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October 11, 2011

番外編 バイエルン国立歌劇場来日公演「ナクソス島のアリアドネ」

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連休も終わりましたが、今日は番外編としてバイエルン国立歌劇場来日公演「ナクソス島のアリアドネ」の模様をお伝えしましょう。

今回の「ナクソス島のアリアドネ」ですが、カナダ出身のロバート・カーセンさんの演出によるもので、かなり斬新な演出が話題になっていました。

Feriは、「ナクソス島のアリアドネ」は、オーソドックスな演出のウィーン国立歌劇場版しか観ていないので(実はフォルクスオーパー版は、スケジュールの関係で観ることができませんでした。今から思えば、観たかった… )、どのように料理しているか興味がありました。

さて、当日の指揮ですが、ケント・ナガノさん、執事長はヨハネス・クラマさん(Johannes Klama)、音楽教師はマーティン・ガントナーさん(Martin Gantner)、作曲家はアリス・クートさん、バッカス/テノール歌手はロバート・ディーン・スミスさん(Robert Dean Smith)、士官はケネス・ロバーソンさん(Kenneth Roberson)、舞踊教師がトーマス・ブロンデルさん(Thomas Blondelle)、かつら師がペーター・マザランさん(Peter Mazalán)、下僕がタレク・ナズミさん(Tareq Nazmi)、注目のツェルビネッタがダニエラ・ファリーさん(Daniela Fally)、アリアドネ/プリマドンナがアドリエンヌ・ピエチョンカさん(Adrianne Pieczonka)、ハルレキンがニコライ・ボルチェフさん(Nikolay Borchev)、スカラムッチョがウルリヒ・レスさん(Ulrich Reß) 、トルファディンがスティーヴン・ヒュームズさん(Steven Humes)、ブリゲッラがジェフリー・ベーレンスさん(Jeffrey Behrens)、水の精が中村恵理さん(Eri Nakamura)、木の精がオッカ・フォン・ダメラウさん(Okka von der Damerau)、山びこがアンナ・ヴィロフランスキーさん(Anna Virovlansky)という面々でした。今回、当日のカバーはありませんでしたが、当初のキャスティングから士官、舞踊教師、下僕の役が交代しています。

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なお、今回はプロローグとオペラの間に休憩が入らず、一挙に上演する方式で、上演時間は2時間20分でした。
「ローエングリン」と同じく、開演時刻の10分前に幕が上がり、舞台上では演技が始まります。今回は、バレエスタジオで、ダンサーがオーディションを前にトレーニングをしているシーンでした。ちゃんと舞踊教師が指導をしている上に、舞台上でのピアノ伴奏付き。ただ、ピアノで演奏されている曲は、「エーデルワイス」をはじめ、「ナクソス島のアリアドネ」とは関係ないものばかりでした。

そして、上演時間になると、オーディションのスタート。執事など関係者が席に着くと、舞踊教師が「音楽開始」と合図し、序曲が始まります。結構、凝った演出ですね。その後の展開は、ほぼオリジナル通り(ただし、ロバート・カーセンさんの解釈により、お芝居が若干違っていましたが‥)。また、音楽教師が客席後方から登場し、そのまま舞台に上がるなど、客席を「大広間」に見立てた演出になっていましたね。

ツェルビネッタ率いる道化劇団は現代風の出で立ちで登場しましたが、シンプルな舞台装置なので違和感はありません。

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面白かったのは、プロローグの後半、作曲家が苦心惨憺してスコアを修正しますが、幕が下りてから、そのスコアを持ってオーケストラピットにいるケント・ナガノさんに届けるのです。そして、舞台の左下に待機。ここで、オペラの仕上がりを見守る‥という、かなりリアルな演出になっていました。ちなみにプロローグは40分強だったと思います。

幕が開くとオペラのスタート。こちらは、ワーグナー作品を思わせる黒一色というシンプルな背景。アリアドネをはじめ、出てくる歌手は皆、黒のキャミソール姿なので、誰が誰だかわかりません。これが狙いのようですが。その後、お客さま期待のツェルビネッタのアリアに移ります。ウィーン国立歌劇場版では、ツェルビネッタがたった一人、舞台上で歌うようになっていますが、カーセンさんの演出では、海パン姿の男性ダンサー6名を引き連れて登場します。途中、ダンサーがツェルビネッタをリフトする場面も‥当然、ツェルビネッタは歌っています。この場面、ウィーン国立歌劇場版とは好対照に動きのある演出になっていました。

バッカスとアリアドネが出会ってから、今まで真っ黒だった舞台後方が開き、光が差し込んできます。物語が進むにつれて、光の面積が広がって、最後は背景が全面的に光るようになっていました。

そして、オペラが終わると幕が下りるのですが、そのタイミングで舞台の下でオペラを観ていた作曲家が舞台に上がり、再び幕が開くと、最初のバレエスタジオに。そこにはスタッフが集まっていて、作曲家に「オペラの成功」を讃えます。そのため、お客さまも拍手をするタイミングを掴みかねていました。かなり奇抜な演出ですが、お話そのものは、オリジナルに比較的忠実でしたね。

ただ、ウィーン国立歌劇場版は、オペラではツェルビネッタにスポットライトが当たる演出になっているのに対して、カーセンさんの演出では、タイトルロールのアリアドネにスポットライトが当たるようになっていたように感じました。

さて、歌手陣ですが、注目のツェルビネッタ、ダニエラ・ファリーさんですが、オペレッタにも出ているのでお芝居はなかなか上手でしたが、オペラ部分の歌に関しては、ちょっと残念でしたね。10分を歌いきるので精一杯という感じで、コロラツゥーラの表現が今ひとつ‥Feriの場合、グルベローヴァさんのツェルビネッタを都合5回、聴いているため、どうしても比較してしまうのですよ

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しかし、改めてグルベローヴァさんは「次元を超えている」ことを再認識しましたね(陰の声:おばさまのツェルビネッタと比べてはいけません‥)。ただ、男性ダンサーと絡みながら歌うという演出が功を奏して、普通のお客さまは歌だけに意識が集中することがないので、ある意味、アラが目立ちにくかったかもしれません(Feriはイヤなお客です )。

作曲家のアリス・クートさんが良かったですね。悩み抜く作曲家を見事に表現していました。また、声も良く出ており、聴き応えがありました。

通常はツェルビネッタの引き立て役になってしまうケースが多いアリアドネですが、アドリエンヌ・ピエチョンカさんは、バイエルン国立歌劇場でワーグナー作品にも出ているだけあって、歌、お芝居ともなかなか安定していました。

バッカスのロバート・ディーン・スミスさんですが、元々バリトンでスタートした歌手らしく、声量はあるものの、高音の伸びが今ひとつで、オーケストラに埋もれてしまうところがありました。

このほか、日本人ソロ歌手の中村恵理さんですが、小柄な方ですが、がんばっていましたね。

演奏に関しては、好みの問題かもしれませんが、リヒャルト・シュトラウスに関してはウィーン国立歌劇場の方がツボを押さえているような気がしました。

千秋楽だったため、最後にスタッフ一同が横断幕を持って舞台に登場。そこには「長年の友情がこれからも続きますように」という意味深なメッセージが書かれていました。色々な騒動があったので、このようなメッセージになったのでしょうかね。

ところで、グルベローヴァ・ファンのFeriですが、10月9日にサントリーホールで開催されたリサイタルは、出張が重なってしまい、行くことはできませんでした。代わりに行った家族の話だと、素晴らしい一夜だったとか‥

さて、NBSが招へいする次の大物はFeriのホームグラウンド、ウィーン・フォルクスオーパーです。


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