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October 21, 2012

番外編 ウィーン国立歌劇場来日公演「フィガロの結婚」

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今日はウィーン国立歌劇場来日公演の2演目、「フィガロの結婚」の様子をお伝えしましょう。

今回、「フィガロの結婚」だけが3回とも、横浜での公演となりました。会場は山下公園や大桟橋に近い神奈川県民ホール。ウィーンでは、通常、海を見ることがないので、メンバーもエキゾチックな雰囲気が感じられる横浜公演がお好きな方も多いかもしれませんね。

さて、ゲネプロ鑑賞記でもお伝えしたように、今回の「フィガロの結婚」は、最初に発表されていた「スペードの女王」から演目変更になったものです。何しろオペラ公演は引っ越し公演に限らずキャスティングが大変。劇場専属の歌手以外の場合、数年前から水面下でオファーをかけておかないと出てもらえないため、演目変更は色々な意味で、裏方さんに負担がかかったと思います。

ちなみに来日公演では、1980年(7回)、1986年(6回)、1994年(5回)、2004年(3回)に、それぞれ上演されています。ある意味、来日公演の定番と化している感じがしますね。なお、2004年は小澤征爾さんの指揮だったので、特に人気があったように記憶しています。

さて、当日の指揮は「サロメ」に続いて、ペーター・シュナイダー(Peter Schneiderさん)。10月20日のキャストは、以下のとおりです。

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アルマヴィーヴァ伯爵:カルロス・アルバレス(KS Carlos Álvarez)さん

伯爵夫人:バルバラ・フリットリ(KS Barbara Frittoli)さん

スザンナ :シルヴィア・シュヴァルツ(Sylvia Schwartz)さん

フィガロ :アーウィン・シュロット(Erwin Schrott)さん

ケルビーノ:マルガリータ・グリシュコヴァ(Margarita Gritskova)さん

マルチェリーナ:ゾリャーナ・クシュプラー(Zoryana Kushpler)さん

バジリオ:ミヒャエル・ロイダー(Michael Roider)さん

ドン・クルツィオ:ペーター・イェロシッツ(Peter Jelosits)さん

バルトロ:イル・ホン(Il Hong)さん

アントニオ:ハンス・ペーター・カンメラー(Hans Peter Kammerer)さん

バルバリーナ:ヴァレンティーナ・ナフォルニータ(Valentina Naforniţă)さん

村娘:カリン・ヴィーザー(Karin Wieser)さん

という面々。このオペラはバレエパートがないので、このほかには合唱団メンバーが出演するだけです。なお、スザンナは当初、アニタ・ハルティッヒさんが予定されていましたが、シルヴィア・シュヴァルツさんとアニタ・ハルティッヒさんに変わっています。

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さて、現在、ウィーンで上演されている「フィガロの結婚」は2011年2月のプルミエを迎えたJean-Louis Martinotyさん演出によるものです。今回の来日公演では、その前のバージョン(演出・美術:ジャン=ピエール・ポネルさんによる旧演出)による上演となりました。ある意味では、旧演出版を観る「最後のチャンス」と言えるかもしれません。

旧演出版をご覧になった方はおわかりのように、舞台に額縁をはめ込んで、その中に写実的な大道具を設置するという伝統的な手法です。4幕、総ての舞台装置が大きく変化するというお金のかかったものです。こちら(ウィーン)では、時代にマッチしない陳腐化した舞台装置‥と見られがちですが、Feriなどは、こういったオペラらしいオペラの舞台装置は好きです。

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ところで、Feriはモーツァルトのオペラは好みではないので、実はウィーンでもあまり観ません(オーストリアにはまっている割には珍しい人間かもしれませんが‥)。芸術性、音楽性、云々ではなく、単に自分の好みに合わない…というだけなのですが‥ そのため、「フィガロの結婚」についても、国立歌劇場では先日、新演出版で初めて観たのが正直なところ。そのため、残念ながら詳しい比較はできません。

演奏の方ですが、ゲネプロの際は、人がほとんど入っていなかったため、聞こえ方が不自然な感じがしたのですが、さすがに満席になると感じが変わるものですね。弦楽器の音も自然になったような気がします。

ご存じの方も多いように「フィガロの結婚」は、タイトルロールのフィガロを含めて、ソロ歌手のアリアもあることにはありますが、どちらかというと重唱が多いオペラですよね。そのため、飛び抜けた歌唱力を持つ人を1人起用するというより、全体のバランスを考えたキャスティングが、舞台成功の鍵を握ると思います。

そのように考えると、今回の来日公演では、ソロ歌手の皆さんが高いレベルで揃っており、重唱部分の聴き応えがありました。また、ソロ歌手の皆さんも、それぞれ良い味を出していましたね。

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伯爵のカルロス・アルバレスさんと伯爵夫人のバルバラ・フリットさんは、ともに宮廷歌手(KS)なので、歌、お芝居ともに安定感が抜群で、安心して観ることができました。

カバーでスザンナに起用されたシルヴィア・シュヴァルツさんも、すでに国立歌劇場で、この役を演じているだけあって、役の特徴をよく理解している感じがしましたね。雰囲気もあっていたと思います。

フィガロ のアーウィン・シュロットさんは、比較的大柄な人で、舞台の中でも存在感を示していました。余談ですが、Feriが6月に見た時、フィガロはルカ・ピサローニさんだったのですが、今回の来日公演では「アンナ・ボレーナ」のエンリーコ8世で出演するようです。そう言えば、「フォガロの結婚」は、オペラの花、テノールよりも、バリトン系の歌手が活躍するオペラですね。

ズボン役のケルビーノはマルガリータ・グリシュコヴァさんでしたが、比較的小柄な方ですが、声も出ており、雰囲気がピッタリでしたね。ズボン役向きの方かもしれません。今シーズンから専属契約を結んでそうですが、今後が楽しみな歌手の1人と言えるでしょう。

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今回、ちょっと残念だったのは、バルトロのイル・ホンさんが、やや抑え気味だったことでしょうかね。そういう演出だったのかもしれませんが、ちょっと残念な気がしました。

しかし、こういったストーリーで4時間弱(25分の休憩を含む)というのは、さすがに今の時代には長いかもしれません(公演時間が長いためか、指揮のペーター・シュナイダーさんも椅子に掛けていたようです)。現在の演出では、3時間30分になっています。

現在、ウィーンで上演されているバージョンでは、衣装こそ、昔のイメージを残していますが、舞台装置は抽象的なデザインに変わっています(最後の写真が今の舞台です)。さて、皆さまは、どちらがお好みですか?

それから興味深かったのは、お客さまの反応です。字幕の関係だと思うのですが、ウィーンでは笑いがでない場面で、結構、客先から笑い声が出ていました(これが字幕の功罪なのですが‥)。

たしかに喜劇的な要素が強いオペラですから、別に笑っても問題はないとは思うのですが、いつもと違う客席からの反応に出演者の皆さんは、どう感じたことでしょうか。ちょっとご感想を聴きたいところです。

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Comments

2004年のときはNHKホールで公演、今回は県民ホール
後は東京文化会館、音響的にいいのは文化会館で県民ホール、NHKは最悪。このホールでフィガロを聴くのは普通では考えられない。小澤さんの指揮だからかな?でもドンジョバンニは文化会館でしたから。シュナイダーさんの指揮はゆっくり。古楽演奏を聴きなれた私にはもう少し軽快なテンポで指揮してほしいところもありましたが、アリアではスケールの大きな詠唱でしたからOKですね。CDで聴いたクレンペラーのテンポに近いかも知れない。フリットリさんの存在大きい。彼女の伯爵夫人聴くだけでも十分でした。
去年のエリザベータを聴けなかったのは今回の公演から考えて残念でした。来年スカラ座来日予定だから期待したいと思います。

Posted by: ササ | October 22, 2012 20:26

ササ様、コメント、ありがとうございます。

県民ホールにしても、文化会館にしてもオペラ専用劇場ではないので、どうしてもハンデキャップはありますよね。毎回、書いていますが新国立歌劇場を使えたら‥と思うのですがね。

そう言えば、県民ホールに隣接して神奈川芸術劇場がありますが、ここはどうなのでしょうかね。私は行ったことがないので、何とも言えませんが。

Posted by: ブリンデン | October 23, 2012 07:47

ご無沙汰しています。今回の国立歌劇場の公演、私は14日のサロメと28日のフィガロを観にいきました。

フィガロを通して鑑賞するのは、実は今回が初めてです。レコードでは、ベーム盤やクレンペラー盤を所有していて、第一幕程度はたまに聴いていたのですが、オペラってレコードで聴いても正直面白くない。世の中にはオペラのCDやレコードを集めて楽しんでいる人がいるらしいですが、私には不可解です。まぁ、評論家のU氏が激賞する、伯爵夫人の「愛の神よ、照覧あれ」や、ケルビーノの「恋とはどんなものかしら」は、レコードで聴いても、いい曲だなーと思わせますが・・・。

さて、全曲鑑賞した感想は、とにかく長い・・・。4時間近い公演を緊張して聴き通すのは、かなり疲れますね。あれを静かに(我慢して?)聴き通す聴衆は、ホントに偉いと感じました。そこで、ちょっと思ったのですが、昔というか初演の頃、ウィーンでは、今のような形態で公演していたのでしょうか?私は、相撲の興業のように、食事をしたり、果物を食べたり、また、周囲の人と雑談したりしながらでないと、当時の観客はとても劇場まで観に行く気にならなかったのではないかと思うのですが・・・。

Posted by: ウィーン大好き | October 30, 2012 22:59

ウィーン大好き様

コメント、ありがとうございます。オペラですが、アリアを楽しむというスタンスならばCDなどの音源だけでも楽しめます。また、国立歌劇場でも舞台が見えない席で音楽だけ聞いていたこともありますが、逆に音に集中できるというメリットもありますね。もちろん、初めての演目については舞台が見える席で観ていますが‥

「フィガロ」‥確かに長いです。他にも長いオペラが沢山ありますね。で、ご指摘にように大昔は客席も明るく、皆さん歓談しながら観ていたそうです。これを今のように客席を暗くして、オーケストラをピットに押し込むという様式にしたのがワーグナーだとか‥それ以来、公演様式が一変したという話です。

このほか、日本ではオペラを観に行く訳ですが、こちらでは今こそ、その雰囲気は薄れましたが上流階級の社交場だったため、色々な意味で個室が活躍したいうエピソードもあります(個室が逢い引きに活用されたこともよくあったそうです)。

余談ですが、Feriも長いオペラの時には、意識がなくなっている時があります‥

Posted by: Feri | October 31, 2012 07:59

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