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April 03, 2014

バーデン市劇場「ワルツを奏でる二つの心」

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毎シーズン、フォルクスオーパーとはひと味違うオペレッタを上演してくれるバーデン市劇場。2013/14シーズンでFeriが注目したのはRobert Stolz作曲のオペレッタ「ワルツを奏でる二つの心」(Zwei Herzen im Dreivierteltakt)です。

お恥ずかしい話、本作品の中に登場する名曲「Zwei Herzen im Dreivierteltakt」は良く聴きますが、肝心のオペレッタは、今まで観るチャンスがありませんでした。

すでにシーズンの公演は終了してしまっていますが、その様子をお伝えしましょう。

この作品ですが、1930年に制作されたオペレッタ映画「四分の三拍子を刻む二つの心」が先にあり、それを舞台化したという、通常とは逆もパターンです。

また、事前に仕入れた情報では、オリジナルとはかなり演出(出演者の役柄も含む)が異なっているとのことでした。

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指揮はOliver Ostermannさん。主な出演者は、以下のとおりです。

-Anton Hofer(アントン・フォーファー、楽団長/オリジナルは作曲家):Darius Merstein-MacLeodさん
-Anny Lohmayer(アンニィ・ローマイヤー、オペレッタ歌手):Katja Reichertさん
-Nicki Mahler(ニッキ・マーラー、今回は歌手/オリジナルは台本作家):Stefan Bleiberschnigさん
-Vicki Paschinger(ヴィッキ、今回は俳優/オリジナルは台本作家):Aris Sasさん
-Oscar Blaustingl(劇場支配人):Nicolaus Haggさん
-Josef Wrbala(劇場の雑用係):Josef Forstnerさん
-Mizzi(ミッツィ、今回は劇場Caféのウェイトレス/オリジナルは歌手):Nina Weißさん
-Salome Wolkersdorfer:Ingrid Habermannさん
-Betsy Wolkersdorfer(Salomeの妹):Edith Leyrerさん
-Hedi Wolkersdorfer(SalomeとBetsyの姪):Jasmina Sakrさん
-シアターエージェント/タクシー運転手:Franz Josef Koepp
-Willy Pechstein(コレペティートア):Martin Ivanovさん

という面々です。

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最近のバーデン市劇場はオペレッタを上演する際、フォルクスオーパーから歌手を呼んでくるケースが多いのですが、今回は先日の「伯爵令嬢マリッツア」でカール男爵を務めたNicolaus Haggさんだけが登場しています。

まず、舞台装置ですが、意外と写実的で、しかもきれいにまとめられていました。Feri個人としては、最近のフォルクスオーパーのものより好感が持てました。本来、3幕のオペレッタですが、事実上、2幕に変更されていました。

第1幕・第1場は某家のサロン。NickiとVickiが新作オペレッタで悩んでいます。そこへ登場するのが、オリジナルにはないSalome Wolkersdorferというおばさん。このおばさんもキーになる脇役です。

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そこへ歌手のAnnyやHoferがやってきますが、この当たりのお話はオリジナルに近いようです。が、ここへ劇場支配人や劇場の雑用係もやってきて、サロンは大混乱。Hofer達の男性は劇場へ出かけていきます。そこへ、Betsyが登場し、Salome、Annyの3人で踊りながら歌う場面になります。

ここで第2場の「劇場カフェ」に暗転。ウェイトレスのMizziがさっそく登場し、テーブルの上に登り、一曲披露。ここへHofer、Nicki、Vicki達がやってきて、劇場支配人を交えて新作の相談を始めます。このカフェのセットも雰囲気があって良かったですね。

なお、オリジナルは第2場が劇場オフィス、第3場が居酒屋という設定らしいのですが、今回の演出では、この二つをまとめて第2場にしているような感じでした。

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そして、3場では再び深夜のサロンへ。Hofer、Nicki、Vickiの男性陣とSalome、Betsyたち女性陣とのやり取りが面白い場面です。

ここで休憩となります。ところで、今回の演出では、場を転換する際、緞帳が下りてから、その前に歌手が出てきて、歌を披露するパターンが多く設定されていました。2場から3場への転換では、雑用係のJosef Wrbalaが出てきて、お客さんにも歌うように案内する場面がありましたね。

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休憩後、第2幕第1場は劇場のバックステージ。肝心のワルツができあがっていないものの、ここで新作の稽古が行われているという想定です。ちゃんとコレペティートアが出ているところが雰囲気を盛り上げます。出演者の稽古は進みますが、肝心のワルツができていないため、皆がイライラしています。

ここで第2場へ。再び劇場のカフェに… Hofer、Nicki、Vickiたちが頭を悩ませています。Hoferに作曲のインスピレーションを蘇られるために、知恵を絞ります。女性との恋に落ちるとインスピレーションが蘇る…ということで、作戦を立てます。

第3場は再び劇場のバックステージ。悩んでいるHoferのところへ謎の女性(Hedi)が登場。この女性との出会いを通じてHoferの霊感が蘇り、素晴らしいワルツ「ワルツを奏でる二つの心」ができあがる…という展開。

Hoferは、そのメロディをスコアに残し、ピアノの上に置くのですが、雑用係のJosef Wrbalaがゴミと間違えて捨てしまいます。ワルツができあがったので、さぁ、稽古…となったところで、スコアがないのが発覚。バックステージは大騒ぎに… ここで謎の女性が再び登場し、Hoferもメロディを思い出し、めでたくオペレッタが完成…というところで幕となります。

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実は、Feriは、ここで一つ疑問が残りました。というのはプログラムに掲載されている派手なダンスシーンが、これまで出てこなかったのです。

ところが、その後、客席から後方からシアターエージェントが登場し、緞帳の前に並んだ出演者に向かって「素晴らしい作品ができたので、アメリカで上演だ」と発表。

緞帳があがると、何とできあがった作品(オペレッタと言うよりミュージカルか、レビューですが)が上演されるという演出です。

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カーテンコールのような扱いですが、レビューの舞台なので、舞台装置も新しく、アメリカ風。ダンスもアメリカ調の振付で、結構、セクシーな場面も。実はプログラムにふんだんに掲載されているダンスシーンは、ここの場面だったのですね。納得。

最後は3組のカップル(HediとHofer、AnnyとNicki、Mizzi とVicki)の誕生が予感される場面でレビューが幕となります。

なお、今回、激しいダンスシーンがあるためか、全員がワイヤレスマイクを使っていました。このクラスの劇場でマイク…というのは残念ですが、キャストのバイオグラフィーを見ると、ミュージカル系の歌手の方が多いので、その関係だと思います。

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全員がマイクを使っていたので、歌唱力云々は評価できませんが、Annyを演じたKatja Reichertさんは主にミュージカルに出演している歌手なので、フィナーレのダンスも上手でした。また、Nicki のStefan Bleiberschnigさん、VickiのAris Sasさんもフィナーレで見事な踊りを披露してくれました。

また、フォルクスオーパーではちょい役が多いNicolaus Haggさんですが、今回はお芝居で結構はじけていましたね。途中、変奏して出てくる場面もあったのですが、この人もキャラが立っているので、こういった役は最適だと思います。

なお、ハイライトシーンがYouTubeに公開されているので、雰囲気をお楽しみください。

ところでバーデンですが、夏のプログラムも発表されています。今年の夏ですが、オペレッタはレハールの「Giuditta」、カールマンの「Die Zirkusprinzessin」の2作品が、例のSommerarenaで上演されます。


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オペレッタ |

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Comments

Feri さん、こんにちは。Steppke です。

Baden の Zwei Herzen im Dreivierteltakt には、2日続けて行きました。
やはり2回観ると、いろいろと面白いし、楽しめますね。

オリジナルをかなり翻案していて、登場人物の設定も異なり、聴きなれたメロディーは出て来ても歌う人物や歌詞が違うので、1回目は結構戸惑いました。
Nicki と Vicki は兄弟ではないし、Hedi は二人の妹でもないので、Meine kleine Schwester heißt Hedi とは歌えず、あの楽しい曲がちょっと台無しでした。
それに、Das ist kein Zufall, daß das Glück in Wien wohnt も、メロディーはちらっと出ては来ましたが、情緒たっぷりの Wienerlied ではなく、がっかりでした。
逆に、この作品とは関係無い Ob blond, ob braun, ich liebe alle Frau'n が結構使われていて、違和感がありました。元々、オペレッタの上演では同じ作曲家の他の作品からナンバーを補完することが多く、特に Robert Stolz は自分からヒット曲(Wienerlied)をオペレッタに取り込んで人気を高めようとする傾向が強いのですが、今回の演出では、ちょっと強引な感がありました。
そして、最後のレビューの場面..これは余計だと思いました。オペレッタとして完結した後に、全く雰囲気が変わってしまうので、折角の幸福感が消えてしまいました。オペレッタの人気を上げるのには必要で、仕方ないのかも知れませんが..

まあ、この曲はとても好きなので(と言っても、幾つかのナンバーを除き、これまでは録音でしか接したことがありません)、いろいろと注文はつけましたが、2回目は慣れたので、ゆったりと音楽に浸ることができ、とても楽しめました。
特に、Wrabala の KS Josef Forstner さん(この方も Volksoper にいつも出演されてます)が、客席を巻き込んで歌った場面は印象的でしたね。深い声で情緒たっぷりに歌われ、観客のハミングも引き出して乗せてました。Baden の演出はいつも場面転換が上手いのですが、これは特筆ものでした。
Nicolaus Hagg さんもそうですが、ベテランは凄いですね。Hagg さんは、その朝、Volksoper で Gräfin Mariza の Generalprobe に出演されていたのに、夜は Baden であそこまでの熱演で、脱帽でした。

結局、とても Baden らしい舞台で、オペレッタ・ファンとしては、このようなレアな曲を、高い水準で上演し続けてくれることを望むばかりです。

Posted by: Steppke | April 06, 2014 at 12:58 AM

Steppke様、コメント、ありがとうございます。

ところでプログラムの前半と後半で役の名前が微妙に違っていましたよね。

来シーズンはどんなプログラムになるのかわかりませんが、2013/14シーズンのオペレッタが、これ一本だったことが心配です。

Posted by: Feri | April 06, 2014 at 07:39 PM

2013/14シーズンは、前半に Paul Burkhard の Das Feuerwerk も上演されました。
Musikalische Komödie とあり、第2次大戦後の新しい作品で、ほとんどミュージカルと言えるかも知れませんが、一応、オペレッタに含めてよいと思われます。(„Oh mein Papa“ が有名です)
以前は夏・冬シーズンとも3本ずつオペレッタをやってくれたのですが、最近は2本です。
オペラ(2013/14は『フィガロの結婚』)やミュージカル(同『ラ・マンチャの男』)が多くなっており、確かに心配ですね。

>>ところでプログラムの前半と後半で役の名前が微妙に違っていましたよね。
これは気付きませんでした。

Posted by: Steppke | April 06, 2014 at 08:56 PM

Steppke様、たびたびのコメント感謝。

そう言えば、今週はフォルクスオーパーの2014/15シーズンのプログラム発表ですね。

オペレッタがどうなるか‥気になって仕方がありません。

Posted by: Feri | April 06, 2014 at 09:08 PM

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