お待たせしました メルビッシュ「こうもり」鑑賞記(その2)
今日はメルビッシュ「こうもり」の後半です。
休憩後は二幕の途中から再開となります。最初の見どころは「雷鳴と電光」のメロディーに乗せた踊りです。メルビッシュらしい大人数のダンサーによる踊りは見事でした。ただし、イーダの参加はなし。イーダにコミカルなダンスをさせるのは、正直、大変ですよね。
二幕後半はテンポ良く進み、フランクとアイゼンシュタインがオルロフスキー邸を後にするところまで、一気に進みます。二幕後半は変わった演出もなく、まずは定番といった展開です。広い舞台を活用してバレエのシーンが多くなっているような印象を受けました。夜会ですから華やかな雰囲気になっていいですよね。
二幕から三幕も暗転ですが、ここでも変化をつけるためバレエが入ってました。
さて、三幕はご存じ刑務所ですが、舞台装置は2階建ての立派なもの。ただ、ここも室内側を見るようになっていました。
定番のソーダサイフォンや、めくると12月32日が出てくるカレンダーなどの小道具も充実しています(とは言っても、双眼鏡を駆使しないと見えませんが‥)。
三幕ではHelmuth Lohnerさんが大活躍。わざわざ呼んできたためか、通常よりも台詞、お芝居ともに長く設定されていました。また、時事ネタのギャグを連発して、お客さまにも大受け。さすがにお芝居は本当にうまい。見事の一言です。
フランクが帰ってくる前に酒が切れてしまう場面がありますが、さすがメルビッシュ。手前の水路に酒の入ったタンクが隠してあり、これを引き上げて、酒瓶に補給するという演出がありました。補給の後はタンクを水路に放り投げて、水柱があがるという派手な演出です。
刑務所へ帰ってきたセラフィンさん扮するフランクとのやりとりも、老練な二人らしく、これまた楽しく、見事でした。ところで、昨年の段階では、セラフィンさん自身が「フロッシュをやりますよ」と言っていたのですが、結果としてフランクにチェンジ。まぁ、今回のキャスティングの方が正解でしょう。
その後、アデーレとイーダ、アイゼンシュタイン、ブリント、ロザリンデと、続々関係者が到着するのはいつもどおり。
ここではアデーレのDaniela Fallyさんが見事な歌を披露して、お客さまから喝采を浴びていました。マイクを使っているのがもったいないくらいです。
演出で意外だったのは、ブリントに扮したアイゼンシュタインとロザリンデのバトルシーンが、比較的おとなしかったことでしょうかね。これはフロッシュのお芝居に時間を割いたためかもしれません。
最後は、アイゼンシュタインがフロッシュに連れられて2階の牢獄へ収監されるところでお開きとなりました。その後、カーテンコールとなりますが、今回は仕上がりが良いので、拍手も例年になく盛り上がりましたね。
ところで、来年からダイレクターをつとめる女性はザッハーの経営者とお友達だとか。そのためでしょうかね。劇中、ザッハートルテを食べるシーンがありました。最もよく観察していないとわかりませんが‥
さて、出演者の仕上がりですが、アイゼンシュタインのHerbert Lippertさんは、なかなか落ち着いた感じ、良い味をだしていました。Feriが今まで観たアイゼンシュタインの中では、ちょっとなかったタイプですね。なお、Jörg Schneiderさんは観ることができなかったので、コメントはなし。
ロザリンデはAlexandra ReinprechtさんとElisabeth Flechlさんの両方を観ましたが、それぞれ自分のカラーを全面に打ち出しており、甲乙つけがたい見事な仕上がりでした。ノリノリで演じていたAlexandra Reinprechtさんが印象的でしたね。
アデーレのDaniela Fallyさんも役を完全に自分のものにしていました。野外なので「お尻を触られたときの悲鳴」が一段とパワーアップしていたのが印象的でした。
オルロフスキー公爵のZoryana Kushplerさんですが、歌の仕上がりは良かったのですが、ちょっと存在感が乏しい感じがしましたね。比較的スリムな体型の上、衣装が地味だったことも関係しているのかもしれません。
フランクのHarald Serafinさんは、文句なし。ファルケ博士のDaniel Serafinさんも、まずまず無難な仕上がりでした。お父様との共演も、これが最後かもしれませんね。
今回、一番の注目はフロッシュのHelmuth Lohnerさんでしょう。お客さまも、彼を目当てにしている人が多いようで、盛大な拍手が送られました。それにしても、お芝居は本当に見事でしたね。
今回はセラフィンさんの引退記念公演のような感じになりました。20年間にわたり、本当にお疲れさまでした。出演者の皆さんも、セラフィンさんが引退するので、一肌脱いだ‥という感じがしました。正に「オペレッタの醍醐味」が味わうことができた公演でした。
最近のメルビッシュの中では出色の出来なので、ぜひ、日本でもテレビ放送をしてもらいたいものですが、どうでしょうねぇ。NHKさん。
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