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June 09, 2012

「マダム・ポンパドゥール」プルミエレポート(その1)

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フォルクスオーパー2011/12シーズンのオペレッタ・プルミエは、「ウィーン気質」と「マダム・ポンパドゥール」の2作品ですが、6月8日に「マダム・ポンパドゥール」のプルミエが行われました。プルミエ直前の一ヶ月間、来日公演があったという異例の展開です。

「マダム・ポンパドゥール」はレオ・ファルの代表的な作品で、1922年にベルリンで初演されています。フォルクスオーパーでは、戦後、三回制作されています。

一回目が1955年10月から上演されたもの。演出はAlexander Pichlerさん。1971年12月まで、合計83回上演されています。

二回目は1976年10月から上演がされたもの。演出は第一回目と同じく演出はAlexander Pichlerさん。1978年1月まで、合計21回上演されています。

そして三回目は、1986年6月から上演されたもの。演出はRobert Herzlさん。1988年11月まで41回上演されています。余談ですが、このとき、ポンパドゥールにはメラニー・ホリデーさんも出演しています。

今回の演出はHinrich Horstkotteさん。どんな演出になるでしょうか。

指揮はAndreas Schüllerさん。しばらくは「マダム・ポンパドゥール」専属のようです。

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主なキャストは、以下の通りです。

マダム・ポンパドゥール:Annette Daschさん
国王ルイ15世:Heinz Zednikさん
デストラード伯爵ルネ:Maiko Roschkowskiさん
ルネの妻マドレーン:Elvira Soukopさん
ポンパドゥール夫人の従女ベロット:Beate Ritterさん
詩人ジョセフ・カリコ:Boris Pfeiferさん
警視総監モールパ:Gerhard Ernstさん
密偵ポラール:Wolfgang Gratschmaierさん
宮廷画家ブーシェ:Marian Olszewskiさん
陶磁器生産業者トゥーレル:Mamuka Nikolaishviliさん
オーストリア大使:Joachim Moserさん

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レオ・ファルはオーストリア出身ですが、ベルリンで初演を迎えたことでもわかるように、ベルリンオペレッタと捉えて良いでしょう。今回は、ベルリン出身のAnnette Daschさんの出来が鍵を握ります。実際、街頭のポスターには「Annette Daschのマダム・ポンパドゥール」と大々的に書かれているほどですから‥

さて、序曲が始まると、舞台前のスクリーンにマダム・ポンパドゥールの絵がリアルタイムで描かれるという凝った演出です。しかも、一幕、二幕、三幕とだんだん完成する仕組み。今風の仕掛けですが、なかなか興味深いですね。

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○演出は「大人のメルヘン調」
舞台装置、衣装、メイクなども含めた演出は、一言で言えば「大人のメルヘン調」です。まぁ、お話が色恋沙汰ですから、良いのかもしれません。それでは、ネタバレも含めて、一幕からご紹介しましょう。

第一幕は、謝肉祭の居酒屋。謝肉祭なので、町の人達は仮装をして盛り上がっています。中心は詩人のカリコ。結構、個性的な姿で、お客さまの印象に残るようになっています。

舞台装置は円形で、中央には入り口を兼ねた巨大なシャンペンボトルが立っています。当初、この広間に終始、町の人達が居るのかと思っていたのですが、お芝居の進行に合わせて舞台袖に引き上げて、少人数でのお芝居になります。

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まず、デストラード伯爵ルネが登場。これまた目元が個性的なメイク。とにかくマダム・ポンパドゥール以外は、個性的なメイクと服装が印象的です。

一幕から色仕掛け全開で、このオペレッタのコンセプトが何となく伝わってきました。とにかく不純な動機の人達が集まっているという印象です。

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ポンパドゥール夫人の素顔は町の人は知らないためか、居酒屋に従女のベロットと連れ立って入った瞬間にマスクをはずします。ただ、服装だけは、侯爵夫人らしくない姿です。さっそく、ここでポンパドゥールとルネ、ベロットとカリコが良い雰囲気に‥

警視総監モールパも凄い格好です。部下の密偵ポラールも、いかにも「密偵ですよ」というのがわかるような衣装。そして、カリコを逮捕するためにやってくる警官隊もマスクをしていて、何やら怪しい雰囲気です。
なお、珍しく、第一幕終了時に休憩が入りました。ここまでは1時間です。

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第二幕は薄暗かった酒場から一転して、明るいポンパドゥール夫人の部屋。が、びっくり仰天。巨大なポンパドゥール夫人の像(上半身)が中央にそびえ立っています。妾ながら、この巨大な像くらい政治にも影響力を発揮した人物なので、その象徴なのでしょう。

また、舞台をよく見るとユリウスの少年が走り回っているではありませんか。また、従女が、なぜか銀のばらを持ってポンパドゥール夫人の部屋に入ってきます。実は、それ以外にも今まで上演されたオペラやオペレッタのパロディがオマージュとして入っているのです。そのため、知っている人が見ると、笑える場面がてんこ盛りです。

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宮廷画家や陶器製造業者などがやってきますが、皆、個性的なコスチュームとメイクで、メルヘンの世界です。衛兵隊もルネ以外は間抜けな動作とコスチュームで、お客さまの笑いを誘います。ここまで来ると、史実云々ではなく、ポンパドゥール夫人が牛耳っている「メルヘンの国」のおとぎ話‥という雰囲気ですね。

右の写真は二幕で、亡くなった父親の遺書を携えてポンパドゥール夫人を訪ねたマドレーヌ。このときは野暮ったい服を着ていますが、その後、宮廷衣装で華麗に変身します。

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二幕の中盤、カリコが、ポンパドゥール夫人に“警視総監に自分が夫人の浮気相手だと間違われている”と言う場面があります。これを聴いたポンパドゥール夫人。“逆に本物の浮気がやりやすいわ”と言って、カリコをからかって追いかけ回すシーンがあります。ここは見どころ。

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Feriは好きな表現ではないのですが、肉食系女子vs草食系男子といった趣のドタバタが繰り広げられます。ここで、「カルメン」のハバネラのフレーズが使われます。これが肉食系女子の雰囲気を盛り上げるのですよ。たまりかねたカリコは、プロンプターボックスへ逃げ込むという展開。このあたりはお客さまに大受けでした(まぁ、狙っている分けですが‥)。

ところで、ポンパドゥール夫人の寝室は、巨大な像の手前(ドレスの手前)が倒れるとベッドになっているという仕組み。そうすると、像の上半身があらわになる。男のお客さま大喜び‥

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ルネは、このベッドがある寝室に送り込まれるようになっていました。国王ルイ15世が帰還し、寝室にいるルネを発見、逮捕を命じたところで、幕となります。ところで、国王の警備兵の服装が「マルタ」に出てくる狩人の制服によく似ているのですが‥転用‥ということはないですよね。

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暗転で、三幕へ。間奏曲の演奏中に絵が完成。ただ、最初は服を着ていたポンパドゥール夫人。後から絵描きの気が変わったのか、下半身はヌードに書き換えられます。このあたり、芸が細かいですが、お話の中身をよく表しています。

第三幕は「国王の書斎」という想定ですが、舞台装置は、これまたビックリ。何と中央に巨大な女性の足が‥どうやら巨大なポンパドゥール夫人像の下半身のようです。

よく考えてみると、周りの青い幕はポンパドゥール夫人のスカート。つまり、「すべてはポンパドゥール夫人が握っている」という意味なのでしょう。実際、国王も押されっぱなし‥

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しかし、ポンパドゥール夫人、八面六臂の大活躍です。自分の妹の夫と浮気できないと決意したポンパドゥール。一計を案じ、国王の書斎でルネとマドレーヌの再会を仕組み、それを陰から国王に見せます。

そして、「私は潔白。妹が夫に再会できるように手配しただけ」と,見事にしらばくれます。最も国王も、その時寝ていてルネとマドレーヌの再会シーンは見ていないのですがね‥いずれにしてもポンパドゥール夫人の思惑どおりに話が進みます。

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もちろん、政敵の警視総監モールパの策略も見事に手玉にとってしまいます。最後はカリコとベロットが結ばれてハッピーエンドというオリジナルどおりの展開です。

Feriは、このオペレッタは初めて観たのですが、純粋のお芝居の部分が意外と多い作品です。そのためか、最近のフォルクスオーパーのオペレッタに比べると、テンポが遅い感じがしました。個人的には、お芝居の部分が中だるみしているので、ここをある程度簡略化して、全体で2時間40分位におさめると、もっと楽しめるような気がSIMす。

今回の演出では、各役の性格付けを明確にしているため、主要な役が埋没することはありませんでした。マダム・ポンパドゥールのAnnette Daschさんは、素晴らしい仕上がりでした。日本公演とは雲泥の差‥見事でしたね。

なお、主な出演者のコメントは、明日お伝えします。


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