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September 27, 2013

フォルクスオーパー「SWEENEY TODD」

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珍しくオペラ「魔笛」で2013/14シーズンが始まったフォルクスオーパーですが、初っ端の新演目はミュージカルの「SWEENEY TODD」(スウィーニー・トッド)。Feriとしては、オペレッタの新作を期待したのですが、これは12月の「ヴェネチアの一や」までお預け。

「SWEENEY TODD」は「12歳以上」(R12指定)というレギュレーションがついている珍しいミュージカルです。ただ、タイトルロールに女性ファンも多いMorten Frank Larsenさんが起用されている他、ダイレクターのRobert Meyerさんが敵役ターピン判事で出演するとなると観ないわけにはいきません(ほとんど、こじつけですね‥)。ただ、ミュージカルで上演回数も多いので、プルミエは外しました。

19世紀イギリスの伝説、スウィーニー・トッドを題材としたミュージカルで、ヒュー・ホイーラー脚本、スティーヴン・ソンドハイム作詞作曲。1979年3月1日に初演されました。

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今までフォルクスオーパーで上演されるミュージカルは、どちらかというとブロードウェイの古典が多かったのですが、今回は珍しい選択です。比較的新しいミュージカルなので、良く演奏されるスタンダードナンバーが少ないのが難点‥

なお、日本でも1981年に鈴木忠志さんの演出、現在の松本幸四郎さんと鳳 蘭さん主演で初演されています。

当日の指揮は、巨漢のJoseph R. Olefirowiczさん。主なキャストは、以下のとおりです。

-スウィーニー・トッド(Sweeney Todd、復讐に燃える理髪師):Morten Frank Larsenさん
-ミセス・ラヴェット(Mrs. Lovett、パイ屋の女将):Dagmar Hellbergさん
-ターピン判事(Richter Turpin、スウィーニーを無実の罪に落とし入れた張本人):Robert Meyerさん
-トビアス・ラグ(Tobias Ragg、ミセス・ラヴェットを慕う、素朴で純粋な青年):Tom Schimonさん
-アンソニー・ホープ(Anthony Hope、ジョアンナに心を寄せる若き船乗り):Alexander Pinderakさん
-ジョアンナ(Johanna、スウィーニーの娘。ターピン判事の養女):Anita Götzさん
-ビードル・バンフォード(Büttel Bamford、ターピン子飼いの役人):Kurt Schreibmayerさん
-ルドルフォ・ピレッリ(Pirelli、自称「理髪師の王者」):Vincent Scirrmacherさん
-乞食女(Bettlerin、スウィーニーの周囲に現れる謎の物乞い女):Patricia Nessyさん
-精神病院長フォッグ(Jonas Fogg):Franz Suhradaさん
-小鳥売り(Vogelhändler):Georg Wacksさん

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舞台装置は機械の一部を切り取ったようなメカニカルな雰囲気です。一見、両側がカーブしているために「船の底」といった感じもします。最近のフォルクスオーパー得意の回り舞台を上手に使って頻繁な場面転換に対応していました。お話の中心となるパイ屋の上に理髪店があるという設定になっています。

ちなみに今回、舞台装置を担当したのは、かの有名な歌手Fischer-Dieskauさんの息子さん(Mathiasさん)だそうです。

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ホラー的な要素の強いミュージカルなので、曲も不気味な感じがするものが多いのが特長。不気味な感じを強調するためか、ワイヤレスマイクのエコーをかなり効かせていたのが印象的でした。

舞台は19世紀イギリスのロンドン、フリート街。無実の罪で流罪となった理髪師ベンジャミン・バーカーは、残した妻と幼い娘を想い、流刑地から脱獄します。そして、漂流しているところを水夫アンソニーに助けられ、船で15年ぶりにロンドンへ戻ります。お話は、ここから始まります。

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ベンジャミン・バーカーはフリート街にあった自分の理髪店へと向かい、そこで、かつて店の大家であったパイ屋の女将ミセス・ラヴェットと再会します。彼女から妻と娘に起きた悲劇を聞かされ、自分が無実の罪を着せられたことを悟ったベンジャミン・バーカーは、スウィーニー・トッドと名前を変え、全ての元凶であるターピン判事に復讐を誓うのでした‥

いつもは「いい人」の役柄が多いMorten Frank Larsenさん、Robert Meyerさん、Kurt Schreibmayerさんがいずれも悪役なので、メイクも悪人風‥ とくに1幕の最後、すんでの所でターピン判事の殺害に失敗し、殺人鬼に豹変するMorten Frank Larsenさんはすごい迫力でしたね‥

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スウィーニー・トッドが殺人に使う凶器は剃刀で、殺害現場はいずれも理髪店。1幕では秘密を知ったピレッリくらいしか殺害しませんが、ターピン判事の殺害に失敗し、殺人鬼に豹変した2幕からは、理髪店にやってくるお客さまは軒並み剃刀で殺害してしまい、遺体を某所に送り込むのです。

この「某所」は観てのお楽しみ‥ イァー、日本人のメンタリティには合わない展開。ここで笑っている地元のお客さまが多いのですから、これも驚き。

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殺人鬼となったスウィーニー・トッドですが、唯一、子供さんと一緒に来店したお父さんだけは殺害せず、普通にヒゲを剃って送り返していました。このあたり、人間の心が残っているという演出なのでしょうね。

その後、Kurt Schreibmayerさん扮するビードル・バンフォードも殺され、復讐のターゲットだったRobert Meyerさん扮するターピン判事も2回目の犯行で見事に殺害。そして、理髪店での一連の殺人を知ってしまったPatricia Nessyさん扮する「謎の乞食女」にも手をかけてしまいます。

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一方、ターピン判事に精神病院に閉じ込められたパーカーの娘ジョアンナはアンソニー・ホープによって救出されますが、その際、精神病院長をピストルで殺害‥ ここで精神病患者が一斉に病院から開放されますが、ゾンビのダンス‥といったような雰囲気。

フィナーレには、ちょっとしたサプライズが用意されていますが、「あらすじ」にも書かれて折らず、「ネタバレ」になるので、ご紹介は差し控えましょう。キーワードは「謎の乞食女」です。

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いずれにしても最後は、一連の殺人の共犯者であるミセス・ラヴェットとスウィーニー・トッドも殺害されてしまいます。ちなみに生き残るのはアンソニー・ホープとジョアンナ、そしてトビアスの3名だけです。殺人を犯さないのはジョアンナだけだったと思います。

日本映画「悪人」のように誰が本当に悪人なのかわからない‥凄まじいミュージカルであす。正にホラーの世界‥ Feriがフォルクスオーパーのミュージカルで、見終わって気分が暗くなったのは、初めてでした。実はセカンドクルーの公演もあるので、当初はそちらも観ようかと考えていましたが、現在、思案中‥

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ただ、新聞評が良かったように神秘的な舞台装置や演出、主要な歌手のレベルは高く、完成度の高いプロダクションだと思います。ただ、「子供からお年寄りまで、誰でも楽しめる内容」を指向するフォルクスオーパー向けの題材ではないような気がします。

なお、殺害のシーンでは剃刀で頸動脈を切るため血しぶきが吹き上がりますが、今は多少、セーブしている感じなので、よく見ないとわからないと思います。その点はご安心ください。なお、一時、オーケストラピットまで血しぶきが降ってくるということがあった‥というウワサを耳にしたことがあります。いい迷惑ですよね。

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「スウィーニー・トッド」は、こちらでも好き嫌いがはっきりしているミュージカルだそうです。フォルクスオーパー贔屓のFeriも、広く皆さまにお勧めする気持ちにはなりません。ホラーものがお好きな方には楽しめる内容かもしれませんが‥

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Feri個人としては、フォルクスオーパーでミュージカルをご覧になるのであれば、レパートリー演目として上演される「マイフェアレディ」、「キスミー、ケイト」、「ガイズ・アンド・ドールズ」、「ローマで起こった不思議な出来事」などをお勧めします。こちらは、それぞれ味のある内容で、見終わった後、心さわやかに家路につくことができると思います。

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