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April 25, 2013

フォルクスオーパー・オペラ「密猟者」(Der Wildschütz)

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二日続けて「フォルクスオーパーの話題」です(音楽の話題が続くと、なぜかアクセスランキングが下がるのですが‥)。

2012/13シーズンも終了まで2ヵ月余りですが、フォルクスオーパーでは、この時期、プルミエが結構、行われます。

4月にはオペラ「密猟者」のプルミエが行われました。「密猟者」は、ドイツの作曲家アルベルト・ロルツィングによる作品です。ロルツィングの作品としては「ロシア皇帝と船大工」の方が有名かもしれません。

「密猟者」は、かつて国立歌劇場で上演されていたこともありますが、現在ではコミック・オペラに区分けされているので、フォルクスオーパー向きかもしれません。ただ、あまり上演されない「珍品オペラ」ということは、「あまり面白くない作品」という穿った見方もできます。

Feriは、フォルクスオーパーの場合、オペレッタはプルミエにこだわりますが、オペラやバレエはプルミエにはこだわりません。何しろ、好きで見ているものですから‥

当日の指揮は、何でも無難にこなすことができるAlfred Eschwéさん。主なキャストは以下のとおりです。

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-エーベルバッハ伯爵:Daniel Ochoaさん
-伯爵夫人:Alexandra Klooseさん
-クロンタール男爵:Mirko Roschkowskiさん
-フライマン男爵未亡人(エーベルバッハ伯爵の妹):Anja-Nina Bahrmannさん
-学校長バクルス:Lars Woldtさん
-バクルスの妻グレーヒェン:Elisabeth Schwarzさん
-伯爵家の執事パンテクラティウス:Gernot Krannerさん
-ナネット:Christina Sidakさん
-アリス:Claudia Goeblさん
-ベルタ:Sera Göschさん
-セシリア:Manuela Leonhartsbergerさん

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まず、演出ですが、意外とオーソドックス。衣装や舞台装置も「現代版」ではなく、設定されている時代を感じさせるものでした。「リゴレット」などとは対照的な演出、舞台装置ですね。そういう意味では、安心して見ることができます。

ところで今回のフォルクスオーパー版ですが、舞台の設定がやたらに細かいのです。第1幕は「クレーヴィンケル、1842年5月5日の午後」になっています。おっと「端午の節句」のお話ですね。

村の学校長バクルスは、彼が育て上げた孤児グレーヒェンと結婚する場面から始まります(2枚目の写真が婚礼の場面)。ところが婚礼の祝宴が盛り上がったところに、エーベルバッハ伯爵の使者が現れ、“密猟のかどでバクルスを免職する”と告げます。ここでは本物の猟犬を連れた猟師が登場。さすがに獲物は着ぐるみですが‥さて、何の着ぐるみかは、見てのお楽しみ‥

バクルスは、祝宴のテーブルを焼肉で飾るため、侯爵家の森で密猟し、その現場を見られてしまったのです。バクルスは一瞬、嘆願のため妻のグレーヒェンを伯爵のもとへ行かせようと考えるのですが、伯爵は無類の女好き(オペレッタみたいですね)。グレーヒェンを伯爵の元へ向かわせたら結果は見えています。

都合の良いことに、通りかかった旅の学生に依頼し、偽グレーヒェンとして伯爵のところへ向かわせることに‥

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実は、この学生はフライマン男爵未亡人で、伯爵の妹なのですよ。彼女は兄の伯爵から呼ばれ、下男に変装した召使ナネッテとともに伯爵家へ向かう途中だったのです。伯爵は、妹を、妻の弟クロンタール男爵と結婚させようと考えているのです。

バクルスが偽グレーヒェンを伴って伯爵の城へ出発する直前、狩猟者の一行を連れた伯爵が村にやってきます。随行しているのは、厩舎長官に扮装したクロンタール男爵。クロンタールも男爵未亡人と同様、お忍びで結婚相手の偵察に‥ グレーヒェンに成りすました男爵未亡人は「純朴な村娘」を装い、伯爵と男爵は同時に、この娘に色目を使います。ここで、休憩。

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第2幕は「エーベルバッハ城、同日の夜」です。

城ではAlexandra Klooseさん扮する伯爵夫人が朗読会を催しています。これは、召使たちが拝聴しなければならない恒例行事(貴族の社会ではありそうなお話ですね‥)。伯爵夫人はギリシャ悲劇を礼賛し、彼女に言い寄るMirko Roschkowskiさん扮する厩舎長官も賞賛するという展開です。ここはギリシャ神殿風の舞台装置になっています。

バクルスは、執事パンクラティウスのアドバイスで、古典の素養を披瀝して伯爵夫人に取り入ろう画策。伯爵夫人は、校長の豊かな教養に魅了されますが、伯爵は彼を城から追い出そうとします。ようやく偽グレーヒェンが呼び出されると、伯爵も気が変わり、男爵とともに村娘に言い寄ります。人々がビリヤードに興じる最中、突然明かりが消え、ゲームは大混乱。

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男爵はグレーヒェン(ただし男爵が望んでいるのは偽の方)を得るため、5000ターラーで彼女を売るようバクルスに持ちかけます。バクルスはこの申し出を受け入れ、幸運にも「資本家になれた」と喜ぶという、とんでもない教育者。

2幕はフォルクスオーパー得意の回り舞台を上手に使い、朗読会の会場からビリヤード台がある居間への場面転換を図っています。

第3幕は暗転で「エーベルバッハ城、1942年5月6日、早朝」です。

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自分の誕生日を迎えた伯爵は、これまでの幸福な人生を振り返り、同時に数人の村娘を迎え入れます。色男ですねぇ。

バクルスは、偽学生の偽下男とベッドをともにしているグレーヒェンを城へ連れて行きます(綱で縛って連れてくるところが‥あなたは教育者でしょ)。ところが、男爵が期待していたのは本物ではなく、偽グレーヒェンだったことが分かり、バクルスはがっかり‥。

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伯爵も伯爵夫人も、自分の兄弟姉妹に色目を使っていた‥という「落ち」。フィナーレでは伯爵の誕生日を祝う子供達が登場し、花束の贈呈や演奏を繰り広げます。

そしてもう一つの「落ち」は、バクルスが撃ち殺したのは伯爵の財産であるノロジカではなく、自らが所有するロバだったのです‥オペラにしては珍しくハッピーエンドになるという物語です。

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このオペラですが、オペラにしては珍しく歌がなく、完全な台詞の部分があります。そういう意味ではオペレッタのような構成ですね。若干、人間関係が複雑なこともあり、ドタバタ劇ながら、若干、中だるみしている感がありますが、これは致し方ないかもしれません。

さて歌手陣ですが、フライマン男爵未亡人(エーベルバッハ伯爵の妹)のAnja-Nina Bahrmannさんが良かったですね。偽学生で登場し、グレーヒェンに化けて、さらに本来の男爵未亡人に代わるあたり、歌も演技も魅力的でした。

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また、伯爵夫人のAlexandra Klooseさん。伯爵夫人らしい貫禄ある、堂々たる演技が光りますね。「こうもり」のオルロフスキー公爵同様、こういった役は向いている感じがします。

グレーヒェンのElisabeth Schwarzさんは、かわいらしい感じで、なかなか魅力的です。

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男性陣では、クロンタール男爵のMirko Roschkowskiさん、エーベルバッハ伯爵のDaniel Ochoaさんともに、声が十分出ており、聴かせるものがありました。どちらかというとMirko Roschkowskiさんの方が体格が良い分、存在感がありましたね。

学校長バクルスのLars Woldtさんは、歌以上にも演技が面白い人。オペレッタのスプレッドのような「ボケ役」ですが、舞台では目立つ存在です。

全体的に歌手の水準が揃っており、フォルクスオーパーらしい楽しいオペラに仕上がっていました。新聞評もおおむね好評だった理由も、わかる気がします。


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