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October 12, 2013

新作ミュージカル「Rosen in Tirol」

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今日は10月2日から上演が始まった新作ミュージカル「Rosen in Tirol」の話題をお届けしましょう。

このミュージカルですが、Feriがアパートの近くを歩いているとき、偶然、ポスターを見かけて、公演を知りました。何となく楽しそうな感じのミュージカル‥という感じがします。

さっそくMetropolという劇場名を頼りに調べたところ、何とFeriが済んでいるHernals区にある劇場だったのです。地元で、こんな公演をやっているとは!! 

そして気になる「Rosen in Tirol」ですが、「sehr frei nach Carl Zeller」となっているではありませんか。この二つのキーワードでピンときたのは、カール・ツェラーの名作オペレッタ「小鳥売り」(Der Vogelhändler)で使われている名曲「チロルではバラを送る時は‥」をモチーフにした作品ではないか‥ということです。

インターネット経由ではチケットの購入ができないため、さっそく劇場のチケットオフィスに出向いたところ、楽しそうな舞台写真がふんだんに貼り出されていました。という訳で、チケットをゲット。

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さて、劇場の場所はHernals区の区役所があるElterleinplatzの近くにあります。昔ながらの建物に看板がかかっていたので、この中にあるのかと思ったのですが、劇場は建物を抜けた奥にありました(ちなみにチケットオフィスは道路沿いの建物の中にあります)。

比較的小型の劇場ですが、中に入って驚きました。まず客席が横長で、ワンフロア構造(但し、後方は若干高くなっています)で、奥行きはほとんどありません。そのため、左右の補助舞台前の席については、舞台側ではなく、内側を向いています。

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そして、客席の後ろには、客席数に比べて立派なバーコーナーが左右あり、ビアやワインなどを飲みながら公演を観ることが可能です(バーコーナーの中央は照明や音響のコントロールブースでした)。Feriは行ったことがないのですが、こちらのようなキャバレーの雰囲気が‥

また、客席の奥にはビュフェがあり、温かい食事を提供していました。開演時間が20時と遅いこともあり、ビュフェでお食事をとっているお客さまも多かったですね(開場は19時でした)。暖かい時期にはシャニガルテンも利用できるようです(シャニガルテンがある劇場というのは、Feriは初めてです)。

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舞台も横長で、向かって左側の舞台がバンドのブースで、中央の舞台で演じられます。なお、舞台には緞帳がないため、右側の舞台から小道具を持ってきて対応するというパターンです。

さて、プログラムを購入して内容を確認したところ、「Rosen in Tirol」は、カール・ツェラー(Carl Adam Johann Nepomuk Zeller)の名作オペレッタ「小鳥売り」(Der Vogelhändler)の第1幕で歌われる二重唱「チロルではバラを送るときは…」を使った創作ミュージカルでした。原作者(オリジナル)に敬意を払いながら、今風の作品に仕上げるところは見事。

客席に入ってみると向かって左側が演奏者のブースになっており、7名編成のチロリアンバンドを起用しています。チロリアンバンドが演奏するミュージカルだと、ノリノリになる予感が‥制作陣は、以下のとおりです。

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-演出:Andy Hallwaxxさん
-脚本:Peter Hofbauerさん
-音楽:Johnny Bertl & Manfred Schwengさん
-舞台:Claudia Vallantさん

また、出演者は、以下のとおりです(右上の写真はプログラムからの抜粋ですが、バンドのメンバー以外は、これが全てです)。

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-Christl(リゾートホテルの臨時メイド):Caroline Vasicekさん
-Adam(リゾートホテルのマッサージセラピスト):Boris Pfeiferさん
-Adelaide (常連のお客さま):Tania Goldeさん
-Kaspar Hofer(リゾートホテルの支配人):Stephan Paryla-Rakyさん
-Marie Luise von Wertheimstein(資産家の妻):Caroline Frankさん
-Florian von Wertheimstein(資産家):Alfred Pfeiferさん
-Badsi(テレビ局のレポーター):Claudia Rohnefeldさん
-Harry(テレビ局のカメラマン):Patrick Lammerさん
-Jutta die Rezeptionistin(リゾートホテルのレセプショニスト):Judith von Orelliさん
-Andrea Dubai(地元のお客さま):Susanna Hirschlerさん

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舞台は、チロルの某高級リゾートホテル。時代は現代。何しろフロントではパソコンで予約管理をしており、皆さん、スマートフォンで連絡を取っています。

アーダムとクリステルは出てきますが、「小鳥売り」とは役柄が異なります。「小鳥売り」では、小鳥売りだったアーダムは高級ホテルのマッサージセラピスト、郵便配達人だったクリステルは臨時のメイドです。

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お話は、このホテルを舞台にして繰り広げられる恋愛劇です(女将と従業員の恋愛はありませんが、「白馬亭にて」のような展開です)。

毎年、このホテルにやってくる資産家のWertheimsteinご夫婦が物語の鍵を握ります。ホテルの支配人であるKaspar Hoferは、Florian von Wertheimsteinをはじめとするお客さま投資を持ちかけます。実は、Wertheimsteinご夫婦ですが、最近は夫婦仲が悪く離婚の危機に… 

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それもそのはず、妻のMarie Luise、夫のFlorianとも、バカンスでやって来たリゾートホテルで浮気に余念がありません。浮気相手には、レセプショニストやアーダムをはじめとするホテルの従業員も(上の写真はレセプショニストといちゃつくFlorian)…

さらに個性的な女性客や、男女ペアのテレビの取材クルーがやって来て、ドタバタ劇を繰り広げます。

アダムの職場マッサージ台には、なぜか仏像のレリーフが‥ ミュージカルなので、ダンスシーンも多いですが、ポップダンスだけではなく、写真のようにオーストリアの民族舞踊も取り入れているので、チロルの雰囲気が出ています。

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なお、前半は夏のホテル、そして休憩を挟んだ後半は季節が冬に変わり、最後はバラが咲く春に‥。後半のオープニングでは、スキーウェアで登場します。

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キャストが10名しかいないため、オープニングでは、お芝居に関係なく全員が参加する他、お芝居とダンスシーンで衣装を変える、仮装をすることで「その他の人物」になるといった工夫で変化を付けています。

そのため、とても10名で演じているとは思えません。このあたり、小劇場ならではのアイデアが光ります。

さて、本作品のテーマソングとも言える「チロルではばらを送るときは…」は、前半の最後、そしてフィナーレで歌われますが、なかなか効果的な使い方です。

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フィナーレではMarie Luiseが「バラの女王」になり、ご夫婦の危機も解消。アーダムと婚約者のクリステルの仲も元に戻る…というハッピーエンドで幕となります。なお、バラの女王に「銀のバラ」を支配人が送るシーンがあります。これは「ばらの騎士」のパクリでしょうかね。

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とにかく全員が民族衣装を着ている上に、明るいミュージカルなのでハイテンション。この作品の特徴は、いわゆる美人キャラがMarie Luiseだけ…ということです。

ホテルのレセプショニストは美人キャラですが、これはオマケ。クリステルも、魅力的ではありますが、いわゆる美人キャラではありません。また、その他のお客さまやテレビクルーは、基本的におばさまキャラです。が、このおばさまキャラが、歌って踊って大爆発。

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とにかくお客さまの反応が半端ではありません。頻繁に爆笑が起こります。これは、お芝居と台詞のおもしろさ… それにしてもウィーンには芸達者な人が多いこと‥たいしたものです。正直、Feriが観た範囲では、フォルクスオーパーでも、これほどお客さまが沸いた公演は、少ないですね。

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演奏も7名編成(女性1名、男性6名)のDie original fidelen Kizborferというバンドが様々な楽器を使い分けて、テンポの良い演奏を繰り広げるので、これまた楽しかったですね。なお、バンドリーダーは中央舞台側に陣取り、演奏しながら全体の指揮もしていました。

22時30分過ぎにお開きとなりましたが、ミュージカルらしくカーテンコールが、これまた見事。小さい劇場なこともあり、客席との一体感も生まれていました。

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個人的には、古い時代設定のオペレッタを近代化するのは、どうかと思いますが、このように名曲をモチーフにしながら、新しい曲も交えて、内容を再構築するプロダクションは賛成です。そして、制作者がちゃんと原作者に敬意を払っている姿勢もいいですね。

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ウィーンのでは、フォルクスオーパーをはじめ、ローナッハ劇場、ライムラント劇場などで、ドイツ語版ブロードウェイ・ミュージカルを上演していますが、ドイツ語ベースの新作ミュージカルが、こんなに楽しいとは思ってもみませんでした。

これは、フォルクステアターの「白馬亭にて」と並ぶ、完全な拾いものでした。ただ、芸術作品と言うより、娯楽作品ですから、どなたにもお勧めする‥という訳ではありませんが、「スウィーニー・トッド」と異なり、楽しい一時を過ごせることだけはお約束できます。

Metropolの「Rosen in Tirol」ですが、11月6日まで、日曜日と月曜日を除く毎日、上演されています(11月4日は休演)。

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