居がまだこなれていない感じがします。

また、歌い方にも余裕があまりないような気がしました。ちょっと軽すぎる感じもしましたね(ただ、今回の演出では、従来と異なり軽い人物設定にしている可能性はあります)。

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ただ、今回はイプスハイム=ギンデルバッハ侯爵のCarlo Hartmannさん、伯爵夫人ガブリエーレのKristiane Kaiserさん、フランツィスカのSieglinde Feldhoferさん、カグラーのWolfgang Böckさん、ペーピのJohanna Arrouasさん、ヨーゼフのThomas Sigwaldさんなどが、見事な歌と演技を披露してくれたので、十分にカバーしていたと思います。

なお、プルミエの新聞評では、Carlo Hartmannさんの評価が良くなかったようですが、Feriが観たときは、普通の仕上がりだったような気がします。

Feriが気に入ったのは、ペーピのJohanna ArrouasさんとヨーゼフのThomas Sigwaldさんです。Thomas Sigwaldさんは主役も張れるほどの歌役者さんですから申し分ありません。

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さらにJohanna Arrouasさんが、かなりレベルを上げてきていますね。歌って、踊れて、お芝居もできるという歌役者の力量が確実についてきているような気がします。今後が楽しみです。

今回は、海外からのお客さまよりも、お芝居が多いこともあり、地元のお客さまに心底喜んでもらおうというコンセプトなのかもしれません。ただ、台詞がよくわからなくても、あらすじがわかっていれば、十分楽しめる舞台に仕上がっています。オペレッタファンにはお勧めの舞台と言えるでしょう。

なお、Feriが好きなMartina Dorakさんがフランツィスカに起用される回もあります。また、ツェドラウ伯爵にMark Adlerさん、イプスハイム=ギンデルバッハ侯爵にAndreas Daumさんが起用される回もあります。主役級が変わりますから、雰囲気も変わると思います。これも是非、観たいですね。


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Comments

Feriさん、こんにちは、saraiです。

新演出、なかなか面白そうですね。是非、見てみたいところですが、10月のウィーン滞在は20日~30日で、Wiener Blutはその前後で残念! また、次の機会に見てみましょう。

その代わり、まだ見ていない昨シーズンの新演出のDie lustige Witweをようやく見ます。Feriさんのレポートを参考にさせてもらいます。Hanna Glawari役はAlexandra Reinprecht、Danilo 役はDaniel Schmutzhard、Njegus役はRobert Meyerと主要メンバーはプルミエと同じですが、後は指揮がAlfred Eschwéなど別メンバーです。(来年の来日公演は例の事情で見ないので、ウィーンで見ます)

また、ウィーンでお会いしましょう。

Posted by: sarai | September 17, 2011 at 09:31 AM

Feriさん、ご無沙汰しています。Steppkeです。

新演出のWiener Blutがなかなか登場しないと思っていたら、珍しくPremiereには行かれなかったのですね。
いつもながらの詳細な説明で、いろいろと観なければならないポイントが想像でき、実際に接することが出来た時の楽しみが増します。
しかし、よく1回(2回?)ご覧になっただけで、ここまで詳細に書けますね。いつも感心します。

スケジュールを確認したら、今シーズンは11月6日までしか上演されないようです。(後半にも他の演目からの差替えがあるかも知れませんが) Wienには今年前半に3回も(Feriさんからすれば少ないですが)行ったので、なかなか予定が立ちませんが、何とか観たいものです。

VolksoperのWiener Blutと言えば、2度目の来日(1982年)がやはり印象的でした。
その後も3回ほどそちらで接していますが、その時のプログラムを見ると1989/90年シーズンからとなっています。演出Herzlさん・舞台Dessyllasさんは同じなので、少し手直しされたということでしょうかね?
いずれにせよ、長い間掛かっていた定番が新しくなるというのは、楽しみでもありますが、少し寂しい感じもします。

Posted by: Steppke | September 17, 2011 at 12:57 PM

saraiさま、こんにちは。コメント、ありがとうございます。

今シーズンの「メリーウィドウ」も、すでに観ていますが、シーズン始め‥ということもあり、残念ながら、今ひとつのところがあります。詳しくは、ブログの記事でご紹介しますので、ご覧ください。

なお、指揮がAlfred Eschwéさんならば、安心して観ることができると思います。

Posted by: Feri | September 17, 2011 at 03:18 PM

Steppkeさん、こんにちは。コメント、ありがとうございます。

>今シーズンは11月6日までしか上演されないようです。

シュトラウスさんがシュタットパークに戻ってしまうから‥という訳でもないでしょうが happy01

ところで、例によってフォルクスオーパーのロビーに「Wiener Blut」の公演記録が出ていました。一部、抜けているところがあるかもしれませんが、Steppkeさんがご指摘に公演は2006年まで行われていたバージョンでしょうね。2006年5月まで112回、上演されています。
今回の演出はThomas Eizingerさんです。新演出化の背景については、後日、考えて見たいと思っていますが、一つには「従来の演出に対応できる歌役者がない」という事情もありそうです。
これは、かなり深刻な問題ですが、現状の歌手の実力が発揮できるような演出にしているという見方もできるかもしれません。

なお、ルドルフ・ビーブルさんですが、お歳の関係もあり、フォルクスオーパー交響楽団との来日は、もうなさそうです。

Posted by: Feri | September 17, 2011 at 03:29 PM

Feriさま
毎日貴ブログ待ち遠しく拝見しております。Wiener Blutの新演出版なかなか良さそうですね。来春Volksoper来日公演には持ってこないのは残念です。新演出?のDie lustige Witweだけは観に行こうと考えています。Die Fledermausは今年4月ウィーンで観たのと同じ演出でしょうね?。年末年始のVolksoper SO公演にBiblさんが来られないとか。4月にはBaden Stadttheaterの楽屋口でばったり出会い、CDを頂きました。続けてVolksoperでのDie Csárdásfürstin, Die Fledermausと3回もBiblさんのお元気な指揮ぶりを堪能してきたのに、残念です。

Posted by: Njegus | September 21, 2011 at 09:56 AM

Njegusさま、お久しぶりです。

来年の日本公演は2年前に決まっていたようですから、やむを得ないでしょうね(「メリーウィドウ」の新演出版実施前に決まっていたようです)。

「こうもり」は、Njegusさまがご覧になった演出と一緒です。

なお、Biblさんですが、こちらウィーンでは今シーズンもフォルクスオーパーで振るようですから、ご安心ください。やはり長距離の移動がしんどいのかもしれませんね。

それからメルビッシュにも主演しなくなってしまったのも残念です(最近は暑いですから、負担が大きいのでしょう)。

来年のフォルクスオーパー来日公演では、「ウィンザーの陽気な女房たち」が一番評価が分かれそうな気がします(Feri個人としては、日本人のメンタリティに合わないような気がするものですから‥)。

Posted by: Feri | September 21, 2011 at 07:00 PM

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