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November 29, 2014

今年30周年を迎えたVOR

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今日はウィーンを中心とした公共交通機関を支える「縁の下の力持ち的存在のVORの話題」をお届けしましょう。

公共交通機関に興味関心のある方以外はVORと言われても“それ、何ですか?”という感覚だと思います。

VORの正式名称はVerkehrsverbund Ost-Region (VOR) Gesellschaft m.b.H.と言います。非常に日本語に訳しづらいのですが、東部運送協会(公社に近い組織です)といったニュアンスでしょうか。

このVORですが、実は2014年6月3日に運用を開始して30周年を迎えました(設立は1974年6月)。

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実は私たちが日ごろ何気なく使っているウィーン市内の地下鉄、路面電車、バス、Sバーンなどは、全てVORが運営に深く関与しているのです。

通常、ウィーンで公共交通機関を使う場合、市内であれば2.2Euroの1回券を購入することで、同一方向であれば乗り換えの都度、乗車券の購入は不要です。

隣の駅や停留所までだと、正直、割高ですが、実際の運行会社を問わず同じチケットで乗車できるところが大きなメリットだと思います。

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もちろん、ウィーンでも、昔は日本と同じように運営会社毎に運賃を支払うシステムでした。Wiener Linien(ウィーン市交通局)だけを使っていれば大きな問題はありません。

しかし、民間バス会社が運行している路線や、ÖBBが運行しているSバーン(一応、オーストリア連邦鉄道の路線です)に乗車するときは、別にチケットを買う必要があった訳です。

これは公共交通機関の利用を促進する上で、大きなデメリットであることから、VORという運営公社が設立され、運賃管理を一元化することになりました。

このVORですが、サービスを受けるエリア内にあるウィーン市、ニーダーエスターライヒ州、ブルゲンラント州が株主となっています。

ちなみにVORのパートナーとなっている鉄道会社、バス会社は、以下の各社です(アルファベット順)。

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-Blaguss
-Busam
-Dr. Richard
-Gschwindl
-Kolda
-NÖVOG
-ÖBB Personenverkehr
-ÖBB Postbus
-Partsch (Autobusunternehmen)
-Raaberbahn
-Wiener Linien
-Wiener Lokalbahnen
-Wiener Neustädter Stadtwerke
-Zuklinbus

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ニーダーエスタライヒ州やブルゲンラント州が含まれているため、意外とパートナーとなっている会社が多いですね。ちなみにパートナーの会社が運行する車両には、乗降口付近に「Partner im VOR」というステッカーが貼ってあります。

最も一般の皆さまが一番目にするのはウィーン市内の駅や停留所に張り出されている路線図だと思います。これにはVORのロゴがしっかりと入っています。

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利用者が一番気になるVORの運賃システムはゾーン制を採用したシンプルなものです。代表的なのはウィーン市内のZone100。このエリアは、VORに所属している、どの会社の路線を使っても、同一料金です。これはウィークリーパスやマンスリーパスなども同様です。

例えば、市内からシュヴェヒャート空港へ向かう場合、次のゾーンに入るため、2ゾーン分の運賃を支払うことになります。また、ウィークリーパスや72時間チケットなどが有効である場合は、1回券を追加で購入することで乗車可能です。

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Zone100の外側は、若干、ゾーンの区切りが複雑になっているようですが、それでも日本のように乗車する会社が代わるたびに別に定期券を購入するということはありません。

そのため、観光客の皆さまも24時間チケット、72時間チケットなどを最初に購入してしまえば、実際に運行する会社に関係なく自由に市内を移動することができる訳です。

このシステムは、ヨーロッパの都市交通では一般的になっており、こちらでは都市内の公共交通機関は運行会社を意識せずに利用できるのが当たり前といった感じです。

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ところで、Feriが疑問に思ったのは、「運賃の精算をどのようなシステムで行っているのか」という点です。

というのは、ウィーンにいらっしゃった方ならばご存じのように、こちらでは駅やバスの中にチケットに乗車日時を印字する機械はありますが、実際に乗車区間などをチェックするシステムは存在しません。

そのため、実際の乗車実績に応じて運賃収入を配分することは不可能です。恐らく何らかの統計データーを基に運賃収入を各会社にVORが分配しているのでしょう。

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日本の場合は、全て改札があるので、実際の乗車実績に応じて運賃収入を、相手の会社に支払っていると思うのですが、ウィーンは「どんぶり勘定」とも言えますね。

この縁の下の力持ち的存在のVORですが、西駅(WestBahnhof)構内に案内所が開設されており、路線図やグッズなどを購入することができます。また、TramwaytagなどのWiener Linienが開催する各種行事にもブースを出して、PRに努めています。

Schnellverbindungen_wien

ところで、日本では、ICカードの普及と運用範囲拡大に力を入れて、現在ではICカード導入会社であれば、ほぼ日本全国の鉄道、バスで一枚のICカードで対応できるようになりました。

これも便利なシステムですが、海外からのお客さまが東京で移動する際、デポジット制度のあるICカードを利用する人は少ないようです。

Bahnnetz_vor

そのため、乗り換えの都度、乗車券を買うのに苦労している外国人観光客の姿を見ると、VORのようなシステムを導入していれば、ずいぶん便利になるだろうなぁ‥と思うことがあります。

2020年の東京オリンピック開催に向けて、本来であれば自治体が主体となってVORのようなシステム構築できればベストでしょうね。

例えば山手線の内側はゾーン1、武蔵野線の内側はゾーン2といったようなイメージになるのでしょうが、日本の場合、ゾーン制運賃は馴染みがないですから、難しそうな気がします。


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