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December 21, 2014

バーデンの「チャールダーシュの女王」口パク事件

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今日、恒例の「フォルクスオーパーソリスト組合主催クリスマスバザー(Weihnachtsbazar)が開催されます。会場はフォルクスオーパーの向かいにあるCafe Theaterpause (Volksoperncafe)です。

開催時間は12時30分から21時00分までです。昨年、FeriはここでSándor Némethさんとお目にかかり、一緒に記念撮影を撮ってもらいました。今年、Feriは残念なが所用があって行くことができませんので、ご案内だけ‥

この時期、ウィーンにいらっしゃっている方は、フォルクスオーパーのソリストにお目にかかることのできる貴重なチャンス。是非、お越しください。

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さて、今日は「オペレッタで発生したアクシデントの話題」をお届けしましょう。

バーデン市劇場「チャールダーシュの女王」プルミエレポートでも、ちょっと触れましたが、第2回公演となった12月15日に、思わぬアクシデントが発生しました。

開演前、プルミエなどの場面以外では出てこないInszenierungのSebastian Reinthallerさんが舞台に登場。“実はシルヴァ役のJennifer Davisonが歌えなくなったため、Monika Rebholzが歌います”という「お詫び」が入りました。

まぁ、生身の歌手が歌うオペラやオペレッタの場合、主役に代役が起用されることは決して珍しいことではありません。Feriも、当然、Monika Rebholzさんが、カバー(代役)としてシルヴァに起用されるものだと思っていました。

ところが、オルフェウム劇場の場面で、出てきたシルヴァは、何とプルミエと同じJennifer Davisonさん。しかし、明らかに歌声に違いがあります。

しかも「私の故郷や山の中」の声量があり、素晴らしいオープニング。最初は、ことの顛末がよく理解できなかったのですが、オペラグラスで観察していると、何とオーケストラピットの中で歌っている女性の姿が‥ 

そう、オーケストラピットで歌っていた方が、影武者のMonika Rebholzさんだったのです(トップの写真で右下にMonika Rebholzさんが写っています)。つまりJennifer Davisonは「口パク」で舞台上に立っていた訳です。

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Feriが気になったのは、オペレッタ特有の「台詞の部分」。ここも「口パク」で逃げるのかと思っていたら、何とビックリ、台詞は全てJennifer Davisonさんがしゃべっていました。もしかしたら、マイクを仕込んでいたのかもしれませんが、確認はできず‥奇妙なのは、台詞の部分はプルミエの時と全く遜色がないのです。

Monika Rebholzさんは、完全に「歌の部分」だけ代役を務めたわけです。オペラでも、このようなケースは時々あるようですが、オペレッタの場合、お芝居の台詞が多い上に、重唱の場面もあり、オーケストラピットで「歌だけの代役」というのは、非常に難易度が高いような気がしました。

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実際、オーケストラピットの舞台側に陣取っていたので、舞台上の動きはほとんど見えないと思います。指揮者の指示が唯一の頼り。しかも、エドウィンやボニ、フェリ・バチなどは通常どおり、舞台上で歌っている訳でから、合わせるのも大変だと思います。

さすがに舞台上では移動しながら歌うため、シルヴァが舞台の左側によっている場面では、声が右側から聞こえているので、違和感はありましたが、それ以外のタイミングなどは、信じられないくらい見事に合っていました。

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1幕が終わった段階で、「種明かし」。指揮者のFranz Josef Breznikさんが握手をするタイミングで、オーケストラピット内のMonika Rebholzさんにスポットライトが当たりました。観客の皆さまからは、温かく盛大な拍手が‥

2幕に入る前、オーケストラピット内でMonika Rebholzさんがスタッフと打合せをしている場面も‥

そして、2幕、3幕もお芝居と踊りはJennifer Davisonさん、歌はMonika Rebholzさんという奇妙な役割分担で進みました。

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なお、代役のMonika Rebholzさんは、かなり気合いの入った歌い方で、歌だけ聴いていると、これは見事でしたね。

3幕のハイライト「ヤイ、ママン」も無事に終わり、後はお芝居の部分と合唱だけになるためか、オーケストラピットから姿を消しました。この時、「ヤイ、ママン」の、3回目のリフレインでは、ご本人が笑顔で手拍子をしていたので、これで終わったとほっとした瞬間だったのかもしれません。

そして、カーテンコール。最後に主役のシルヴァであるJennifer Davisonさんが登場したあと、Jennifer Davisonさんが舞台袖からMonika Rebholzさんを招き、劇場内は盛大な拍手とブラヴァの嵐‥

その後、指揮者のFranz Josef Breznikさんも登壇し、Monika Rebholzさんの労をねぎらいました。

ただ、素晴らしい歌いぶりだったMonika Rebholzさんにスポットライトが当たってしまい、無念の「口パク」になってしまったJennifer Davisonさんは、どんな心境新だったことでしょうか。

ふと、Monika Rebholzさんが舞台中央でお客さまの拍手に応えている時、指揮者のFranz Josef Breznikさんが、Jennifer Davisonさんの肩に手を回し、“歌手生活の中には、こんなこともあるよ”と慰めているような感じでした。

Feriも、2013年3月、フォルクスオーパーの「チャールダーシュの女王」で、1幕と2幕でシルヴァが変わってしまったケースを経験していますが、「口パク」は初めての経験でした(その時の模様はこちらから)。

ただ、バーデンの場合、予算の関係からなのか、主役級にカバーを用意していないというのは、正直、驚きました。

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実は、この話ですが、前日のプルミエの時から、その予兆はあったのです。というのはプルミエの際、15日にMonika Rebholzさんが居た場所に譜面台とイスが置いてあったのです。Feriは、途中でだれか奏者が入るのかと思っていたのですが、結局、最後まで空席のままでした。

もしかするとプルミエも、非常に危なかった可能性がありますね。ただ、さすがに「プルミエの主役が口パク」では、前代未聞の珍事になってしまうので、カバーを用意しつつ、無理をしてJennifer Davisonさんに歌わせたのかもしれません。

バーデンからウィーンへ戻る車中、webでMonika Rebholzさんのプロフィールを確認したところ、ドイツのご出身でオペラの出演も多いようですが、カールマンのオペレッタにも結構、出演されており、シルヴァも実際に舞台で歌ったことがあるようです。残念ながらFeriは、はじめて聴く歌手でした。

彼女のwebサイトを見ると、「チャールダーシュの女王」の舞台写真もあったので、ある意味、今回のカバーについては、余り不安はなかったかもしれません。

しかし、なぜ、本物のカバーとして、舞台上で演じなかったのかが、最後まで疑問。さすがにお芝居の部分の準備が間に合わなかったのでしょうかね。

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オペレッタ |

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Comments

Feriさん、こんにちは。

口パクで思い出すのが、映画「マイフェアレディ」。
ヘプバーン信者の多い日本では、誰も触れない?ようですが。
来年は5月にウィーンに行きますが、
その次はクリスマスシーズンに是非!
と、Feriさんのブログにかなり影響されています!
ぷいい

Posted by: ぷいい | December 21, 2014 at 11:36 AM

ぷいいさま、こんにちは。

私は昔からこの時期のウィーンは好きなのですが、最近は観光客の皆さんが異常に多くて、大規模なクリスマス市には足が遠のいてしまいました。

映画の場合、アフレコが多いので、実際、「口パク」は結構あるようですよね。ただ、ライブ、しかもクラシック系では、色々と大変みたいです。

私は実際に見たことはありませんが、劇場関係者の方のお話によると、色々な形でカバー(代役)さんが入って、大騒ぎになることも日常茶飯事だとか。

Posted by: Feri | December 22, 2014 at 04:54 PM

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