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September 05, 2014

ムールタールバーン120周年<動画つき>

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9月6日には、久しぶりに「Volksopernfest」が開催されます。衣装などが出展されるフリーマーケットをはじめ、バックステージツアー、オペレッタクイズなど趣向を凝らしたイベントが目白押し。本当はFeriも行きたいのですが、今回はどうしても外せない所用があって、パスです。Volksoperの皆さま、ごめんなさい。

さて、今日は「鉄道の話題」をお伝えしましょう。

シュタイヤマルク州Unzmarkt-ザルツブルク州Tamsweg間65kmを結ぶ狭軌鉄道Murtalbahnが、今年、開業120周年を迎えます。

開業は1894年10月8日ですが、当初、路線はTamswegから先のMauterndorfまで延びていました(76km)。しかし、線路の幅は標準よりも狭い狭軌鉄道(Murtalbahnは760mm)で、65kmもの長距離を走っているのは珍しいと思いますが、建設期間はわずか1年ほどだったそうです。

トンネルや大規模な橋などがないために建設期間が短かったのだと思いますが、それでも驚異的なスピードですね。

経営母体については、第二次世界大戦の影響などもあり、何回か変わっていますが、現在は、シュタイヤマルク州営鉄道(Steiermärkische Landesbahnen)の一路線という位置づけになっており、開業時から東側のUnzmarktでÖBBと接続しています。

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開業から現在に至るまで非電化で、今はディーゼルカーによる旅客輸送とディーゼル機関車による貨物輸送を行っています(左の写真はMuruにある本社社屋。軒下に開業年が掲げられています)。

さて、Murtalbahnですが、林業が盛んなムールタールの木材を輸送することを主たる目的に建設されました。ちなみに、鉄道が開通するまではムール川を利用して木材を搬出していたようで、鉄道の開通により、木材輸送の70%をMurtalbahnがに担うようになったそうです。確かに川を使った輸送よりも、安全性も高く、効率的ですからね。

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しかし、その後、ご多分に漏れず、平行する道路が整備されたことにより、主力だった木材輸送も徐々に道路輸送に切り替えられていきました。そのため、さすがに全線を維持するのは難しくなり、1982年1月9日にLungau側(西側)のMauterundorf-Tamsweg間が廃線となりました。

さて、現在、Tamsweg-Murau間には97号線、Murau-Unzmarkt間は96号線という道路が通っています。いずれも片側一車線の一般道ですが、街中をのぞく制限速度は80km/hなので、制限速度を遵守していても、ディーゼルカーの旅客列車よりも速く目的地に到着することができます。

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そのため、現在では旅客輸送は極めて低調で、車を運転できない方や、レジャー客などに限られているです。この当たりは、日本のローカル線と事情が似ていますね。

なお、このディーゼルカーはお客さまの自転車を同時に運ぶことができるようになっており、夏の間は、片道列車を使い、片道はサイクリングという家族連れライダーをよく見かけます。

ちなみにTamsweg-Unzmarkt間の全線を直通する旅客列車ですが、平日は1日6往復、休日・祝日は3往復の運転です。このほかにTamsweg-Murau間、Murau-Unzmarkt間の区間列車もありますが、運行本数が少ないですよね。

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また、鉄道代行バスも運転されており、休日・祝日は列車の運行本数が少ない分を補っています。これは運用コストの関係だと思われます。

このように旅客列車が極端に少ないにもかかわらず、現在でも狭軌鉄道として生き残っている最大の理由は、貨物輸送が行われているからなのです。

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木材の輸送こそ減りましたが、燃料や各種荷物などを運んでおり、本社があるMuruに行くと、大量の貨車が留置してあります。

ただ、狭軌鉄道なので、ÖBB本線から貨車の直通はできず、Unzmarktで荷物の積み替えが必要になります。これが、ある意味、ネックなのかもしれません。ただ、最近では、積み替えが楽なコンテナを使っているケースも増えています。

それでも、経営は大変なようで、徹底的な合理化が図られており、駅員が常駐する駅は本社があるMuruくらいで、その他はほとんどが無人駅(もしくは平日のみ駅員が常駐)となっています。さらに駅舎のある駅も非常に少なく、停留所のような駅が大多数です。そのため、乗車券は車内で買うことになります。

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さて、Murtalbahnで有名なのが動態保存の蒸気機関車を使ったDampfbummelzugです。毎年、6月中旬から9月中旬までの期間、Murau-Tamsweg間は火曜日と木曜日に運転されています。

基本的に火曜日はMurauを拠点にするお客さま向け、木曜日はTamswegを拠点にするお客さま向けにダイヤが組まれています。

Murau-Tamsweg間は谷が狭くなっており、列車はムール川沿いの風光明媚な場所を走りますので、毎年、人気がありますね。最近では団体でご利用になるお客さまも増えているようです。

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こちらのDampfbummelzugには、必ずBarWagenが連結されており、ビアをはじめとするアルコール類も提供されています。このあたり、大人も楽しめる工夫がお見事。なお、Murtalbahn にはSteirebarとMurtalbarという2両のBarWagenがありますが、一応、食堂車扱いになっています。

Murtalbahnでは5両の蒸気機関車を保有していますが、予算の都合もあるのか、現在、動態で維持されているのはBh1(1905年 Krauss -Linz製)とU11(1894年 Krauss-Linz製)という2両だけになってしまいました。

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とくに人気があったのは、大型鉄道模型レーマンで模型が販売されていた「STAINZ」の愛称を持つ小型機関車です。Feriは、一度だけ「STAINZ」が特別運転で使用されているのを見たことがありますが、その後は、ずっとMurauの車庫で眠っています。是非、復活して欲しい機関車ですね。

一方、1982年に廃線となったMauterundorf-Tamsweg間については、その後、Club760という鉄道ファンの団体が買い取り、1988年6月からTaurachbahnという名前の保存鉄道に衣替えしました。

現在は6月中旬から9月中旬まで、土曜日・日曜日(7月・8月委は金曜日も)、Club760保有の蒸気機関車を使ったDampfbummelzugが運転されており、こちらも人気を集めています。

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ちなみにTaurachbahnの鉄道運行はMauterindorf―St.Andrä間で、St. St.Andrä―Tamsweg間については線路はつながっているものの、通常、列車は運行されていません。ただ、線路がつながっているため、ごく希に、Murtalbahnと臨時列車の直通運転が行われることがあります。

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ちなみに、左の写真はかつて直通臨時列車を引いてMuruまで乗り入れたTaurachbahnの蒸気機関車(699.01の赤い機関車)です。この時、Tamsweg-Muru間はMurtalbahnのU11との重連になりました。

さらにClub760が運営する「Schmalspurbahn-Museum Frojach」がMurtalbahnの沿線にあるFrojach-Katschtal駅構内にある関係で、Taurachbahnと車両の交換なども行われているようです。

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Feriが最初にMurtalbahnを訪ねたのは、開業95周年を迎えた頃です。日本の地方鉄道が国鉄から第三セクターに転換した路線も含めて、経営の苦しさから廃業していることを考えると、正直なところ、よく狭軌鉄道のまま120年も続いていると思います。

なお、オーストリアには、このほかにも現役の狭軌鉄道が存在していますが、いずれも貨物輸送が中心になっているようです。このあたりの考え方の違いが、鉄道存続の要素になっているような気がしますね。

なお、10月10日には開業120周年を記念して、蒸気機関車牽引の「Festveranstaltung 120 Jahre Murtalbahn」がMurau-Tamsweg間で運転されるほか、Murau駅構内でイベントも開催されることになっています。

それでは、最後にDampfbummelzugの動画をお楽しみください。

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