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December 05, 2011

番外編 新国立劇場「こうもり」

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今日は番外編ですが、久しぶりにオペレッタの話題をお届けしましょう。2011/12シーズン、日本の新国立劇場で「こうもり」が上演されることになりました。

演出は、以前と同じハインツ・ツェドニクさんのバージョンです。当初、ロザリンデにイルディコ・ライモンディさん、オルロフスキー侯爵にアグネス・パルツァさんが起用されることになっていたため、期待していました。が、3.11の影響で、ギュンター・ミッセンハルトさん、共々、来日は取りやめに‥weep

カバーには、アンナ・ガプラーさん、エドナ・プロホニクさん、ルッペルト・ベルクマンさんが入ることになりました。

さて、出演者ですが、指揮はダン・エッティンガーさん、アイゼンシュタインがアドリアン・エレートさん、ロザリンデがアンナ・ガブラーさん、フランクがルッペルト・ベルクマンさん、、オルロフスキー侯爵がエドナ・プロホニク、アルフレードが大槻孝志さん、フェルケ博士がペーター・エーデルマンさんが、アデーレが橋本明希さん、ブリントが大久保光哉さん、フロッシュがフランツ・スラーダ、イーダが平井香織さんという面々でした。

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演出は2005/2006シーズンで上演されたものと、基本的には同じです。新国立劇場では、2009年にも上演されていますが、Feriは、その時は行っていません。なぜ、今回、アグネス・パルツァさんが出演される予定だったので、色気を出したのですが‥coldsweats01

演出については、2005/2006シーズンと同じなので、2006年6月の記事をご覧ください。

さて、全体的な仕上がりですが、指揮のダン・エッティンガーさんがオペレッタの指揮になれていないようで、部隊とのコンビネーションが今ひとつでしたね。これはフォルクスオーパーなどを観ていると、よくわかるのでですが、オペレッタの場合、お芝居の部分があるだけに、演奏のタイミングも含めた微妙な調整が必要です。この点、オペラの指揮とは違うところがあるような気がします。

歌手陣の方ですが、アイゼンシュタインのアドリアン・エレートさん(バリトン)。オペラでは、結構、色々な役を演じているようですが、どちらかというとスマートな印象があり、アイゼンシュタインのイメージには合わないような感じがしました。三幕で、ロザリンデやアルルデードの発言にぶち切れる時の迫力が今ひとつ‥

ロザリンデのアンナ・がブラーさんですが、背が高くて雰囲気は合っていたような気がします。今回、新国立劇場には初登場だったようですが、無難にまとめていました。ただ、こなれ方は今ひとつかもしれません。

オルロフスキー侯爵のエドナ・プロホニクさんは、カバーで入った歌手ですが、退廃的な雰囲気を良く出していました。プロフィールを見ると、他の劇場でオルロフスキー公爵役を演じているようなので、自分なりのイメージが固まっているのでしょう。

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フランクのルッペルト・ベルクマンさんは、2009年の新国立劇場「こうもり」でも同じ役を演じていたようです。そのため、役についてはこなれている感じがしましたね。

数少ない日本人出演者であるアデーレの橋本明季さん。他の出演者が大柄なので、一段と小柄に見えました。かわいらしい雰囲気がなかなか魅力的なのですが、コロラツゥーラのレベルアップが今後の課題かもしれません。また、厳しいようですが、オペレッタの経験がないためか、お芝居の方は今ひとつという感じでした。

アフルレードの大槻孝志さんは、テノール歌手役ですから、自然体でやっていたような感じがします。

オペレッタの場合、お芝居の場面で、台詞が多いので、ドイツ語上演は日本人にとって、かなりハードルが高くなります(歌と台詞は違いますからねぇ)。オペラの延長線で上演できるほどオペレッタという舞台芸術は簡単ではないことを、改めて実感した公演でした。

今回のプログラムに、おなじみライナー・キュッヒルさんが寄稿しているのですが、その中に「歌手たちには歌唱技術だけでなく高度な演劇的センスが求められ」という一文があります。まさに、その通りですね。

ところで、来年2月にはバレエ版の「こうもり」も上演されます。こちらはウィーン国立歌劇場で上演されていた、例のローラン・プティ版です。バレエの方は日本のレベルも上がっていますから、こちらは期待できそうです。

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オペレッタ |

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Comments

 最近Feri様のところにお邪魔させて頂く様になったばかりなので、オペレッタの話は初めて拝見させて頂きました。フォルクスオーパーがホームグランドと言っておられましたね。とても残念な事に私はコンツェルトハウスや樂友協会や他ならぬ国立歌劇場に何も出し物が無かったり、他に魅力のある演目が無い時にフォルクスオーパーに出掛けると言うFeri様が聞いたらお怒りになる様な接し方しかフォルクスオーパーとはして来ませんでした。今考えるとかなり勿体なかったと後悔しております。国立歌劇場とフォルクスオーパーでは10対1くらいの割合でしょうか。本当の意味で文芸(この言い方が正しいかは別にして)を楽しむ精神的余裕や遊び心が無かったのだと深く反省しております。これからもオペレッタの話題をお教え下さい。

Posted by: ハンドルネーム:ウィーン | December 05, 2011 at 10:41 PM

ハンドルネーム:ウィーンさま、コメント、ありがとうございます。

私もオペラに国立歌劇場で観ることが多いですね。フォルクスオーパーでは、オペレッタが中心です。ただ、余り上演されないのが、残念ですが‥

オペラもオペレッタも好きなのですが、ちょっとへそ曲がりなので、ウィーンの文化を色濃く反映しているオペレッタにはまってしまった‥というところでしょうか。

国立歌劇場も最近では、外国人観光客が主体になってしまい、雰囲気が変わってしまったような気がします。これも、劇場の維持を考えるとやむを得ないのかもしれませんが‥

Posted by: Feri | December 06, 2011 at 08:12 AM

 はい。国立歌劇場は確かに十年、二十年前とはずいぶん観客の雰囲気が変わって来たと感じます。ああ、やはり変わったんだと如実に感じる様になったのは対訳のディスプレイが設置された時からでした。観光客の増加も変わった理由の一端かもしれません。また、人生を棒に振っても尚天井桟敷に陣取る人達も少なくなった様な気もします。時代の変化はやむを得ない事なのでしょうね。寂しくはありますが。

Posted by: ハンドルネーム:ウィーン | December 06, 2011 at 10:23 PM

ハンドルネーム:ウィーン様

コメント、ありがとうございます。

>人生を棒に振っても尚天井桟敷に陣取る人達

これ、よくわかります。今でも、立ち見の中には地元の人を時々見かけます。こういう人が、本当は熱心なファンなのだと思います。

国立歌劇場が変わったのはホーレンダー総裁によるところが大きいと言われています。かれは、経営者としては一流で、高い稼働率を誇りました。反面、色々な問題が出てきたのは事実です。現地でも評価は二分しているようですね。

Posted by: Feri | December 07, 2011 at 03:42 PM

ホーレンダー総裁はヴィーン国立歌劇場としては異例の長期政権でしたね。評価も多種多様だと思います。音楽総監督小沢征爾の誕生もホーレンダーの力によるところ大でしょうか。前任のドレーゼも悪くはないと思いましたが。
 「人生を棒に振っても尚・・・」よくわかりますとの事ですが、ひょとしてFeri様もそちらの口では。私も「人生を棒に振っている」人達を天井桟敷で何人も見ました。年老いても尚、欧州中のオペラハウスを漂流している老人が隣にいた事もありました。オペラとは恐ろしいいものだと、しかし、素晴らしいものだとつくづく思います。

Posted by: ハンドルネーム:ウィーン | December 07, 2011 at 10:06 PM

ハンドルネーム:ウィーン様、たびたびのコメント、ありがとうございます。

私は、ある程度、年齢を重ねてからオペラを観たい…と考えていたので、実際に国立歌劇場を訪れるようになったのは最近です。

しかし、私も「人生を棒に振っている」人達を天井桟敷で見た記憶があります。

ところでホーレンダー前総裁は、国立歌劇場が事実上、民営化さえた時にいらっしゃった訳ですが、その人脈で、色々な歌手を引っ張ってきています。これは確かに凄いと思います。反面、日本の新国立劇場の財団には、音楽界に人脈のある方がトップではないので、きついですね。

Posted by: Feri | December 08, 2011 at 04:14 PM

Feriさん、こんにちは。Steppkeです。

新国立劇場のDie Fledermausに行って来ました。
私も、Agnes Baltsa、Ildikó Raimondiという名前に惹かれたのですが、残念でしたね。
まあ、Adrian Eröd、Peter Edelmannは来てくれたので、良しとしましょう。

実はある事情で続けて2回行ったのですが、1回目はあまり楽しめませんでした。ところが、2回目は大化けしたのです。

1回目、Dan Ettingerの指揮は固くて軽みに欠けるし、Feriさんが書かれたように舞台との微妙な間が合わないし、駄目だなと感じました。序曲から重くて、これから始まるという高揚感に乏しい演奏でした。
歌手も、RosalindeのAnna GablerやOrlofskyのEdna Prochnik(いずれも初めて聴く歌手でした)などは、のどに引っ掛かったような歌い方で、聴いていてちょっとつらいものがありました。

しかし、2回目は、何か違ってました。
座席の位置が2階席と平土間前方と違っていたこともあり、こちらの体調にもよるのかも知れませんが、オペレッタとして非常に楽しめる舞台になっていました。
ErödとEdelmann、それにFrankのRupert Bergmannは、みなオーストリア出身者ということで、掛け合いなどお手のもの。それにGablerもミュンヘン出身で、ドイツ語を母国語としており、自然なお芝居になっていました。歌もみなさんノッていて、勢いがありました。
日本人は、ドイツ語の会話は頑張っているなという感じでしたが、日本人同士で日本語になると変に芝居掛かってしまい、違和感がありました。今回に限ったことではありませんが、どうして自然な会話にならないのでしょう? 歌の方は良くて、安心して聴けました。(これも1回目と違います)
指揮は、1回目と同じように力は入っているのですが、2回目の方は弾けるようなきらめきがあり、シャンパン・オペレッタにふさわしいものでした。間の方も、Biblさんのような神業と較べることはできませんが、これならVolksoperでも通用するというレベルでした。

これだから、同じ演目でも何回も行かねばなりませんね。ただし、財布の方が耐えられませんが..

Posted by: Steppke | December 11, 2011 at 01:24 PM

Steppkeさま、鑑賞記、ありがとうございます。

確かに回によって微妙に違うことはフォルクスオーパーでもありますからね。

ましてや日本の場合、公演回数が少ないため、プローベだけで疲れてしまう‥という冗談が聞かれるほどです。

シュトラウスのワルツは、日本では簡単に考えている人が時々いますが、あれ、独特の「こぶし」があって、それをいとも簡単に演奏してしまうフォルクスオーパーには頭が下がります。やはり他の国のカンパニーでは、微妙な空気感というかがかもしだせないような気がします。

ところで、日本人オペラ歌手の場合、演劇の勉強などをしている人が少ないため、オペレッタのように単独のお芝居がある演目では、ハンデになるようです。

ところで、来年のフォルクスオーパー来日公演のチケット販売が始まりましたが39000円。現地の○倍ですからねぇ。理由は重々承知しているのですが、これでは満席にならないようで心配です。

Posted by: Feri | December 11, 2011 at 01:55 PM

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