« フォルクスオーパーのスペシャルイベントに参加しました | Main | フォルクスオーパー「ワルツの夢」 プルミエレポート(その2) »

September 09, 2012

フォルクスオーパー「ワルツの夢」 プルミエレポート(その1)

Img_106_09_6175_001

フォルクスオーパー2012/13シーズンのスタートを飾るのはオスカー・シュトラウス作曲のオペレッタ「ワルツの夢」(Ein Walzertraum)です。

今回、事前公演前に、2日間、休演として準備を行うなど、フォルクスオーパーとしては久しぶりに気合いの入った演目です(来日公演で準備が厳しかったことが背景にあるようですが‥)。

指揮はGuido Mancusiさん。主なキャストは以下のとおりです。

ヨアヒム大公: Andreas Daumさん
ヘレネ姫: Caroline Melzerさん
ロタール伯爵:Markus Meyerさん
ニキ中尉: Thomas Paulさん
モンチ中尉: Michael Havlicekさん
フリーデリケ(女官長):Alexandra Klooseさん
ヴェンドリン(大公の侍従長):Christian Drescherさん
ジギスムント(大公の侍従):Gernot Krannerさん
フランツィ:Anita Götzさん
フィフィ: Renée Schüttengruberさん
アンネル(ヴァイオリニスト):AnnerlIrene Halenkaさん

○オーソドックスな演出は「オペレッタの王道」
前シーズンにプルミエが行われた「マダム・ポンパドール」は奇抜な舞台装置とコスチュームで、度肝をぬかれましたが、今回は極めてオーソドックスな舞台装置でした。また、コスチュームも、よく雰囲気を出しています。

Img_106_09_5768_001

さらに、ロベルト・マイヤーさんの演出は、奇をてらったものではなく、「オペレッタの王道」を行くものでした。このオペレッタは、ドイツ文化とウィーン文化の葛藤が下敷きになっているのですが、マイヤーさんはドイツのご出身(南ドイツですが)。かつ、ウィーンでのご活躍も長い‥そのような経歴を考えると、文化的な対立を描くにはもってこいの方かもしれません。

Img_106_09_5771_001

舞台装置は、最近のオペレッタでは珍しい写実的なオーソドックスなスタイルです。また、最近では上演時間短縮のため、2幕を分割して、間に休憩を入れるパターンが多いのですが、今回は1幕後に休憩を入れ、その後、2幕、3幕と続ける方式でした。上演時間ですが、1幕は50分、2幕も50分、3幕が30分でした。

1幕は北ドイツにある架空の公国フラウゼントゥルン(コスチュームなどを見るとプロイセンあたりの雰囲気ですね)ヨアヒム大公の宮殿です。

シンプルながら、ステンドグラスなどをあしらってゴージャスな雰囲気を出しています。大広間から私室への転換は、可動式の仕切りを活用して場面設定を変えるものでした。

Img_106_09_6065_001

結婚式を終えて宮殿に戻ってくる一行。婿入り(マスオさん状態)のニキも、このときはドイツ風の軍服で登場します。衣装も伝統的なスタイルで好感が持てます。

全体的に北ドイツの堅物ドイツ人(代表はヘレネとニキの結婚が面白くないロタール伯爵)をおちょくっているニュアンスが強いのですが、それがウィンナオペレッタらしくて良いですね。

Img_106_09_5774_001

最初は堅いドイツ風の敬礼などをするニキも、すぐに辞めてしまいます。そして、私室へ入ると、すぐにドイツ風の軍服を脱ぎ捨ててしまいます。笑ってしまうのは二幕からはウィーン時代の軍服に着替えてしまいます。

一幕の後半、ニキがモンチからウィンナー・ダーメン・カペレの話を聞き、「ここへ行けば懐かしいウィーン情緒が楽しめる」と浮かれて二人でワルツを踊る場面があります。

Img_106_09__6078_001

ところが、これを見たヘレネ姫の女官長フリーデリケが、二人がホモなのではないかと誤解し、卒倒する場面が設定されています。

確かに、ニキとモンチのワルツは意外に長く、片方を女性に見立てて踊っていますから、誤解される要素は十分。なかなか笑いを誘う演出です。もちろん、その間、宮殿の侍従などがニキの様子を観察しています。

Img_106_09_5794_001

二幕はウィンナー・ダーメン・カペレが演奏しているレストランのシャニガルテンが舞台。回り舞台を上図に使って、レストランの入り口とシャニガルテンを再現しています。

比較的簡単な大道具なのですが、デザインが出色。よく雰囲気が出ており、個人的にはお気に入りのパターンです。

Img_106_09_5778_001

しかし、ウィンナー・ダーメン・カペレのメンバーは、実は男捜しを兼ねて演奏旅行をしているような設定で、休憩中は、男性から声がかかると、さっさとどこかへしけ込んでしまいます。この設定にはびっくり仰天。

また、ステージの両側に東屋があり、フランツィとニキも、逢い引きのため、しっかり、ここを利用していました。

Img_106_09_5780_001

その後、ヨアヒム大公がロタール伯爵と、お忍び(平服で)演奏会場のレストランへやってきますが、ウィンナー・ダーメン・カペレの色仕掛けにコロリといってしまい、表向きは堅物のドイツ人が、あっという間にふぬけに‥こういう場面はウィーンのお客さまには大好評。

Img_106_09_6111_001

とくにヘレネとの結婚を願っていたロタール伯爵が複数の女性奏者としけ込んで、メロメロになって戻ってくる場面は笑いを誘います(ここではヨアヒム大公から、“おまえ、しゃきっとしろ‥”と指導を受けます)。

二幕の最後は、フランツィとニキの関係がヘレネやヨアヒム大公、ロタール伯爵に露見してしまい、さらにレストランのお客さまにも大公一家が来ているとわかってしまい大騒ぎになります。

Img_106_09_6120_001

プルミエでは、ここでちょっとしたハプニング。フランツィがヘレネに言い寄る場面があるのですが、ヘレネの手を払った瞬間、ヘレネが持っていたポーチがオーケストラピットまで飛んでしまいました。

オーケストラメンバーが舞台上に戻したのですが、これをプロンプターさんがボックスから手を伸ばして回収。どうでもいい話ですが、「生の舞台」ならではのエピソードと言えるかもしれません。

Img_106_09_5786_001

暗転で三幕へ入ります。三幕は一幕と同じ大公の宮殿なので、同じ舞台装置です。フリーデリケに依頼されたフランツィがヘレネにウィーン風の教育をするためにやってくるのですが、三幕は時間が30分と短いため、意外に簡単にまとめていました。

実際、フランツィがフリーデリケに案内されて宮殿に表れるのは1回だけ。最もフランツィがヘレネとニキに、それぞれ語りかける山場はちゃんと入っていますので、ご安心を。

Img_106_09_6129_001

また、オリジナルのストーリーでは「暗いドイツ風の甲冑だらけの城から、明るいウィーン風の館に変わっていく」ことになっていますが、今回は、大公夫妻の肖像画が残ったままの堅いドイツ風で、ヘレネのドレスとお茶のセットだけがウィーン風になるという展開でした。

Img_106_09_5788_001

ただ、さすがにフォルクスオーパー。お茶のセットで出てくるのはメランジェとグーゲルフッフ。これだけで地元のお客さまは、ウィーン風に完全チェンジ‥と感じるもの。このあたり、ウィーン子の心理を読んだ演出ですね。つまり、形ではなく、心が大切‥ということを訴えたいのでしょう。憎い演出ですね。

Img_106_09_5789_001

最後はヘレネとニキの間にあった「心の壁」が氷解し、ヘレネの寝室に二人揃って入るところで幕となります。

なお、本公演はドイツ語版、英語字幕付きなのですが、プルミエは字幕なしで上演されました。さらにカーテンコールではオーケストラも舞台上に上がり、ご挨拶というパターンでした。

歌手陣の仕上がりなどについては、明日、お伝えします notes


※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります delicious

Br_decobanner_201105_v_02

オペレッタ |

« フォルクスオーパーのスペシャルイベントに参加しました | Main | フォルクスオーパー「ワルツの夢」 プルミエレポート(その2) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« フォルクスオーパーのスペシャルイベントに参加しました | Main | フォルクスオーパー「ワルツの夢」 プルミエレポート(その2) »