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September 19, 2011

「ウィーン気質」セカンドクルーの仕上がりは?

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今日は昨日に引き続き「オペレッタの話題」お届けしましょう。

ご存じの方も多いと思いますが、フォルクスオーパーの場合、比較的短い間隔で上演するケースがあるため、ダブルキャスト制をとっています。一般的にプルミエから3公演くらい経過すると、ダブルキャストのもう一方が登場します。Feriはセカンドクルーと言っていますが…

実際問題、プルミエの場合、特定の歌手を売り出すと言った政治的な意味合いもあり、必ずしも歌唱力や演技力の高い歌役者さんばかりで構成されていません。これは、ある意味、やむを得ないところでしょう。

さて、「ウィーン気質」ですが、主役級ががらりと変わった回も観ることができたので、仕上がりをご報告しましょう。

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当日の指揮はプルミエから継続しているAlfred Eschwéさんでした。キャストはイプスハイム=ギンデルバッハ侯爵(ロイス=シュラインツ=グライツ国首相)がCarlo HartmannさんからAndreas Daumさんに変更、ツェドラウ伯爵がThomas BlondelleさんからMark Adlerさんに変更、伯爵夫人ガブリエーレがKristiane Kaiserさん、フランツィスカ・カリアリはSieglinde FeldhoferさんからMartina Dorakさんに変更、フランツィスカの父親カグラーがWolfgang Böckさん、ペーピ・プライニンガーがJohanna Arrouasさん、ヨーゼフがThomas Sigwaldさん、フィアカーの御者がGerhard Ernstさん、ヨハンシュトラウスがGeorg Wacksさんといった面々でした。

伯爵夫人ガブリエーレのKristiane Kaiserさん以外、主役級が全面的に交代しています。

まず、ギンデルバッハ侯爵のAndreas Daumさんは、最初は堅物だったのが、三幕までにウィーンの女性の魅力によりメロメロになるという変化がはっきりしており、Carlo Hartmannさんよりも雰囲気が出ていたように感じました。この落差がテーマなだけに、Andreas Daumさんの方が向いている可能性はありますね。

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また、伯爵のMark AdlerさんはThomas Blondelleさんより、余裕を持って演じていたように感じました。歌の仕上がりもまずまずです。ただし、若干張り切りすぎなのが心配でしたが、これは上演回数を重ねるうちに調整してくると思います。

フランツィスカのMartina Dorakさんは、いつもながら安定した歌とお芝居で、安心して観ることができました。やはり上手ですね。ただ、一幕などでヒステリーを起こす場面があるのですが、この点だけはSieglinde Feldhoferさんの方が、際立っていたような気がします。Martina Dorakさんは笑顔が素敵な女性なので、正直、ヒステリーを起こしている場面は似合わないような感じ。まぁ、これは好みの問題かもしれませんが‥

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演奏は指揮がAlfred Eschwéさんだったこともあり、問題ありません。全体的なコンビネーションも、前回同様、良かったですね。ファーストクルーと比べると、セカンドクルーの方がトータルでは仕上がりがよかったような気がします。このあたり、どちらを見るかというのが悩ましいところ‥よく「なんで、同じ演目を二回も続けて見るの?」と質問されることがあるのですが、主役級の出演者が変わった場合、舞台全体が大きく変わりますので、どうしても観たくなってしまうのですよ。

二回目によく観察したところ、大道具でシュニッツラー、ハンス・マカルトの絵画が出ているようでした。今、ウィーンでは特別展を開催中なので、それも意識したのでしょうか。

それから、なぜ、三幕でダチョウが出てくるのか‥と思ったのですが、ダチョウはドイツ語でシュトラウス(Strauß)‥なるほど。よく考えてあります。色々な所にシュトラウスさんが登場するところがミソなのでしょう。
さて、プルミエの新聞評は、歌手の評価が低かったのですが、Thomas Enzimgerさんの演出は高評価でした。その後、調べたところ彼はグラフィック専門学校写真科卒で、劇作家、俳優、なんでもできる万能タイプの方だそうです。そう考えると華やかな舞台も納得。

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ところで、フォルクスオーパーのロビーに過去の「ウィーン気質」に関するデーターが出ていましたが、1982年9月8日から上演が始まったバージョンがOttoSchenkさんとRobertHerzlさんの演出によるもので、1987年6月まで合計101回上演されています。

その後、1989年10月9日からPeterGruberさんの演出による新バージョンの上演が開始されます。こちらは1997年5月まで、合計110回上演されています。

そして、1998年1月7日からRobertHerzlさんが、さらに手を加えたバージョンの上演が始まりました。こちらは2006年5月までに、合計112回、上演されているようです。

Feriが、以前観たバージョンは1998年1月から上演が始まったものでした。背景に古いウィーンの風景画が使われ、緞帳の上にはウィーンの紋章という趣のある舞台だったことを覚えています。


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オペレッタ |

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Comments

Feriさん、こんにちは。Steppkeです。

またデータの確認です。
(このようなデータに疑問があると我慢できないたちなので..)

Wiener Blutの演出ですが、1982年6月の来日の際は、演出: Robert Herzl、舞台: Pantelis Dessyllas、衣装: Leo Beiとあります。
従って、来日時の演出は、「1982年9月8日から上演が始まったバージョンがOttoSchenkさんとRobertHerzlさんの演出によるもの」とは異なるようです。
Die Fledermausでもそうでしたが、古い演出の舞台装置が不要になるので、遠い日本にも持って行きやすかったのでしょうね。

私は、2001年・2003年・2006年とそちらで接していますが、演出陣は来日時の3人と同じ顔ぶれでした。
これは「1998年1月7日からRobert Herzlさんが、さらに手を加えたバージョン」に当たるのでしょう。
手元には来日時のライブ録音CDと2006年のプログラムしか無い(他はちょっと離れた処にあり、取りに行けません)ので、残念ながら確認は出来ないのですが、舞台装置や衣装は来日時と2001~2006年はほぼ同じだったように記憶しています。

となると、1998年からの「Herzlさんが手を加えたバージョン」は、1982年の来日で一度終了した演出が復活したことになりますね。
その間、2つの別バージョンがはさまっていたことにもなります。

先日書いたように、手元にある2006年のプログラムの奥付には、1989/90年シーズンからとありました。
それから2006年まで続いていたのかと思っていましたが、よく見たら以下のように書かれています。
Wiener Volksoper, Saison 1989/90, Direktion: Eberhard Waechter - Strauß: WIENER BLUT, Premiere: 9. Oktober 1989. Dirigent: Franz Bauer-Theussl, Inszenierung: Peter Gruber, Bühnenbild: Rudolf Rischer, Kostüme: Susanne Birke

演出陣が、挟まれているメンバー表と違うではありませんか!!
上演が続いている間、プログラムは増刷されますが、何と異なる演出用のプログラムが使われていたのでした!!
最近のプログラムには舞台写真が載るようになりましたが、以前はせいぜい舞台装置や衣装のスケッチくらいしかありません。Wiener Blutのものには衣装しか載っておらず、オーソドックスなものであまり違いも分からないので、異なる演出でも大丈夫だったのでしょう。
2001年・2003年のものは手元に無いのですが、同じデザインだったように思われます。(以前は同じ演出ならAbendzettelで済ますことなど出来なかったので、同じ演目のプログラムが複数あります) 1998年用のプログラムは、作成されなかったのかも知れません。

ちょっといい加減です。
まあ、オーストリアらしいと言うか..

Posted by: Steppke | September 19, 2011 at 01:34 PM

Steppkeさま、詳細な分析情報、ありがとうございます。

現在、フォルクスオーパーのロビーに出ている資料ですが、紙ベースの資料がないため、写真に撮ってから内容を確認するため、若干の漏れや勘違いがあるかもしれません。

>上演が続いている間、プログラムは増刷されますが、何と異なる演出用のプログラムが使われていたのでした!!
これは、いかにもありそうな話です。例えば、この前の「メリーウィドウ」はとんでもない珍演出だったため、シーズンごとに微妙に手を入れて、最後は、舞台装置も含め得プルミエの演出とは全く違うものになってしまいました。

しかし、演出家との契約があるためだと思うのですが、オリジナルの演出家の名前は最後まで掲載されていました。

恐らく「ウィーン気質」の場合も、これに近いことが起こっていたと思われますね。アンダンテさんがご健在だったら、このあたりの事情はお詳しかったかもしれません。

それからプログラムに関しては、プルミエの時はさすがに作り替えますが、演出の小改訂では以前のものをそのまま使う傾向がありました。

なお、舞台衣装については、現地のものをもってくるそうですが、舞台装置は舞台の大きさが違うため、日本公演用に新たに作るそうです。

そのため、日本公演が終わると、そのまま廃棄というのが一般的だという話を聴いたことがあります(これが高額なチケット代金につながっているようですが‥)。

Posted by: Feri | September 19, 2011 at 05:03 PM

Feriさん、こんにちは。Steppkeです。

60万アクセス、お目出度うございます。
これからもいろいろな話題で楽しませて下さい。


Wiener Blutの新演出にも行って来ました。
ちょっとゴチャゴチャした感じもありましたが、非常に面白い舞台で、これもアリかなという印象です。

Johann Straußくんを狂言回しとしてうまく使っていましたし、フロイトもそれらしい行動で良いポイントに出てました。(クリムトは目立ちませんでしたが..) 小皇帝とシシーもなかなかの雰囲気でした。(シシーはカーテンコールで見たら全く似てません)

配役は、Fürst Ypsheim-GindelbachにAndreas Daumさん、Graf ZedlauにThomas Blondelleさん、GabrieleにUrsula Pfitznerさん、CagliariにMartina Dorakさん、PepiにJohanna Arrouasさん、JosefにBoris Ederさん、KaglerにWolfgang Böckさん、FiakerkutscherにGerhard Ernstさんという面々でした。
この内、Gabriele・Cagliariは、ポスターに変更が貼ってありました。(ブログラムの配役表は変更が間に合ってました)

Thomas BlondelleのZedlauは、歌も芝居も結構はまってました。
ただ、Die lustige WitweのDaniloもそうでしたが、ヴィンナ・オペレッタの主人公のイメージ(こちらが勝手に思っているだけですが..)からは離れてしまっているのが寂しいです。Feriさんが言われているように、そういう人がもう居ないのでしょうね。まあ、Zedlauはドイツの田舎から出て来た人なので、それでも良いのでしょうが、しかし、あの髪型はいただけません。

Ursula PfitznerさんのGabrieleは、前の演出にも出られているだけに、手馴れたものといった感じです。
プログラムに写真が載っているので今回の演出にもセカンドとして登場されているのでしょうが、急な代役でも舞台を引っ張っていました。

JosefのBoris Ederさんが、見付けものでした。
Die Blume von Hawaiiのアメリカ人将校役でも良い芝居を見せていましたが、身が軽くちょこまかと動けて歌も踊りもうまく、Josefにぴったりの感じです。
これからが楽しみな一人です。

Daumさん、Dorakさん、Arrouasさん、Böckさん、Ernstさんは、長くなるので省略しますが、Feriさんの言われる通りでした。


ところで、プログラムの記事で、演出のなぞが解けました。
1982年6月の来日公演(Robert Herzl演出、Pantelis Dessyllas舞台装置)は引越公演用の演出・舞台だったようで、それが同年9月からVolksoperでも使われたとのことです。
一旦1989年に別の演出に変わったものが、1998年1月から2006年5月まで再び使われたとあります。
なので、私が行った、1982年(来日)・2001年・2003年・2006年がすべて同じ演出・舞台だったのが納得できました。
確かに、引越公演にも適したような、今回のと比べると簡素な舞台装置でした。

Posted by: Steppke | November 04, 2011 at 08:10 AM

Steppkeさま、こんにちは。詳細なレポート、ありがとうございます。

当日の舞台が目に浮かぶようです。たしかにドタバタしている感じはありますね。

また、プログラムの件、ありがとうございます。今と違い、昔の引っ越し公演の場合は、色々とあったようですね。

ところで、最近感じるのは、ウィンナオペレッタ向きの歌役者さんがいなくなってしまっている‥ということです。これは内部の方からも、うかがいました。

そうなると、現状、レベルの高い舞台を実現するためには、「今の歌手の雰囲気に合った演出にする」というのが現実的な方法でしょう。何しろ歌手の育成には長い時間がかかりますし、そもそも、そういった雰囲気の歌手が出てくる可能性が低いような気もします。

ただ、マイヤーさんの場合、俳優出身なので、お芝居のレベルは上げることで、舞台の水準を維持しようと考えている気がします。

本当は、このあたりの考え方をマイヤーさんに聞いてみたいところです。

Posted by: Feri | November 04, 2011 at 10:46 AM

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