スクープ? ウィーンで日本向け鉄道模型を製造中?
今日は「鉄道模型の話題」をお届けしましょう。
日本はオーストリアよりも鉄道模型を製造・販売している会社が多数存在します。また、その昔は日本製の海外向け高級鉄道模型車両(真鍮製のハンドメイド製品)はアメリカに数多く輸出されていました。
ただ、最近ではコストの関係から、日本国内に流通している鉄道模型(主に車体がプラスチックの製品)の中には中国などで製造しているケースが増えていますが、企画や設計などは日本で行っているようです。しかし、さすがにヨーロッパのメーカーに製造を委託するというケースは、今まで、ほとんどなかったと思います。
さて、先日、近くまで用事があったので、帰りに10区の工業団地にあるHOスケールの路面電車模型を中心に製造しているLEOPOLD HALLINGの本社工場を久しぶりに訪問してみました。
前にもご紹介しましたが、この本社工場では自社製品を事務所で販売しています。これは、同社の製品を取り扱っている店舗が少ないためです。とくにドイツ各都市の路面電車などは、オーストリア国内では、なかなか手に入りません。
興味深いのは本社工場だけに事務所のショーウィンドウには今まで製造した路面電車を中心とした製品や、新製品の試作品などが並んでいることです。
最近はハイグレード仕様の路面電車の模型を次々と発売しており、路面電車ファンにとっては期待のメーカーと言えるかもしれません。
さて、そんな中、ショーウィンドウの中にちょっと変わった新型路面電車を見つけました。まず、サイズが一回り大きいのです。さて、どこの路面電車でしょうか? 手に取ってみるわけにはいかないのですが、よく見ると車体に「PORTRAM」と書かれているではありませんか。
Feriは実物を見たことがないのですが、「PORTRAM」(ポートラム)とは、2006年に開業した富山ライトレールの愛称です。実物はTLR0600形と言い、ドイツのボンバルディアの技術を導入し、日本でライセンス生産された連節低床式の車両です。
日本では他の鉄道でも、連節低床式の路面電車を運行しているところが増えていますが、富山ライトレールは、線路も新しく整備した上で、全車両がTLR0600型というのがポイントです。つまり、日本発の本格的LRTなのです。
オフィスにいらっしゃった同社幹部にお伺いしたところ、どうも日本の会社から製造を委託されているそうで、試作品が完成したところだというお話でした。いわゆるOEMですね。また、かなり複雑なルートで日本からオーダーされているようでした(途中に商社が介在しているような話でした)。
実は車体が大きく見えたのは、ヨーロッパの鉄道車両はHOスケールの場合、路面電車も1/87ですが、日本型は1/80なので、実物が同じサイズの場合、車体が大きくなる訳です。
本線用の車両は日本の方が一回り小さいですが、路面電車の場合、車体断面は、こちらの車両とほぼ同じなので、大きくなったのでしょう。
日本ではすでにNゲージのポートラムTLR0600型が発売していますが、HOスケールは、まだ発売されていません。
最近のLEOPOLD HALLINGはハイグレード仕様に移行しつつあるので、試作品とは言え、その出来映えは見事でした。車体は一体成形の透明プラスチック製で、印刷により塗装を表現しているらしく、窓と外板の段差などはありません。これは最近、同社がドイツ向けの路面電車などでも採用している方式です。何しろ窓が大きいので、この方が製造コストを下げられるようです。もちろんモーターを搭載しており、HOのレール上を走ります。
また、屋上に取り付けられたパンタグラフは金属製で、可動式になっていました。Feriが見た試作品は赤いタイプでしたが、量産品では青や緑も発売されるようです。
最近は日本でも路面電車の模型を作っているメーカーも存在するので、わざわざウィーンのLEOPOLD HALLINGに製造委託する必要はなさそうな気がします。しかし、低床式用の駆動機構などを新たに日本で開発するより、実績のある同社の技術を活用した方が結果的にリーズナブルなお値段で発売できるのかもしれません。
鉄道模型に詳しい日本の友人にきいたところ、すでに一部の店舗では予約販売が始まっているようで、お値段は30000円強だそうです。
しかし、OEMとは言え、ウィーンの鉄道模型メーカーで日本向けの路面電車を製造する日が来るとは、Feriは夢にも思いませんでした。日本の鉄道模型ファンの皆さま、オーストリアが誇るLEOPOLD HALLING製のポートラムをお買い求めください。
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