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July 27, 2014

世界遺産 認定を受ける前に、受けた後に‥(その1)

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今日は「世界遺産にまつわる話題」をお届けしましょう。

日本では、先日、富岡製糸工場が世界文化遺産に登録され、休日には多くのお客さまで賑わっているようですま。さて、ご存じのようにオーストリアでは世界遺産として、下記の場所が認定されています。

-ザルツブルク市街の歴史地区(1996年)
-シェーンブルン宮殿と庭園群(1996年)
-ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観(1997年)
-ゼメリング鉄道(1998年)
-グラーツ市街 - 歴史地区とエッゲンベルク城(1999年)
-ヴァッハウ渓谷の文化的景観(2000年)
-ウィーン歴史地区(2001年)
-フェルテー湖/ノイジードル湖の文化的景観(2001年)
-アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群(2011年)

いずれも文化遺産として登録されています。日本では白神山地、屋久島、知床、小笠原諸島が自然遺産ですが、自然が豊かなオーストリアに自然遺産がないのが意外な気がしますが‥

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皆さまもご存じのように世界遺産は認定後、問題が発生すると「危険遺産リスト」に入ってしまうことがあります。さらに、世界遺産としての価値が失われたと判断された場合、認定取り消しも行われます。

日本では認定獲得に向けた活動は、各地で非常に盛んに行われていますが、実際は認定後の適切な維持・管理が極めて重要になってきます。

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初の認定取り消しになったケースで有名なのは、ドイツのドレスデン・エルベ渓谷。2009年の第33回世界遺産委員会で、初の登録抹消が決議されました。理由は市内混雑緩和のためエルベ川に掛けられることになった新しい橋が、「文化遺産にふさわしくない」というのが理由です。

日本人の感覚からすると、ドレスデン旧市街が世界遺産に認定されても良さそうな気がするのですが、実は、この地区は第二次世界大戦で大規模な空襲を受けて、完全に破壊されてしまったため、実質的に「新しく作った街」なので世界遺産には認められないのでしょう。

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そのためドレスデンでは「エルベ渓谷」が世界遺産に認定されたようです。Feriもエルベ川の市内クルーズに乗ったことがありますが、必ずしも全てが古い橋‥という訳ではなく、市内の中心部には当時から新しい橋も掛かっていました。

もちろん写真のような有名な鉄橋もありますが、市内交通の渋滞を緩和するため新しい橋は、この橋と市内中心部の間に建設することになりました。ちなみに左下の写真が、新しい橋の建設工事現場です(2008年に撮影しました)。

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ユネスコからの勧告に対して、ドレスデンの住民は、「自分たちの日常生活が犠牲になるなら、世界遺産の認定は返上してもかまわない」という判断を下しました(確か住民投票が行われたと思います)。ドイツ人らしい判断だと思います。その後、ドレスデンでは世界遺産に対して否定的になっているようです。

ただ、真剣な議論の末の結論であり、その後も観光客が途絶えることはないので、「世界遺産‥それがどうしたの」という判断は正しかったのかもしれません。

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このように世界遺産については、危険遺産入りや認定取り消しといったケースがあるためウィーン歴史地区、グラーツ市街、ザルツブルク市街歴史地区などでも建物の新築には厳しい規制がかけられており、不釣り合いな近代的な建物が建つことは少ないようです。

グラーツ市街歴史地区と言えば、ご存じのように奇妙な形をしたクンストハウスがあります。クンストハウスは、グラーツが2003年に欧州文化首都になったことを記念して建設された芸術文化施設です。

ということは世界遺産に登録された後‥ということになります。鐘楼から見ると、奇妙な形が際立っていますが、実は建物の高さを抑えていること、黒をベースとした色のため、ロードサイドから見ると、以外と目立たないのです。このあたり、世界遺産の認定取り消しにならないように配慮したのかもしれません。

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なお、トップの写真をご覧になるとおわかりのように、グラーツの市街歴史地区には、高層ビルはありません。

また、市内中心部から少し離れたところにあるエッケンベルク城も、実は路面電車で行くとわかるのですが、途中には工場や住宅、スポーツ施設、学校などが建ち並んでいます。

しかし、エッケンベルク城周辺については、景観を配慮した街づくりがなされており、高層の建物はありません。とくに借景となる背後の山については、手を入れていないようです。

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また、終車上もエッケンベルク城の構内にはなく、少し離れた場所に設けられています。

市内の中心部から少し離れた場所にある有名観光地ですが、飲食施設は正門前にカフェが一軒あるだけです。
Feriも久しぶりに行って感じたのですが、観光名所には違いないのですが、住民の「憩いの場」になっていることです。このあたりも日本の観光地とはずいぶん趣が異なります。

ちょっと長くなってしまったので、続きは明日、お届けしましょう。


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