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June 10, 2012

「マダム・ポンパドゥール」プルミエレポート(その2)

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昨日、6日の土曜日、日中、教会の鐘が良く鳴る上に自動車のクラクションがうるさいこと。どうやら結婚式が沢山行われていたようです。ジューンブライドでしょうかね。

さて、こちらは「マダム・ポンパドゥール」プルミエレポートの続きです。昨日の演出編に続いて、今日は各出演者の仕上がりを中心にご紹介します。

ところで、最近のフォルクスオーパーの傾向なのですが、本編とあまり関係のないところに凝っている場合があります。

今回、二幕で舞台の右袖には、女性の半身をかたどったワインサーバーがあるのですが、胸を触ると口からワインが出てくる仕組みになっています。国王へサーブするワインなどは、ここから出していましたね。

また、二幕後半、国王が浮気の証拠を見つけるために急きょポンパドゥールのところに戻ってくる場面では、寝間着姿の家来が料理やワインの毒味をするシーンも入っています。こういった細かいお芝居が増えてきましたね。

そういう意味でも、何回か観るとおもしろさが倍増します。

○見事なキャスティング
一言で表せば、マイヤーさんが自信を持って起用しただけあったベルリン出身のAnnette Daschさんは見事。また、主立った共演者の仕上がりも良かったですね。

タイトルロールのマダム・ポンパドゥールAnnette Daschさん。今回、この役に掛けるものがあるのか、役を作り込んでいました。何しろ街頭のポスターには「Annette Daschのマダム・ポンパドゥール」と書かれている位ですから‥

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6月6日の事前公演では、一幕の前半、やや固さがありましたが、8日のプルミエでは最初から全開モード。事前公演で自信を付けたのかもしれません。

元々、背が高い方なので、存在感がある上に、「華」があります。オペラ歌手なので、純粋なお芝居はハンデがあると思いますが、お芝居の部分も見事。この作品はオペラに近いアリアが多いのですが、ここは見事な歌いぶりでした。

あと、場面に応じて、色々な表情を見せる姿が印象的でしたね。意外とお茶目な面も見られました。来日公演の「メリーウィドウ」では、ハンナが役をこなすのに精一杯という印象でしたが、今回は役を完全に自分のものにしてました。

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ウィーン風の「優美な色気」というより、権力欲が強く、裏で国政まで仕切る‥そんな強かなポンパドゥール夫人を見事に演じていた。お客さまの反応も上々でした。ポンパドゥール夫人ははまり役です。

二幕から登場する国王ルイ15世のHeinz Zednikさん。さすが、とぼけた感じの見事なお芝居で舞台を締めていました。こういった脇役がオペレッタを魅力的にするという典型ですね。

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元々は立派な歌手の方だったのですが、今回はお芝居専門。ポンパドゥールの引き立て役に徹していました。

デストラート侯爵ルネのMilko Roschkowskiさん。目がやたらぱっちりした妙なメイクで気の毒でしたが、歌は聴かせるものがありました。

お芝居もなかなか上手で、Annette Daschさんとの呼吸もピッタリでした。妙なメイクもあり、「この男にポンパドゥール夫人が惚れるかな?」という感じがしないでもないですが、もう少しこなれてくると、もっと魅力的なルネになることでしょう。

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なお、ポンパドゥール夫人を引き立てる演出を採用しているような気もします。ただ、全体を振り返ってみると、ポンパドゥールが居酒屋で「ちょっと面白そうな男がいるから、からかってやろうかしら」という雰囲気で手を出すようになっている感じがします。そうなると、必ずしも「誰もが惚れ込むいい男」である必要はないのかもしれなせん。ところで、このルネ役、ラーセンさんでも起用したら、これまた面白そうですが、それは無理でしょうね。

ルネの妻マドレーンElvira Soukopさん。かわいらしい感じがチャーミング。あまり歌う場面はないのですが、役にピッタリというイメージでした。夫が見つからない不安を見事に表現していました。男性本能をくすぐるタイプの役づくりが上手な感じがします。

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ポンパドゥール侯爵夫人の従女ベロット Beate Ritterさん。この方も魅力的な歌役者さん。脇役ですが、カリコとの掛け合いが見どころでしょうか。歌って踊る役なので、Beate Ritterさんの魅力が遺憾なく発揮されていました。

ちなみにセカンドクルーはJohanna Arrouasさんですが、彼女だったら、もっと賑やかな舞台になっていたことでしょう。Feriとしては、Johanna Arrouasさんも観たい気がします(プルミエにはお客さまとして来ていました。普通に話すときは、甲高い声ではないのですね)。

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ジョセフ・カリコ Boris Pfeiferさん。キャラが立っており、舞台狭しと駆け回っていたのが印象的です。とくに二幕でポンパドゥール夫人に迫られる場面での逃げ方は尋常ではありません。歌で聞かせるというより、愉快なお芝居でお客さまの印象に残る方です。

警視総監モールパGerhard Ernstさん。今回は奇妙なコスチュームとメイクで登場。重鎮なので、お芝居は文句なし。こういう役をやらせるとうまいですね。

密偵ポラールWolfgang Gratschmaierさん。いかにも密偵ですよ‥というコスチュームと演技が印象的。なかなか良い味を出していました。わざとらしい捜査が、笑いを誘うのですが、これも演出の勝利と言えるかもしれません。

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このほかにも、二幕には色々な人がちょい役で出てくるのですが、それぞれ、楽しい演技が印象的でした。

全体的に、今回は「役にあったキャスティングができている」という印象です(逆に歌手に合わせて演出を変えている可能性はあるのですがね‥)。ポンパドゥール夫人とマドレーン意外は、おふざけキャラ風にしてあるのは、主役を際立たせるためでしょう。色恋に満ちあふれた大人のメルヘンという感じでした。

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新聞評は月曜日になるので、現時点では何とも言えませんが、Feriの個人的な受けとめ方としては、主役のAnnette Daschさんは、まず合格点だろうと思います。これはお客さまの反応からも読み取れました。演奏に関しては、もう少しこなれてくると良くなると思います。

舞台装置を含む演出については、正直、品が良いとは言えない部分もあるため、厳しい評価が出る可能性があります。しかし、完全に下品になる寸前で止めているところは、さすがフォルクスオーパーです。

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また、中途半端なばかばかしさにせず、思い切って「大人のメルヘン調」を貫いた姿勢は、ある意味で評価できます。とくに「おじさまのお客さま」が大喜びしそうな場面が沢山ありますね。

日本のお客さまの場合、お芝居の部分が多いのがちょっと厳しいですが、舞台の上の演技を観ているだけでも楽しいので、ぜひ、ご覧ください。

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Comments

ご存知だと思いますが、Volksoper の Madame Pompadour がCD化されました。
レアもののオペレッタを出してくれる cpoレーベルからの発売で、しっかり Volksoper のロゴが入っています。
2012年6月のライブ録音なので、一連の上演から編集されたのでしょう。

Leo Fall は、もちろん録音でしか聴いたことはありませんが、あまり好きになれず、避けていたところもありました。
なので、この録音も今年の3月に行った際に買ったものを今頃になって聴いたのですが、予想に反してかなり楽しめます。
音だけでもかなり面白かったので、Feri さんが活写されているような舞台を観られたら更に良かったのですが、スケジュールが合わず、今シーズン・来シーズンのレパートリーからもはずれているので、結局、行きそびれてしまいました。今頃になって、後悔しています。

Posted by: Steppke | May 07, 2014 at 10:15 PM

Steppkeさま、コメント、ありがとうございます。

フォルクスオーパーでも販売していますね(通販も含めて)。

「マダムポンパドール」に限らず、最近はレパートリーにならない演目が増えているので、頭が痛いです。

Posted by: Feri | May 09, 2014 at 06:36 PM

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