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December 18, 2014

バーデン市劇場「チャールダーシュの女王」プルミエレポート(下)

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昨日に引き続き、バーデン市劇場「チャールダーシュの女王」プルミエレポートをお届けします。

休憩を挟んで2幕へ。オープニングはリッペルト伯爵邸前ですが、夜会が開かれるため、黄昏時になっています。意外と芸が細かいのが特徴。

その後、リッペルト伯爵邸の大広間へ。出演している人は、人数の関係で当たり前だが一幕でオルフェウム劇場のお客さまだった合唱団の皆さま。

ただ、服装を変えているので、余り気になりません。オープニングは、挿入曲で、単独のバレエシーンが入っていましたが、夜会をもり立てる内容なので、不自然さはありません。なかなか良い演出です。このバレエシーンは、意外と時間をとっていましたね。

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2幕は大広間と書斎を交互に使う展開。エドウィンとアナスタシアが語り合う場面は書斎でスタートします。この時、エドウィンの様子が気になるアンヒルデが、書斎のドアをちょっとだけ開けて2人の様子を観察するなど、よく見ていると芸が細かいです。

そして、ボニと一緒にリッペルト伯爵邸にやっているシルヴァ。服装が、ボニ夫人らしく落ち着いた感じで良いですね。

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そして、例によって夜会の会場で“貴方をアメリカで見たことがある。たしか、シルヴァという名前で歌を歌っていた”と皆の前で、話し出す参列者も登場します。

また、エドウィンとシルヴァが、ブダペスト時代を思い出して歌う場面では、あえてオルフェウムの楽屋に場面転換していました。これは一ひねりというところ。

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2幕の山場、シルヴァとエドウィン、ボニとアナスタシアが揃って歌う場面は書斎です。そして2幕のフィナーレ、シルヴァが婚約証明書を皆の前で示し、エドウィンの裏切りが明らかに‥

シルヴァを裏切った形になってしまったエドウィンが大広間で、土下座をて、許しを請います。2幕は50分でした。

暗転でウィーンの某ホテルが舞台の3幕へ。ホテルの警備担当が変な客が入ってこないように入り口でチェックしています。そこへ、いきなりエドウィンが登場して、ホテルへ入る前に一曲、披露。

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この歌は、Feriは初めて聴きました。エドウィンが立ち去ると、ボニとシルヴァがホテルへ戻ってきます。

その後、ホテル内のバーに場面が移り、ボニとシルヴァがフェリ・バチと再会するお決まりのパターン。「ヤイ。ママン」はフェリ・バチ、シルヴァ、ボニの順に歌いますが、リフレインが2回という、なかなか粋な演出。

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さらに「ヤイ、ママン」では、バックにメリーゴーラウンドが登場し、他のお客さまもノリノリで盛り上がるという演出。
最終的に3回目のリフレインで退場するパターンでした。ある意味、王道と言える展開です。

3幕はお芝居が多いので、ダレる傾向があるが、フェリ・バチとアンヒルデの再会場面も、変にアンヒルデがハイテンションならず、余韻の残る再開にしてあったのが、気に入りました。

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その後、電話を使った芝居もテンポが良く、20分ほどで3幕がお開きとなります。

フィナーレはホテルのバーで、フェリ・バチが「みんなどこへ行きたい? ブダペストか? ウィーンか? いやここだ!」と言って、ニューヨークの公園へ場面転換。

ここで、サクソフォン奏者とジプシー楽団のコラボレーションで演奏が行われて、出演者一同が合唱して、お開きになります。

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この演出は、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの弾圧を避けてアメリカに渡り、カリフォルニア州に定住、1942年に市民権を得たカールマンへのオマージュでしょう。カールマンが最後にアメリカで住んだ場所もニューヨークですから‥

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○なかなか良いキャスティング
今回、エドウィンに起用されたReinhard Alessandriさんは、背も高く「いい男」なので、シルヴァが引かれるのも納得。近年、希に見るエドウィンです。歌役者として声量もあり、演技、歌ともに申し分ありませんでした。

また、ボニにChristoph Fillerさんは、歌やお芝居だけでなく、激しいダンスシーンも見事で、背が高いReinhard Alessandriさんとは対照的な雰囲気、その対比が良かったですね。

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タイトルロールのシルヴァはJennifer Davisonさん。プリマドンナらしい華のある歌役者さんですが、当日は歌の仕上がりが今ひとつという感じでした。

特にプルミエの際は声量が物足りない感じがしましたが、それには「裏」が‥しかし、シルヴァは難しいですよね。何しろ「歌姫」ですから‥冒頭の「私の故郷や山の中」で、決まってしまいますから。

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アナスタシアのAndreja Zidaricさんは、清楚な感じが役にピッタリ。歌と踊りも、期待通りでした。ボニにChristoph Fillerさんとのコンビもなかなか良かったですね。

レオポルト・マリア伯爵のWilhelm SeledecさんやアンヒルデのAndrea Zsadonさんは、舞台を締める重要な歌役者さん。ベテランらしい、見事な演技が光りました。

さて、「チャールダーシュの女王」と言えば、気になるのはフェリ・バチ役。Tibor Szolnokiさんは、1957年にブダペストで生まれの歌役者さん。何と言ってもブダペスト・オペレッタ劇場のアンサンブルだったので、期待できるところです。

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しかも2013/14シーズン、ブダペスト・オペレッタ劇場でフェリ・バチとして出演しています。

バーデンにも何回か出演しておりFeriは2008/09シーズンの「メリーウィドウ」のニグシュ役(詳しくはこちら)、2011/12シーズンの「ヴィクトリアの軽騎兵」のコルタイの従卒ヤンチ役(詳しくはこちら)として出演した際、Feriも観ています。

とくにニグシュの時は、お芝居が上手だったのが強く印象に残っています。ハンガリーの出身なので、ダンスシーンの足裁きなど、若い頃のSándor Némethさんに近い感じがします。

○安心して観られるオペレッタでした
演出、舞台装置ともにオーソドックスなもので、安心して観ることができるオペレッタに仕上がっていました。さすがに自分も「チャールダーシュの女王」のエドウィンとして出演していたことがあるSebastian Reinthallerさんらしい味付けです。

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バーデンの場合、舞台が狭いため、客席側からの出入りなどを設定することも多いのですが、今回はは珍しく、そういった演出はありませんでした。

最近のフォルクスオーパーが、シュタットバレエとの関係から、必然性の低いバレエシーンが入ることが多いのと対照的です。

バーデンの場合、劇場が狭いため、歌手の声量が問われることが少ないので、バランスがとれていれば、何とかなりそうな気がします。そういう意味では、キャスティングも比較的容易なのかもしれません。

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また、オーケストラが40名以下の編成ながら、見事な演奏を披露していたのには脱帽です。もちろん、フルオーケストラのフォルクスオーパーとは、数のハンデキャップがあるため「音の厚み」などで劣る点は仕方がありません。

しかし、極端に見劣りすることがなく、劇場の広さにマッチした演奏だったことが印象に残っています。逆に、あれ以上、大きな音で演奏しても、劇場にふさわしくないでしょうね。

この内容で、このお値段。ウィーンから遠征しても、十分おつりが来る見事な「チャールダーシュの女王」でした。

2015年2月まで上演されていますので、オペレッタファンの皆さま、是非、バーデンに足を運んではいかがでしょうか?


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