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March 24, 2014

フォルクスオーパー「伯爵令嬢マリッツア」プルミエレポート(その2)

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昨日は全体の総括をお届けしましたが、今日の伯爵令嬢マリッツア」プルミエレポート「その2」では、舞台の進行に沿って観どころ、聴きどころをご紹介しましょう。ただ、「ネタバレ」になるので、ご容赦ください。

オープニングのマニャの歌に続いてダンスシーンを交えた序曲が終わると、第1幕になります。

○第1幕
タシロが邸宅の中で休んでいると、そこへ子供達が、チェッコに引きつられて「感謝の印」を持ってやってきます。この場面、子供達の合唱が人気のシーンですね。

子供達が立ち去ると、入れ替わりにヴィッテンブルク伯爵家の借金清算を依頼していたカール男爵が登場し、タシロに結果を報告します。

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ここでタシロ、最初の聴かせどころ「夕闇せまれば」が歌われます。本来は哀愁を込めて歌う場面ですが、遠いウィーンへの思いがあまり感じられませんでしたね。ちなみに今回の演出では、カール男爵の出番は、ここだけ…早々に「お疲れさま」となります。

歌い終わったタイミングで、ポプレスク公爵が「マリッツアが婚約して、ここへ戻ってくる」という情報を持って邸宅に登場。

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その後、マリッツア登場の場面へ。この当たりはテンポが速いです。マリッツアを迎えるため、着飾った沢山の人が集まってきます。実は、本演出では衣装の色に特徴があり、オーストリア、ハンガリー系の人は白、ジプシー系の人は黒と対比させています。

「マリッツア歓迎の場面」は、前演出時代から、合唱団の腕の見せ所。迫力ある合唱でお客さまを魅了します。舞台が回転し、邸宅の表から満を持してマリッツアが登場。

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意外と地味なコスチュームです。以前は、いかにも伯爵令嬢という感じのゴージャスなドレスだったのですが…マリッツアは、なぜか屈強なボディーガードを連れています(ダンサー)。どうも言い寄る男どもを遠ざける役割のようで、実際、そういった芝居が入っていました。

ジプシーのヴァイオリンが聞こえてくると」「恋はいずこにあるのかしら」とマリッツアのアリアが続く。ここはなかなか、聴かせてくれた。

マリッツアが「今日のパーティーには婚約者は出席しない」と発表するので、招待客たちは驚きますが、マリッツァの意図は、煩わしい求婚者を退けること。ご存じ、婚約者は架空の人物で、名前はヨハン・シュトラウスの名作オペレッタ「ジプシー男爵」のタイトルロールです。

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タシロは、ここで妹のリーザと再会するが、自分はある女性のため管理人を務めているので、自分の身分を明らかにしないよう依頼します。タシロとリーザのデュエット「楽しかった子供の頃」では、邸宅の中がタシロとリーザの子供の頃のセットに早変わり。

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子供もタシロとリーサ-がおもちゃで遊んでいる中で、歌うことに… ここでも歌に合わせて舞台はどんどん回ります。また、子供が遊んでいるぬいぐるみにはダンサーが入っており、子供の相手をしています。本編と関係のないところだが、芸が細かいですね。

タシロとリーザが退くと、実在のコロマン・ジュパン男爵が登場。しかし、最初はリーザをマリッツアと勘違いしてしまいます。その後、リーザに諭されて、本物のマリッツアにアタック開始。なお、この時、手土産に「豚のぬいぐるみ」を持ってくるのですが、これは「富のシンボル」。芸が細かいです。

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ジュパン男爵のコスチュームは、前演出のようなハンガリー伝統の衣装ではなく、赤い革ジャンのヤンキー風。「一緒にヴァラシュディンへ行きましょう!」では、ジュパン男爵の分身11人(男女のダンサー)が登場し、ジュパン男爵のマリッツアに対する情熱を強烈に表現。

この時の振付は、メリハリがきいたアメリカのミュージカル調。階段に電飾があって、昔のメルビッシュを思わせる舞台です。ある意味、最初のサプライズですが、お客さまの反応は上々でした。

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ダンスもしつこくないレベルでまとめていました。ところで、ここはジュパン自身もダンサーと同じレベルの踊りが要求されるので、起用される歌役者が限定されそうな気がします。プルミエに起用されたBoris Ederさんは、見事に演じきっていました。かなり激しいダンスなので、ダンサーも息が上がっていたね。

ここで場面転換。邸宅内で人々が陽気にパーティーを楽しむのを見ながら、招待客ではない使用人のタシロは、邸宅の外で、古き良き日々に思いを馳せます。

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ここも印象に残るシーンですね。今回は、雷鳴が響き渡り、にわか雨が降ってきます。雷雨の中、タシロはマリッツアから差し入れられたシャンペンを飲みながら「僕もかつては立派なチャールダーシュの騎士だった」を歌います。前半の聴かせどころ。

ただ、今回、貴族らしい誇りが、あまり感じられないお芝居が残念(というか、そういう演出なのかもしれませんが…)。また、雨音が気になる方がいらっしゃるかもしれません。

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見事な歌を聴いたマリッツアは、タシロに、皆の前で歌を披露することを要求しますが、タシロは歌うことを拒否。断られたことのないマリッツァ、かんしゃくを起こしてタシロを解雇。一方、パーティーは賑やかに続き、ジュパン男爵が、「歓楽街タバリンに行こう」と提案します。

そこへジプシー女マニャが舞台袖から登場し、マリッツァの手相を占い、「向こう4週間のうちに、高貴な出自の男性を愛するようになるだろう」と予言します。このあたりは、オリジナル通りですね。

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結局、マリッツァ邸宅は留まり、人々をタバリンへ送り出します。来客がいなくなると、マリッツァとタシロは互いに歩み寄ります。マリッツアはタシロを手放しがたく、解雇を取り消し、タシロは「僕もかつては立派なチャールダーシュの騎士だった」を歌います。暗転で、第2幕へ。

○第2幕
マニャの占いから4週間が過ぎたという想定dす。今回のマリッツアは、積極的です。2幕の冒頭、マリッツアは、自分の長いすにタシロを読んで、説明をさせるなどアタックをかけ始めます。

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一方、恋多きジュパンは、リーザにアタックしながらも、相変らずマリッツァを褒め続けるため、リーザが泣き出してしまいます。

ジュパンはリーザの機嫌を直すため、マジックを披露しながら、「僕が毎晩寝る前に」の二重唱を歌います。この場面も、歌役者の本領発揮。

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この二重唱の中で、風船にぶら下がったリーザがあわや空中に…というシーンがあります。なお、この場面では、チェッコが二人の後ろに座り、ジュパンのアタックを、イライラしながら見守っているところにもご注目。

マリッツァは、ますますタシロに好意を抱くようになります。ここで2人はワルツ、「おや、今日はどうしらのだろう」を踊りながら歌います。周囲にはダンサーの姿が…(ここも想像シーンをビジュアル化している場面ですね)。

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その後、邸宅で休んでいるマリッツアは空想の中では、相変らず求婚者たちに取り巻かれます…ここでも空想場面ながら、ポプレスク、ジュパンに続いて、町の男たちが「マリッツア!!」と叫びながら邸宅に入り込んでいきます。

ここで休憩。前半は1時間30分ほど。変化に富んだ舞台と魅力的な歌の数々で時間が短く感じます。

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後半のスタートは、タシロがマリッアを起こして空想から目覚める場面から始まります。ポプレスク侯爵がやってきて、マリッツアが自分に惚れ込んだかどうか知ろうとしますが、マリッツァは再び、タバリンに行くのを拒否。ポプレスクは金と策略の限りを尽くして、マリッツァをタバリンに連れて行こうとします。

何と、舞台が回ると邸宅がタバリンに早変わり。中央にはシャンペンタワーが設置され、ダンサー達が魅力的な踊りを披露します。ここは休憩後、最初の見どころ。ダンスの曲は、前演出と同じく「シカゴの侯爵夫人」から「シミーでダンスを」。そのため、振付はメリハリのきいたアメリカ風です。

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このパーティーにはマリッツアの指示で、正装したタシロもエスコート役として参加。タバリンのダンサーによるダンスが終わったところで、マリッツアとタシロは二重唱「僕の可愛い恋人よ」と「恋人よ、はいと言っておくれ」を歌います。ここが二幕中盤の聴きどころです。

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一方、ジュパンはリーザに、自分の気持ちを打ち明けるのですが、リーザに拒否されてしまいます。この時の小道具が、チェッコが大切に育てたバラの花。鉢からバラがなくなって、落胆するチェッコのお芝居が面白いところです。今回、チェッコが案内役に加えてキーマンになっているところがあります。

その後、ポプレスク公爵は、偶然手に入れたタシロからリーベンベルク宛ての手紙を使い、マリッツアに「タシロは貧窮した貴族であり、タシロとリーザが密かに恋仲である」と告げ口します。ポプレスク公爵は嫌なヤツ…

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ポプレスク公爵の話を真に受けたマリッツアは、パーティーに集まった人々の前で、タシロの身分を明かし、「持参金目当てだ」と非難し、札束を投げつけます。ここは、マリッツアが歌う後半の聴かせどころ「ハイ、マリッツア」。

実際、札束でタシロの頬を叩く場面もありますので、お見逃し無く。このあたり、頭に血が上ると、後先を考えずに行動をするマリッツアがよく描かれています。

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その後、リーザがタシロの妹であることが明らかになると、マリッツァはショックで落ち込みます…本来、気丈なはずのマリッツアが、今回は、なぜかすぐに落ち込みます。暗転で3幕へ。

○第3幕
「その1」でご紹介したように、第3幕は従来とは、演出が大幅に異なります。まず、賑やかな一夜の後、ポプレスク公爵は、飲み仲間となったジュパン男爵と邸宅の広場でダウンしているシーンから始まります。

ここでポプレス公爵は、ジュパンに「実は深く思いを寄せる侯爵夫人がいるが、もう長年会っていない」と打ち明けます(これが、ボジェナ侯爵夫人との結婚に向けた伏線です)。

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そこへマリッツアがやってきて、「もう管理人はいないのよ。仕事、仕事」と言ってシャンペンボトルが散らばった部屋を片づけはじめますが、タシロを失ったことで、仕事が手につかず、またまた落ち込んでしまいます。

そこで、ポプレスクとジュパンがマリッツアを元気づけるため、三重唱「ばら色の肌のハンガリー娘」を踊りながら歌います。旧演出では、このあたりマリッツアは気丈なところを見せていましたが、今回はかなり落ち込んでいました。ただ、「ばら色の肌のハンガリー娘」を歌って踊ることで、元気になるところは、オリジナルどおりです。

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「チャールダーシュの女王」の「ヤイ、ママン」と同じく、リフレインが期待される曲ですが、リフレインの途中で舞台が回り、場面転換します。

舞台は邸宅の広間に変わります。タシロの伯母ボジェナ侯爵夫人が、侍従のペニジェクを伴って登場。ここからはRobert Meyerさんの本領発揮。

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3幕は事実上の主役。マリッツアを使用人と勘違いして手を出す、ギャグを連発するなど大活躍。フォルクスオーパーのギャグは時事ネタを入れることで有名ですが、今回のプルミエでは、最近、ブルグ劇場の総支配人が文部大臣に更迭されるという事件があったのですが、当然、この話題も入っていました。当然、お客さまも腹を抱えて笑っています。

タシロと再会したボジェナ侯爵夫人は、タシロの領地を買い戻し、しかも花嫁候補を選んであると告げます。が、タシロは叔母が選んだ花嫁候補の写真を見て断固拒否し、その場を立ち去ります。ペニジェクが写真を預かって同情する場面も…また、ボジェナ侯爵夫人が指示すると、夫人の心模様をペニジェクが再現する演技も抱腹絶倒物…

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とにかくペニジェクのお芝居に会場は爆笑の嵐。かつて「伯爵令嬢マリッツア」の3幕で、これほどペニジェクの台詞に反応してお客さまが笑ったケースは見たことがありません。正にRobert Meyerさんの独壇場。なお、途中、ペニジェクが固まった状態でソファーに腰掛ける場面は、必見です。

ボジェナ侯爵夫人はマリッツァと話をするうち、彼女がタシロを愛し、今までの自分の態度に後悔しているのを知ります。

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そこへジュパンとリーザが登場。実はジュパンの男爵という肩書きが詐称であることがわかりますが、それでもリーザは彼とともに生きる決意を固めます。ボジェナ侯爵夫人とペニチェクが二人を祝福します。

さらにポプレスク侯爵がマリッツアを口説くためにやってきますが、そこで若き日の恋人であるボジェナ侯爵夫人とバッタリ。二人は、瞬時に恋に落ち、二組の婚礼が予定されることに… 

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素早い展開に、さすがのマリッツアもあきれて、さっそくタバコを一服。リーザやジュパン、ペニチェクもビックリ仰天。最後は、ペニジェクも加わって5人で「一緒にヴァラシュディンへ行きましょう!」を踊りながら歌い、その場を立ち去ります。

一人残ったマリッツァのところへ、タシロが登場。漸く互いの愛を認め合い「恋人よ、はいと言っておくれ」の二重唱で二人が立ち去ると、「謎の少女」が舞台中央に歩み出て幕となります。

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案内役の「謎の少女」が、邪魔と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご年配のお客さまには、この手の子供が出演する場面には弱いので、まぁ、作戦は成功かもしれません。

全体的には、テンポも良く、楽しめる展開になっていたと思います。前演出と今回、どちらが良いのか…これは、一長一短があるような気がします。Feriは、3幕以外は、明るい雰囲気の前演出も気にいっていたのですが…

「その3」では、出演者の仕上がりについて、Feriの独断と偏見で、コメントしたいと思います。

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