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February 25, 2013

番外編 二期会60周年記念公演「こうもり」

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今日は番外編です。2月20日から24日にかけて日本を代表するオペラカンパニー東京二期会が東京文化会館で、60周年記念公演の一環としてオペレッタ「こうもり」を4公演、上演しました。

Feriは観に行っていないのですが、友人が千秋楽の24日に出かけたようで、感想をメールで送ってくれました。
なかなか興味深い内容だったので、友人の了解を得て、当ブログで紹介することにしました。

今回の公演は、白井 晃さんの演出によるもので、通常通り全3幕ですが、休憩が2回入るという最近の日本での公演では珍しいパターンで、上演時間は休憩を含めて3時間25分でした。また、日本のカンパニーが上演するオペレッタの定番であるお芝居、歌も含めた完全、日本語上演でした。

指揮は大植英次さんで、主なキャストは以下の通りです(配役はダブルキャストで、前が 2月20日と23日、後ろが 2月21日と24日)。

アイゼンシュタイン:萩原 潤さん/小貫岩夫さん
ロザリンデ:腰越満美さん/塩田美奈子さん
フランク:泉 良平さん/ 三戸大久さん
オルロフスキー:林 美智子さん/ 青木エマさん
アルフレード:樋口達哉さん/高田正人さん
ファルケ:大沼 徹さん/宮本益光さん
ブリント:畠山 茂さん/李 宗潤さん
アデーレ:幸田浩子さん/坂井田真実子さん
イダ:竹内そのかさん/井関麻衣子さん
フロッシュ :櫻井章喜さん
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団

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まず、興味深かったのは通常と異なり、オーケストラピットをかなり上げた状態だったことです。完全に舞台と一体になるまでは上げていませんでしたが、通常のオペラ公演とは異なるスタイルです。

で、舞台は本来の舞台の上に、移動式小舞台(足場で1.5メートルほど高くなっている感じです)を設けて、基本的にその上で上演する方式でした。もしかすると、上演する舞台の位置が高くなっている関係で、オーケストラピットを上げた可能性があります。

演奏は日本のオーケストラらしく、そつのないきれいな演奏でしたが、シュトラウスのワルツ特有の小節は弱い感じでした。これはスコアで正確に表現できるものではない「体臭」のような性格なので、外国のオーケストラでは表現するのが難しいかもしれません。

舞台装置は、わずか4公演なので、凝ったものにできるハズはなく、シンプルなものでした。ただ、二幕のアイゼンシュタイン邸に関しては、合唱団が小舞台に上がる関係で、一幕よりも幅が広く、さらに玄関ホールと食堂が別になっている大規模なものでした。

二幕は途中で、玄関ホールから食堂に移動する場面があり、それに合わせて舞台も移動させていました。これは新鮮な展開でしたね。

三幕は刑務所ですが、事務所は一幕と同じくコンパクトな小舞台。ただし、その右側に立体構造の監獄(三階建て)が設けられていました。通常、牢獄は見えないようになっているだけに、これは新鮮でしたね。ちなみにアルフレードは2階の12号室に収監されていました。

日本の場合、本番での公演回数が少ない分、稽古に時間をかけるそうなので、歌手陣の仕上がりも歌に関してはそれなりの水準に達していました。ただ、オペラ歌手がオペレッタに出演するというのは、非常にハードルが高いのです。というのは、オペレッタの場合、お芝居のレベルが舞台の仕上がりを左右するためです。お芝居の仕上がりに関しては、残念ながら、今ひとつという感じがしました。

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日本ではオペレッタを生で観る機会が少ないですから、出演者の方が、役の研究をすることは事実上、不可能です。そういう意味では、各出演者の方が、役のイメージをしっかり固めることは難しいような気がします(もしかしたら出演者の皆さんよりも「こうもり」はFeriさんの方が沢山見ているのでは‥と書かれていましたが、そうかもしれません)。

台詞が日本語なので、お客さまの反応は良いのですが、「お芝居そのもので笑いをとる」というレベルには達していないようです。東京二期会の場合、オペレッタを中心に上演している訳ではないので、これはやむを得ないかもしれません。

また、「こうもり」では、通常、二幕の夜会でバレエ団が活躍します。特にフォルクスオーパーの場合、イダはバレリーナ(偽)という設定なので、ピチカートポルカで本物のダンサーに混じって、怪しげな踊りを披露します。これは超難関な演技で、できる人が限られており、他のカンパニーでは省略するのが一般的です。

従ってイダのダンスが省略されるのは良いのですが、今回は予算の関係からか、バレエ団を使っていないため、二幕後半では合唱団が、ダンスの真似事をしていました。ウィーンでは、舞踏会があるためプロの歌手はしっかりとしたダンスができます。反面、日本では舞踏会に代表される踊る機会がほとんどないため、トレーニングをしている人が少ないのでしょう。合唱団が一生懸命にダンスをやっている姿は、ちょっと痛々しかったですね。逆に、無理に伸ばすより、この部分を省略し、二幕を短縮した方がだれなかったような気がします。

補助金が出ているとは言え、限られた予算、かつ公演回数が少ないため、大道具、小道具もちょっとチープな感じがしたのが残念です。

また、日本のカンパニーの場合、出演者のファンクラブ会員さまが観劇していることが多く、やたらにブラボーを連発するのもちょっと気になります。これは、日本では目立ちますね。

友人は、最後に「これがオペレッタだと思われてしまうのが残念だった」と締めくくっていました。これは東京二期会さんのレベルが低いという意味ではなく、オペレッタ独特の雰囲気を伝えるのが難しいという意味です。

今、ウィーンでもオペレッタで見事な歌とお芝居を見せてくれる歌役者の方は非常に少なくなっています。それでも、フォルクスオーパーでは新人や役者の起用も含めて、色々と工夫しながら、オペレッタ文化の伝承に努めています。

考えてみると、オペレッタが伝統的な舞台芸術として確立している国と、輸入文化の一つとして上演している日本では、レベルが違うのは致し方ないのかもしれません。もちろん、ご来場いただいた多くのお客さまには楽しい一時を過ごしていただくことができたと思いますが、本場のオペレッタの雰囲気を伝えるのは本当に難しいものだと思います。


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