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July 01, 2012

国立歌劇場「トスカ」のトリビア

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昨日で国立歌劇場、フォルクスオーパーとも2011/12シーズンが終了しました。シーズン中は、色々なエピソードがありましたね。

さて、7月第一回目の話題は、6月4日の公演で通算550回を迎えたウィーン国立歌劇場の定番オペラ「トスカ」に関する裏話をご紹介しましょう。

なお、6月4日の公演は、指揮がKarel Mark Chichonさんから音楽総監督のFranz Welser-Möstさんに変更となりました。主なキャストは、以下のとおりです。

トスカ:Norma Fantiniさん
マリオ:Marcello Giordaniさん
スカルピア:Zeljko Lucicさん(Rollendebüt)
アンジェロッティ:Clemens Unterreinerさん
堂守: Lars Woldtさん
スポレッタ: Wolfram Igor Derntlさん

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当日の仕上がりは、まぁ、普通(といっても、高いレベルの「普通」ですが‥)。これはすごい‥という公演は、さほどないものです。ただ、高いレベルの普通を、日々、維持するというのは、大変なことなのですよね。

さて、「トスカ」はご存じのようにプッチーニ作曲ですが、同じく代表作の「ラ・ボエーム」とは異なり、非常にダイナミックな音楽が特徴ですね。また、主要な登場人物が全員、死亡するという典型的な悲劇ですが、わかりやすいストーリーに加えて、いかにも「オペラです」といった演出や舞台装置なので、オペラを初めて観るお客さまにも適しているようです。しかも、2幕でトスカが歌う有名なアリア「歌に生き、愛に生き」がありますからね‥

○プルミエは「いつ」だったの?
現在、上演されている「トスカ」ですが、演出はMargarethe Wallmannさん、舞台装置はNicola Benoisさんによるものです。

Feriが国立歌劇場で初めて「トスカ」を観たのは1999年2月でしたが、この時の通算上演回数は448回。13年間で102回ということになります。ということは、シーズン平均8回弱ということになりますね。

では、この演出のプルミエは、いったい「いつ」だったのでしょうか。どうも1958年4月3日だったようです。ということは54年間、同じ演出を続けているということになります。これは驚異ですね。

ちなみに「ラ・ボエーム」も、同一演出での上演回数が多く390回を超えています。このほかロッシーニの「セビリアの理髪師」、リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」も同一演出で300回以上上演されています。恐らく、探せば他にもありそうですが、「トスカ」が断トツなのは、間違いないと思います。

ちなみに2012/13シーズンでも9回、上演が予定されています。さて、現行の演出で、どこまで記録を伸ばすのでしょうかね。

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○舞台装置の錯覚
国立歌劇場の「トスカ」をご覧になった方は、第一幕の聖アンドレア・デラ・ヴァッレ教会、第二幕のファルネーゼ宮殿、第三幕の聖アンジェロ城屋上をご覧になって、立派な舞台装置、いかにも重厚なオペラにふさわしい写実的な舞台装置とお感じになったことと思います。Feriも、実は、この手の写実的な舞台装置が好きです。ところが、ごく最近になって劇場関係者の方から興味深いお話を伺うことができました。

というのは、「トスカ」の舞台装置は、ほとんどが「吊しもの」だというのです。つまり布に描かれた絵の配置を工夫することで、重厚かつ、立体的に見えるようにしているのです。Feriも、このお話を聴くまで、立体造形物だとばかり思っていました。

もちろん、開閉を伴う扉などは、布ではないのですが、枠の外側は布だそうです。しかも、途中で、補修や作り替えはしているようですが、ヴィンテージものなので、出演者の方も舞台装置に気を遣うそうです。無理をすると布が破れてしまったりする可能性もあるとか‥(大道具の担当者から、出演者も注意されるそうです)。

今ではコスト削減のため、シンプルな舞台装置が多くなりましたが、こういった工夫をすることで、重厚な舞台を実現することができることを知り、舞台装置を担当されたNicola Benoisさんの実力を垣間見た気がします。

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○私は本物でね‥
「トスカ」の第二幕はファルネーゼ宮殿スカルピアの居室ですが、この場面、捉えられたカバラロッシが隣室で拷問を受けている中、平然とスカルピアが食事をする場面があります。

オペラやオペレッタの場合、飲食を伴う場面ではダミーを使うことが多いのですが、一部では本物を使うこともあるようです。ただ、さすがにワインやシャンペンなどのアルコール類は、ノンアルコール飲料(ジュースやお茶など)を使います。さすがに本番中に飲酒はまずいですよね。

ところが、某有名歌手がスカルピアを演じる時だけは、ご本人から“私は本物ね”(つまり本物のワイン。銘柄は知りませんが‥)というリクエストが入るという話を劇場関係者から聴きました。ご本人の名誉のために、実名は差し控えますが、皆さま、どなただと思いますか?

でも、そういった「我が儘」が通用してしまうということは、それだけ実力のある歌手なのでしょう。

○ちょっと変わったカーテンコール
普通のオペラでは、途中で出番がなくなってしまった歌手の方も、主要な役の場合、最後のカーテンコールには出てくることが多いのですが、「トスカ」の場合には、ちょっと違います。

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最後のカーテンコールに出てくるのは、三幕の登場人物だけ(死んじゃったカバラフォッシとトスカも元気に出てきますが‥)。そう、隠れファンが多いヒール役のスカルピアは二幕のカーテンコールまで。最後は顔を出しません。

そのため、これを知っているお客さまが多い場合、二幕のカーテンコールの際、スカルピアが単独で出てくると、盛大な拍手で盛り上がります。そう、これでお別れですからね‥

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ところで、スカルピアは、ヒール役ですが、難しい役ですよね。最初から、「はい、悪役です」というわかりやすいお芝居をする歌手もいますが、表面的には、さほど悪役というイメージを出さず、内に秘めた「邪悪な心」をさりげないお芝居や仕草、歌の一部で披露する‥これが一番、すばらしいと思います。色々な歌手が挑戦していますが、Feriのお気に入りはRenato Brusonさんです。

また、アンジェロティも第一幕後のカーテンコールだけ出てきますね。余談ですが、アンジェロッティには甲斐 栄次郎さんが、比較的よく起用されています。

このような「トリビア的な話」を聴いてから、改めて「トスカ」を観ると、楽しさが倍増‥という人もいるかもしれません。まぁ、オペラの楽しみ方は人それぞれなので、来シーズンもご自分なりの楽しみ方を見つけてください。


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Comments

 Feri様。珍しく国立歌劇場の話題を拝見致しました。国立歌劇場の「トスカ」の舞台の仕掛けに付いて大変興味深く勉強になる話題をありがとうございます。初めて国立歌劇場で「トスカ」を観劇してから早20年近く経ちました。他でも「トスカ」を見る機会はありますが、やはり国立歌劇場で見る「トスカ」が一番しっくり来ます。
 Renato Brusonさんのスカルピアは残ながら拝見しておりませんが他の役回りから想像してもかなり見事なスカルピアだと思います。私の聞いた中ではJuan Ponsさんが一番印象に残っております。
 実は正直に言いますとプッチーニはあまり好きではないのですが「トスカ」と「ラ・ボエーム」だけは別です。なぜかは自分でも分りません。今、世界60億のプッチーニファンを敵に回したかもしれませんね。
 これからも楽しい話題を聞かせて頂ければ幸せです。

Posted by: ハンドルネーム:ウィーン | July 01, 2012 18:48

ハンドルネーム:ウィーン様、コメント、ありがとうございます。

プッチーニの作品は、作品により作風が違うので、作品ごとの好みが分かれるような気がします。

また、典型的な悲劇が多いので、性に合わないとおっしゃる方もいらっしゃいます。まぁ、好みの問題なので、自分が興味のある作品を観るのが一番かな‥と思っております。

さて、来シーズンはどんな作品に出会うことができるでしょうか。

Posted by: Feri | July 01, 2012 23:02

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