« リゾートエリアのケルナーさんの秘密兵器 | Main | ろうそくの自動販売機ですが‥ »

September 15, 2013

実現するか? カーレンベルクのSeilbahnprojekt

2013_09_kahlenberg_001

今日はウィーンの郊外にある「カーレンベルクの話題」をお届けしましょう。

ウィーン市外を一望できるカーレンベルクは、観光客の皆さまにも人気のスポットだと思います。立派なリゾートホテルも営業中ですね。

今ではバスや自家用車で行くのが一般的ですが、古くから観光名所だったカーレンベルクには、その昔、鉄道が敷かれていました。この鉄道遺構については、以前、このブログでご紹介したこともあります(2006年3月20日「カーレンベルクの登山鉄道」)。

カーレンベルク鉄道は、1873年に開催され、日本政府が公式に参加したウィーン万博に合わせ、1874年に開通したラック式鉄道です。ただ、シュネーベルク鉄道やシャーフベルク鉄道がアプト式と呼ばれる方式であるのに対し、カーレンベルク鉄道ははしご形のラックレールを使うリッゲンバッハ式でした。

2013_09_kahlenberg_003

また、線路の幅も本線と同じ標準軌(1435mm)だったのも特徴です。そのため、当時の写真を見ると蒸気機関車はもちろん、客車も幅が広い大型のものが使われていました。

なお、世界初のラック式鉄道はアメリカのワシントン山(1869年開業)で、2番目はスイスのリギ鉄道(1871年開業)。カーレンベルク鉄道は、世界で3番目に開業したラック式鉄道でした。

山麓駅は現在の路面電車D系統終点ヌスドルフにありました(旧駅舎が今でもレストランとして残っています)。山頂までの距離は5.45km、高低差483メートル、最大勾配100‰です。所要時間は35分だったそうです。当時の写真を見ると、この手の登山鉄道にしては珍しく複線になっており、輸送力の高さをうかがわせます。

2013_09_kahlenberg_005

その後、1911年にはカーレンベルク鉄道を電化する計画が持ち上がりましたが、1914年に発生した第一次世界大戦の影響で、計画は頓挫。実は第一次世界大戦時には、石炭が不足し、観光鉄道だったカーレンベルク鉄道は、運転本数の削減を余儀なくされたようです。

さらに道路が整備され、車でカーレンベルクの山頂まで行けるようになると、利用者が激減し、経営状態が悪化しました。そして、1920年にカーレンベルク鉄道は営業を停止、その後、鉄道会社も解散し、今日に至っています。

2013_09_kahlenberg_007

逆に、今、ウィーン市内に電気式でもラック式鉄道が残っていれば、逆に観光名所として賑わったかもしれません。なお、左の写真は、当時の客車を復元したレプリカです(何かのイベントがある時だけ、展示されるようです)。

今では歴史の彼方に消えてしまったカーレンベルク鉄道ですが、何とSeilbahn(ロープウェイ)で復活させようという動きがあるそうです。これは商工会議所などが中心となって進めているプロジェクトで、山麓駅は地下鉄U6のNeue Donau駅が予定されています。

2013_09_kahlenberg_004

ルートはNeue Donau駅からドナウ川北岸をアウトバーンに沿ってカーレンベルク方面に直進し、ドナウ島にかかるJedleseer Brückeを過ぎた市の境界手前でドナウ島経由でドナウ川を横断し、その後、一気に山頂まで登る‥というものです(一部、クロスターノイブルクエリアに入るそうですが‥一番上の写真にルートの概略図が載っています)。終点はカーレンベルクの駐車場が予定されています。

計画では路線延長は6km、所要時間は19分、63のゴンドラを使い、1時間あたり1000人のお客さまを輸送することができる‥とされています。なお、ゴンドラは94まで増設可能で、この場合、1時間あたり1500人の輸送が可能と発表されています。

2013_09_kahlenberg_002

このルートが選定されたのは、政府や市が所有している土地を中心として、極力、私有地を避けるためだそうです。また、ロープウェイが採用されたのは、周囲への環境を配慮したものだとか‥

さて、プロジェクトの費用は3000万Euroと見積もられており、計画が決定した場合、2年ほどで完成する予定だとか。商工会議所では、資金調達のため、写真のように実物のゴンドラをカーレンベルクの山頂に運びPR活動なども行っているようです。

プロジェクトを主導する商工会議所では、新しい観光名所として年間60万人のお客さまが利用すると見込んでいますが、カーレンベルク鉄道が21世紀に復活するのでしょうか。確かにバスで行くよりは、新しい景色が楽しめるという点では評価できますが、今後の推移に注目したいところです。

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります

Br_decobanner_201105_b_3

街角の話題 |

« リゾートエリアのケルナーさんの秘密兵器 | Main | ろうそくの自動販売機ですが‥ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« リゾートエリアのケルナーさんの秘密兵器 | Main | ろうそくの自動販売機ですが‥ »