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July 31, 2014

オペレッタビデオ「Im Weißen Rössl am Wolfgangsee」

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2013/14シーズンも終わり、「オペレッタの話題」も少なくなりました。今夏は、メルビッシュがミュージカル「アナテフカ」なので‥

さて、先日、このブログに時々、鋭いコメントをお寄せ頂くSteppkeさまから、興味深いDVDを頂戴しました。作品はferiも大好きなベナツキーのオペレッタ「白馬亭にて」です。

実は、オペラの映像作品は舞台映像を録画したものも多いのですが、オペレッタに関しては、メルビッシュ以外、舞台のライブ作品が少ないのが現状です。

オペレッタの映像作品の多くは「オペレッタ映画」なのです。オペレッタ映画とは、「ザ・サウンドオブミュージック」のようなミュージカル映画と同じで様式で制作された作品です。昔は、結構、流行っていた時期があるのですね。feriもオペレッタ映画「白馬亭にて」の映像作品は持っています。

今回、Steppkeさまに譲って頂いた「白馬亭にて」の映像作品は、1994年10月9日に、「Bar Jeder Vernunft」というドイツ・ベルリンにあるシアター・レストラン行われた公演のライブ作品です。

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上演された場所が「白馬亭にて」が1930年に初演されたベルリンというのがミソ。ライブ作品なので、お客さまの反応を含めた会場の雰囲気もよくわかり、興味深い内容です。この作品は、「伝説のオペレッタ公演」として語り継がれているそうです。

シアター・レストランが会場なので、演奏はヴァイオリン(3名)、チェロ、コントラバス、ドラムにピアノを加えたアンサンブルです。映像を見ると、舞台の左側にある客席を急造のオーケストラボックスとして使用しているようです。

また、舞台が狭いため、合唱団やバレエ団の出演せず、出演者が少ないのも特徴です。
この作品のキャストは、以下のとおりです。

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-ヨゼファ:Fräulein Schneiderさん
-レオポルド:Toni Pfisterさん
-ジードラー:Max Raabeさん
-ギーゼケ:Gerd Wamelingさん
-オッティリエ:Lilo Pfisterさん
-ジギスムント:Ursli Pfisterさん
-ヒルゼルマン教授:Otto Sanderさん
-クレールヒェン:Meret Beckerさん
-カイザー・フランツヨーゼフ:Walter Schmidingerさん
-ピッコロ:Andreas Guglielmettiさん
-メイド:Meret Beckerさん
-郵便配達人ケティ:Monika Beckerさん
-庭師:Ursli Pfisterさん(前半のみ、後半はギズスムントになります)

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出演者の名前を見るとおわかりのように、Toni Pfisterさん、Lilo Pfisterさん、Ursli Pfisterさんは三兄姉です。これは珍しい。

演出は、オリジナルに近いのですが、舞台が非常に狭いこと、出演者が少ないこと、緞帳がなく場面転換が難しいことなどから、若干、異なっています。

また、会場となっているレストランの客席を巻き込んだ演出も特徴です。例えば、冒頭、観光客の対応をする場面では、レオポルトが舞台に近い客席に会計書を渡しています。

舞台袖がないため、ヨゼファやレオポルトなどの従業員は、舞台中央の白馬亭の中から出てきますが、訪問者であるお客さまなどは客席を通って舞台に上がります。

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弁護士のジードラーは「ウォルフガングゼーのほとりの白馬亭」を歌いながら自転車でさっそうと登場。客席内の円形通路を自転車で2回ほど回ってから舞台へ‥なかなか笑えます。

牛小屋の逢い引き場面はなく、有名な「世界はみな青色」は、白馬亭の前庭で歌うことになります。

第一幕の後半、主な出演者が参加して歌う「ウォルフガングゼーのほとりの白馬亭」ですが、メロディがドイツ・マーチ調になっているのには笑ってしまいました。続く傘を持って合唱する場面も、メリハリのある演奏と歌になっているのが特徴でしょうか。

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ジードラーとオッテリエのデュエット「我が愛の歌はワルツの乗って」は、踊りながら歌います。そして、ギーゼケが民族衣装に着替えて登場する場面は、なぜか客席から大受け。

この後、ヨゼファが「ザルツカンマーグートの唄」を披露しますが、その際、何とヨゼファのチューバを吹かせているのです。大胆な演出。なお、オッテリエはアコーディオンで参加します。なお、ヨーデルはありませんが、ピッコロやケティなどが加わった民族舞踊は健在。

ここで注目なのが、ギーゼケのGerd Wamelingさんが、コミカルなダンスを披露するところでしょうか。よくやります。

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ギズスムントやヒンゼルマン教授一行が到着する場面は、ほぼオリジナルどおりです。また、最初の内、クレールヒェンは野暮ったい服で、控えめな感じです。

白馬亭で再会したギズスムントとクレールヒェンが、すぐに湖に泳ぎに行くところは、最近多いパターンですね。また、この場面でギズスムントが「欠点は誰にでもあるよ」といって、帽子を取り、頭が薄くなっていることを開示します。

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カイザー・フランツ・ヨーゼフが登場する場面は、通常、大勢の人が集まるのですが、さすがに出演者が少ないため、主要な登場人物が合唱でアカペラの合唱でお出迎え。しかも、カイザーはお付きを誰も連れていません。

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カイザーを迎える祭のレオポルトの失態から先の演出は、オリジナルに近くなっています。白馬亭を去る決意をしたレオポルトは、皆の前で「進軍の歌」を披露する展開です。ここでは、客席から盛大な手拍子が‥

翌朝、ギズスムントが音頭をとって、レオポルト以外の出演者全員参加による合唱でカイザーのモーニングコールを実施。また、朝食前にカイザーがギズスムント、ギーゼケと談笑するシーンが加わっています。これは面白い演出ですね。

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ギズスムントがクレールヒェンの発音を発音を直す場面は、意外なことにオリジナルどおり山の避難小屋。照明と小道具で、雰囲気を出しています。

愛の二重唱は、タンゴ調の編曲になっており、避難小屋から一転、麓に戻り、2人がダンスを披露。一挙に積極的になったクレールヒェンがギズスムントをリードします。

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ベルリンで大評判になったオペレッタなので、地元の皆さんの反応が興味深かったのですが、皆さま、ノリノリ。手拍子もバンバンでます。ドイツにもいるのですねぇ オペレッタが大好きなおばさまやおじさまが‥ 会場が小さいことも影響しているのかもしれませんが、ウィーンのお客さまよりも反応は良い気がします。

カーテンコールの後、皇帝フランツ・ヨーゼフが奥から一人、登場して、例の「あまり高望みをしてはいけません、自分に合ったものか、少し低いところで我慢しておいた方が人生うまくいきますよ」という歌を披露して、お開きとなります。ただ、演奏とテンポがずれているのがご愛敬。

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さて、出演者で興味深いのは、脇役陣です。まず、映画にも出演していた俳優のOtto Sanderさんがヒルゼルマン教授役で出演していることです。

Feriはドイツ映画「Das Boot」で僚艦の艦長トムゼンを演じていた姿をよく覚えています。ヒルゼルマン教授は、白馬亭に到着した時、汽車のマネをするなど、結構、お茶目な面もあるのですが、Otto Sanderさんの演技が光っています。

また、Walter Schmidingerさんはオーストリア出身の役者さん。この人をカイザーに起用したというキャスティングは見事ですね。

ギーゼケを演じているGerd Wamelingさんはドイツの俳優さん。今では後進の指導を行うベテランの方です。この作品は、脇役に良い役者さんを起用しているところがポイントでしょうね。

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なお、残念なことにWalter Schmidingerさん、Otto Sanderさんともに2013年にお亡くなりになっています。

主役のヨゼファを演じるFräulein Schneiderさんですが、お芝居は上手ですが、歌はほどほど‥といった感じ。一方、レオポルドのToni Pfisterさんは、歌もなかなか聴かせるものがあります。ただ、このレオポルドが、完全なおばさんキャラのヨゼファに惚れるかな‥という疑問は残りますが‥

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ところで、この作品ですが、先ほどもご紹介したようにレオポルドのToni Pfisterさん、オッティリエのLilo Pfisterさん、ジギスムントのUrsli Pfisterさんは、本物の三兄姉。このキャスティングも見どころの一つになっています。

ジードラーのMax Raabeさんは、歌はまずまず。オッティリエとも息が合った演技を見せています。なお、このDVDですが、ドイツの放送局ZDFで放送された作品を再編集したようです。

Feriが、この作品を見て感じたのは、以前、ご紹介したウィーン16区のMetropol劇場で上演されたミュージカル「Rosen in Tirol」(詳しくは2013年10月12日の記事をご覧ください)を思い出しました。

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Metropol劇場はBar Jeder Vernunftよりもゆったりとした造りになっていましたが、雰囲気はよく似ています。映像を見る限りではBar Jeder Vernunftは、かなり詰めて座っている感じがしましたが‥

その昔、日本オペレッタ協会さんがやっていたアンサンブル方式のオペレッタとも、相通じるものがあるような気がします。このように考えると、ある程度、出演者を少なくした上で、客席数の少ない劇場で上演すれば、オペレッタも採算がとれるのかもしれません。

ところで来シーズン、オペレッタの上演が縮小されるウィーンとは対照的に、ミュンヘンではGasteig Münchenという会場でFreies Landes Theater Bayernというカンパニーがオペレッタを色々と上演するようです。

こちらは通常の劇場での上演ですが、「小鳥売り」や「白馬亭にて」などの演目が並んでいます。Feriも浮気したくなってきました。

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オペレッタ |

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Comments

Feri さん、
こんにちは、Steppke です。

DVD、楽しんでいただけたようで、良かったです。
Im weißen Rößl は、映像が少ないオペレッタ作品にしては珍しく、これが4種類目です。
その中でも、テンポの良さ、演出の面白さで、一番気に入っています。

場面は白馬亭の前庭をうまく利用し、登場人物やバンドを小気味よく使って、ちょっと Volkstheater の上演に近い感じでした。
「伝説」と言われるのも納得で(もちろん宣伝文句でしょうが)、この場に是非とも居たかったですね。
Bar jeder Vernunft は現在も営業しており、今年の12月からはミュージカル La Cage aux Folles がありますが、オペレッタは予定に無いようです。

登場人物では、Siedler 役の Max Raabe が印象的でした。若い頃(と言っても当時32歳)から、あの感じだったのですね。
Geschwister Pfister(Pfister 兄妹)というのは、本物の兄妹ではなく、Josepha 役の Fräulein Schneider も含めて、家族を装った役者のグループのようです。道理で、顔が似ていない訳です。10月に Komische Oper Berlin の Clivia に行く予定ですが、そこに出演しているようで、楽しみです。

オペレッタ好きには推薦したい DVD で、ヴィーンやドイツの店にはまだあると思います。ただ、PAL方式なのがちょっと難で、コンパチのプレーヤーが必要です。或いは、多分パソコンなら大丈夫でしょう。

Posted by: Steppke | August 03, 2014 at 12:10 PM

Steppke様

コメント、ありがとうございます。久しぶりに楽しめる作品で、私も「あの場所」にいたかった口です。恐らく私のノリだと、回りのドイツ人と意気投合したことでしょう。

>10月に Komische Oper Berlin の Clivia

これは楽しみですね。是非、ご感想を聴かせてください。

しかし2014年の秋、ウィーンではオペレッタは干上がってしまっているのが残念です。

Posted by: Feri | August 04, 2014 at 08:52 AM

Feri さん、こんばんは。

Komische Oper Berlin で、Clivia に行ってきました。いや~、最高でしたね。
Feri さんほど多くはありませんが、私もオペレッタ公演には来日公演・現地を合わせて130回を下らない上演に接して来ました。しかし、これまでで一番の舞台でした。

衝撃度からいっても、初めてオペレッタを観てハマった Die Fledermaus や、Sándor Németh さんの Feri bácsi に初めて接した時(ともに Volksoper の来日公演)に、勝るとも劣りません。1週間近く経ってもまだ興奮しており、思い出すと笑いが出て、周りに気味悪がられています。
なので、かなり長くなりますが、ご容赦。

オケは、舞台の上でした。第1幕では書き割りの裏に隠れていたのですが、第2幕の夜会の場では廻り舞台の上のひな壇に乗っているのが分かりました。場面によって様々な角度を向きます。
いつものように平土間1列目のほぼ中央の席で、ピットに蓋をして舞台を広げていたので、すぐ眼の前で繰りひろげられる笑劇に、面白さが倍増でした。

題名役の Clivia Gray は、アメリカの映画女優で絶世の美女のはずなのですが、これを演じたのがナンと男性..Im weißen Rößl am Wolfgangsee のDVDで、演出と Sigismund で出演している Christoph Marti(Ursli Pfister)です。これが、いわゆるオカマっぽいのではなく女性になり切っており、それも仕草の端々に私女優よという雰囲気を漂わせているのですが、歌を聞くと朗々たるバリトンなのです。しかも間近なので、オッサンが演じているのがモロに見えておかしくてたまりません。
相手役の Juan Damigo には、同じくDVDで Leopold の Tobias Bonn(Toni Pfister)。
その従姉妹で、国境警備の女性兵士軍団(アマゾネス)隊長 Yola は、DVD で Frau Josepha を演じた Andreja Schneider(Fräulein Schneider)でした。DVD でも完全なおばさんキャラでしたが、20年経って更に恰幅が良くなられており、それが初めての恋にときめく女性(本来はもっと若い娘役)を演じるので、抱腹絶倒です。しかも、第1幕では、何かあるとアマゾネス軍団を率いてすぐさま登場するので、際立ちます。
アマゾネス軍団の中心はダンサーですが、全員がマイクをつけて歌も歌い、驚きでした。その他の役も、すべてはまっていて、最高に素晴らしい舞台でした。

スピーカーをもろに使用しており、しかも役者声なので、音楽的な感動というものではないのですが、テンポ良く、踊りやコミカルなシーンも含めて全体としての完成度が高く、これぞオペレッタといったところです。

Clivia は、ほとんど知られていないと思いますが、1933年にベルリンで初演されたオペレッタで、美しいアリアや二重唱があり、乗りの良いナンバーもあって、名曲です。
愛聴盤だったLP(Juan 役は Peter Minich さん)が、残念ながらCD化されておらず、録音にも恵まれていません。
しかし、オペレッタ・ファンなら(でなくても)、ともかく楽しめる舞台だと思います。Komische Oper の座席には個人用モニターもついており、独・英・仏・土の4ヶ国語が選択できるので、筋も分かるでしょう。絶対のオススメです。
今シーズンにあと2回(1月下旬と2月上旬)あり、オペレッタ・フェスティヴァルの時期で他にも珍しい曲を聴けるので、もう一度行けないか画策しています。

Posted by: Steppke | November 01, 2014 at 04:31 AM

Steppke様、こんにちは。

今回はウィーンでお目にかかることができず、残念でした。

Komische Oper Berlinの「Clivia」、詳細なご紹介、ありがとうございます。雰囲気がよく伝わってきます。やはり独特の味付けのようですね。ところで、お客さまは、どのような方が多かったでしょうか?

そういえばKomische Oper Berlinも一時、オペレッタから離れていた時期があると思うのですが、最近、なぜ、復活したのか‥そのあたりの背景を知りたいところです。

ただ、私は残念ながら、ベルリンまでの遠征は難しいと思います。

ところでフォルクスオーパーでは「ルーナ夫人」をご覧になったかと思うのですが、こちらはいかがだったでしょうか?

例の集中上演による「弛み」がなかったかどうか、ちょっと心配しています。

Posted by: Feri | November 01, 2014 at 02:58 PM

客層は、Komische Oper という場所柄か、結構若い人も居ました。ヴィーンやバーデンのオペレッタ公演のようなご老人ばかりとは違い、普通のオペラ公演と同じような感じです。私の席のすぐ後ろは、子供2人の家族連れでした。

ここ数年はせいぜい1~2演目といったところでしたが、Komische Oper の今シーズンはすごいですね。プレミエは、Die schöne Helena、Arizona Lady(Konzertante)、Eine Frau, die weiß, was sie will! の3本で、特に後2者は相当の珍品です。
本当に、何かあったのでしょうかね?

Volksoper の Frau Luna も、その後の Clivia で印象が薄れてしまいましたが、非常に良かったと思います。
(別項でコメントさせて頂きます)

Posted by: Steppke | November 02, 2014 at 08:07 AM

Steppke様、こんにちは。

続報、ありがとうございます。客層の違いは興味深いところです。客層はフォルクスオーパーのミュージカルに近い感じですね。

ある意味、ちょっと新しめのオペレッタ(ミュージカルに近いもの)をセレクトしているところもポイントのような気がします。

Posted by: Feri | November 02, 2014 at 08:24 AM

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