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January 15, 2015

Wiener Linienの新型路面電車が決まりました

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今日は「Wiener Linienが導入を発表した新型路面電車の話題」をお届けします。

以前、このブログでもご紹介したようWiener LinienではType Eと呼ばれる旧型路面電車の置き換え用に新型路面電車導入に関する入札を行っていました。

今回の入札にはULFを製造しているSIEMENSと、GrazやInnsbruckの路面電車など実績のあるBombardierが参加しました。

Wiener Linienが提示した新しい床の高さが、ULFでなければ実現できない10センチメートルから、若干、上がったことから、ULFの増備ではなく、Bombardierが有利ではないか‥という話がありました。これはWiener Linienが両社を競わせることで、車両価格を下げることを狙ったものです。

最終的には、巷の予想どおり、2014年12月にBombardierに決定しました。ULFも優秀な車両ですが、原設計が古いので、厳しかったのかもしれません。とは言ってもSIEMENSも手をこまねいていた訳ではなく、車いす用に通路幅を拡張するなど改良を施したULFプラスというモデルで入札しました。

このほか、ULFは特殊な構造となっているため保守コストが高い点が、ネックになっているようです。

新型車両はBombardierのFLEXITYというモデルをベースにしたもので、5ユニット、全長34メートル、定員は211名なので、5ユニットのULF(Type B)と、ほぼ同等の仕様と言えるでしょう。2018年から導入が開始され、2026年までに156編成が配備される計画です。

Wiener Linienが発表した完成予想図を見ると、新しいバスと同じようなカラーリングになっています。また、ULFが車体の間に車輪を付けていたのに対し、Bombardierの新型車両はGrazのように車体中央に車輪を設置する方式になっているようです。

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ちなみにイラストでは2000番台の番号が割り当てられていますが、この通りになるかどうかは定かではありません。

新型車両ですが、Bombardierのウィーン工場(Bombardier Transportation Austria GmbH、Donaustadtにあります)で製造されることになっている他、車両のメンテナンス契約も締結されています。SIEMENS同様、地元の経済にも貢献するという点も評価されたのでしょう。導入にかかる予算ですが、5.62億Euroと発表されています。

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今回の入札に破れたSIEMENSのULFですが、現在でもTypeA1(3ユニット)が増備されており、最終的にはTypeAが131編成、TypeBが171編成になる予定です。という訳で、今後、2018年以降はULFとBombardierの新型路面電車という2種類が活躍することになります。

余談になりますが、SIEMENSは、受注残のULF製造が終了すると路面電車の製造が途切れてしまいます。そのため、ベルリンで2008年にテスト運行をするなど、輸出に向けた働きかけをしていますが、今のところ受注には至っていないようです(左の写真は1月13日に放送された「Wien Heute」内で紹介されたベルリンでのデモンストレーション風景です。よく見ると正面にベルリン市の紋章まで入れています)。

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今後、ウィーンに拠点を構えるSiemens AG Österreichでは、Wiener Linienの地下鉄製造だけを続けることになります。技術伝承も含めて、これはかなりの痛手ですね。

新型車両の導入が完了すると、長年親しまれた旧型車両は、完全に消えることになるでしょう。鉄道ファンとしては、寂しいところですが、Type E2は最後に増備されたものでも、1990年製ですから、よく今まで使っていたと思います。

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なお、置き換え対象となっているType E2の4301号車~4324号車は、実はBombardier製なので、正統な後継車と言えるかもしれません。

実は、この話題は12月上旬に発表されたのですが、紹介するのを先送りにしていた理由は、入札に破れたSIEMENSが裁判所に対して異議申し立てを行ったため、最終的な決定が遅れていたためです。ただ、新聞報道などを見ると、各種圧力や裁判所に提訴したことなども含めて、Wiener LinienのSIEMENSに対する心証は、そうとう悪化しているようです。

先日、裁判所の判断が下され、Bombardierの受注が正式に確定したので、本日、ご紹介することにした次第です。ちなみにORFのニュースでは、入札確定で意気消沈しているSIEMENSと、自社製品のアピールに余念のないBombardierの対比が印象的でした。


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鉄道のお話 |

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Comments

うーん、地元としてはシーメンスの方が良いのでしょうけど、ボンバルディアに決まってしまった以上、致し方ないのかもしれません。ただ、裁判沙汰になってしまったので、今後は運営会社としてはシーメンスよりはボンバルディアに完全シフトになるのかどうか、気になります。地下鉄車両に関してはまだシーメンスなので、今後の延伸計画で車両増備が必要だとしても、それが終わったらどうなるのでしょうか?

Posted by: おざきとしふみ | January 16, 2015 15:52

おざきとしふみ様、こんにちは。

Bombardierもオーストリアに現地法人があり、そこで製造・保守を担当するので、地元経済には貢献することでしょう。

また、今回、あえてBombardierにしたのは、競争入札による導入コストの削減なので、将来的にはSIEMENSにもチャンスはありそうな気がします。

なお、ウィーンの新しい地下鉄車両は、実はSIEMENSとBombardierが共同で製造しています。

Posted by: Feri | January 16, 2015 19:55

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