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May 26, 2013

オペラ座を支える人達

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昨日、ロンドンで行われたサッカーチャンピオンズリーグ決勝(バイエルンVSドルトムント)ですが、バイエルンのアラバ選手はオーストリア国籍なので、メディアはまるで自国チーム出場かのように盛り上がっていました。結果は、ご存じのようにバイエルンが優勝。ウィーンも賑やかな晩になりました。

さて、今日は「オペラ座を支える人達の話題」です。

ご存じのように9月から翌年6月のシーズン中、ウィーン国立歌劇場では、ほぼ毎日、オペラやバレエの公演が組まれています。また、ウィーンの特長は、世界でも珍しい「レパートリー方式」(複数の演目を並行して上演する方式)を採用していることでしょう。短期間の滞在で、複数の演目を観たい観光客の皆さまにとっては、最高のシステムです。

他のオペラ座では、単一の演目だけを続けて上演するのが一般的ですが、これは各種に準備に時間と費用がかかることが要因だと言われています。

観客は「劇場の表側」しか見ることができませんが、実際には劇場の裏側では、出演する歌手や合唱団、ダンサーだけでなく多数のスタッフが働いています。そういったスタッフの働きがあってこそ、レパートリー方式が実現できている訳です。

普通、頭に浮かぶのは大道具(舞台装置)や小道具(衣装を含む)の担当するスタッフでしょう。また、出演者にメイクをするスタッフが待機していることもイメージできます。
しかし、音楽関係者でないと知らない専門的な職種も存在します。

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例えば、コレペティートア(Korrepetitor)という職種です。コレペティートアという職種、オペラ歌手に本公演でオーケストラが奏でる音をピアノで演奏し、個人練習の伴奏と助言をする専門家です。

歌手の譜読みや暗譜、発音矯正のサポートを行うプロフェッショナルです。歌の先生と異なり、オペラ全曲、さらにソロの全パートを深く理解していないとできない仕事だそうです(当然、言語上演ですから、イタリア語、ドイツ語、フランス語などに堪能である必要があります)。

そのため、オペラの指揮者にはこれペティトーアの出身者が多いそうです。日本流に言えば、「縁の下の力持ち」ですが、これペティトーアなくして複数の歌手が、複数の役を担当することがあるレパートリー方式は実現できないでしょう。

というのは、生身の人間が歌うオペラなので、予定されている歌手が急病で降板することがあります。先日も「ウェルテル」でシャルロッテ役のElina Garancaさんが、Vesselina Kasarovaさんに交代したことがありました。

歌う予定のない歌手が、いきなり呼ばれても代役を務めることは難しいので、通常はカバーと呼ばれる代役の方も、並行してプローベを行っています。ウィーン国立歌劇場の場合、新演出などの場合は、ゲネプロが行われますが、レパートリー公演の場合、ゲネプロが行われることは希で、カバーも含めて歌手の皆さんはコレペティートアとペアで個別のプローベを行うそうです(相手役が必要な場合はスタッフが務めることもあるそうです。また、演出関係のスタッフも入ります)。

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そして、いきなり本番‥というケースが一般的だとか。もちろん、演目によっては2~3人の歌手が参加するプローベもありますが‥

最近、国立歌劇場のPROBENPLANを見せてもらうチャンスがありましたが、驚いたのは歌手よりも、コレペティートアの名前が先に出ていると言うことです。

つまり、「○○というコレペティートアさんは□□練習場で、△△さんが出演する××(演目、役柄)のプローベを行う」という感じです(下の写真はPROBENPLANの一部を撮影させてもらったものです)。日本だと、有名歌手の方が「上」といった見方をしがちですが、こちらではコレペティートアの存在が、如何に大きいかがわかります。

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なお、コレペティートアには、ソロ歌手のお相手をする方の他に、コーラスやバレエを担当する方が、それぞれいらっしゃるそうです。余談ですが、日本国内ではコレペティートアという役割のピアニストは、ほとんどいらっしゃらないという話です。まぁ、オペラの歴史が浅い上に、稽古に時間をかけることができるから、やむを得ないのかもしれませんが‥

また、プロンプターも重要な仕事です。舞台最前部に設けられたプロンプターボックスに陣取り、本番中、万が一、歌手が歌詞を忘れた場合、その出だしを独特の発声でリードする専門職です。こちらは、歌手の勉強をしていた方が多いという話を聞いたことがありますが、本番では指揮者の動きを見ながら、タイミングを図っています。

日本では、歌手は「完全に暗譜するのが当たり前」のように言われますが、毎日、違う演目に出演することもあるので(しかもカバーで突然というケースもありますし‥)、こちらでは、それは難しいかもしれません。

、プロの歌手は、通常、歌詞全部を忘れてしまうことは希で、出だしを思い出すと、何とかなるそうです。それだけにプロンプターは、出番があったら困るのですが、公演中は常に緊張感を持続しなければならない大変な仕事です。

“プロンプターに助けられた”というエピソードは沢山聞きますね。そのためでしょうか、カーテンコールではプロンプターに舞台上から手を差し伸べている歌手を沢山見かけます。

このほかにも舞台演出のタイミングを指示するステージマネージャーなど、演出関係の職種も存在します。最後の動画はフォルクスオーパーの例ですが、モニターを見ながらタイミングを指示する様子が紹介されています。これも大変な仕事ですね。

今日は一部の裏方さんをご紹介しましたが、まだまだ普通のお客さまが知らない仕事が沢山あります。こういった「縁の下の力持ち」的な皆さまの活躍があって、毎日、見事な舞台が上演されている訳です。今シーズンも、あと1カ月ほどで終わりますが、今日も舞台裏では、多くの歌手の皆さまが優秀なコレペティートアとともに、プローベに励んでいることでしょう。

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ウィーン国立歌劇場 |

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