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February 03, 2015

番外編 Alfred Eschwéさんの指揮に注目 新国立劇場「こうもり」

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1月に当ブログでお知らせした日本の新国立劇場で上演されたオペレッタ「こうもり」ですが、Feriの友人であるTさんが、2月1日に観に行き、その感想をメールで知らせてきました。本人の承諾も得たので、当日の模様をご紹介しましょう。

新国立劇場では、時々、「こうもり」を上演することがありますが、2014/15シーズンには久しぶりにレパートリーとして取り上げられました。

演出は、ハインツ・ツェドニクさんなので、2006年にプルミエを迎えた作品と同じ演出です。Feriも以前、観たことがありますが、なかなかきれいな舞台でした。

今回の目玉は、何と言ってもフォルクスオーパーでご活躍中のアルフレート・エシャヴェ(Alfred Eschwé)さんが指揮者に起用されたことでしょう。

当日の出演者は、以下のとおりですが、客演の歌手は、ジェニファー・オローリンさん以外、オーストリア出身者で固められている点も特徴です。まぁ、その方が安心ですが‥

-アイゼンシュタイン:アドリアン・エレート(Adrian Eröd)さん
-ロザリンデ:アレクサンドラ・ラインプレヒト(Alexandra Reinprecht)さん   
-フランク:ホルスト・ラムネク(Horst Lamnek)さん
-オルロフスキー公爵:マヌエラ・レオンハルツベルガー(Manuela Leonhartsberger)さん
-アルフレード:村上公太さん
-ファルケ博士:クレメンス・ザンダー(Klemens Sander)さん
-アデーレ:ジェニファー・オローリン(Jennifer O'Loughlin)さん
-ブリント博士:大久保光哉さん
-フロッシュ:ボリス・エダーさん
-イーダ:鷲尾麻衣さん
-演奏:東京交響楽団
-バレエ:東京シティ・バレエ団
-合唱:新国立劇場合唱団

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ちなみにFeriが2011年12月に観た時と、アイゼンシュタイン、プリントは同じ歌手の方でした。その時は、フロッシュがフォルクスオーパーでも活躍するフランツ・スラーダさんでしたね。

まず、フォルクスオーパーで「こうもり」を何回も聴いている友人も気にしていた演奏ですが、新国立劇場では楽器の配置がフォルクスオーパーなどと異なるため、響きにちょっと違和感があったようです。

もちろん、これは個人的な見解。ただ、全体的な旋律はシュトラウスのすぐれた解釈者であるエシャヴェさんらしく、なかなか見事だったそうです。Tさんは、カーテンコールでエシャヴェさんが舞台に立った姿を見て、懐かしさで一杯だったと言ってきました。確かに単独で来日することは少ないので、珍しい光景には違いありません。なお、エシャヴェさんの新国立劇場デビューは2009年の「魔笛」のようですね。

さて、演出は2006年にプルミエを迎えたものを基本にしているので、大きな変化はありませんが、お芝居中心の3幕での日本語台詞などに、若干、違いがあったようです。まぁ、日本語台詞はサービスみたいなものですから‥

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また、通常は2幕の夜会では男女のバレエ団が活躍しますが、新国立劇場のバージョンでは、男性ダンサーだけの出演でした。当たり前ですが、イーダのバレエはありません。何しろできる人がいませんから。

歌手陣では、以前も出演しているアイゼンシュタインのアドリアン・エレートさんは、安定した歌唱力とお芝居でした。ただ、女性に目がない軽い男というイメージがちょっと弱いような気がします。

一方、ロザリンデのアレクサンドラ・ラインプレヒトさんは、ウィーン国立歌劇場でもロザリンデを演じているので、見事な歌いぶりでした。申し分なし。そういえば2012年のフォルクスオーパー来日公演では「メリーウィドウ」でハンナに起用されていましたね。

フランクは当初、フランク・ブレースさんが予定されていましたが、ホルスト・ラムネクさんに変更となりました。ホルスト・ラムネクさんはツボを押さえた軽妙な演技で存在感を発揮していました。ただ、フォルクスオーパーで「こうもり」を何回か観ている友人のTさんは、どうしてもKurt ScbreibmayerさんやJosef Luftensteinerさんのイメージがあるため、どうもしっくりこなかったと言っていましたが、それは贅沢。

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オルロフスキー公爵は当初、アドリニエー・シモニアンさんがキャスティングされていましたが、健康上の理由からフォルクスオーパーでアンサンブルとして活躍するマヌエラ・レオンハルツベルガーさんに変更となりました。

マヌエラ・レオンハルツベルガーさんですが、フォルクスオーパーではオペラへの出演が多いですね。フォルクスオーパーではオルロフスキーに起用されたことはないかもしれません。

オルロフスキーのイメージに比較的合っていたようですが、ロシア貴族の退廃的な雰囲気はあまり感じられなかったとか‥まぁ、これは演出によるものかもしれません。

ファルケ博士のクレメンス・ザンダーさんですが、2幕で大勢の人が出演すると、ちょっと群衆に埋もれてしまう点が残念。歌やお芝居は水準でしたが、華が弱いのかもしれません。Feriもちょっと調べてみたのですが、クレメンス・サンダーさんは2001/02シーズンにフォルクスオーパーで上演された「ペンザンスの海賊」に出演していました。

今回、良かったのはアデーレのジェニファー・オローリンさん。フォルクスオーパーのアンサンブルとしても活躍していたアメリカ出身の歌手ですね。2012年のフォルクスオーパー来日公演では「ウィンザーの陽気な女房たち」でフルート夫人を務めています。

ぽっちゃり系の歌手なので、歌唱力も十分あり、演技もお茶目なところが良かったようです。ただ、2幕でアイゼンシュタインがオルガのお尻をタッチした際の悲鳴がおとなしかったとか‥なお、新国立劇場は初デビューだそうです。

Tさんも期待していたのが、3幕だけしか出演しないフロッシュのボリス・エダーさん。単独で歌う場面がないのが残念でしたが、例の怪演は健在。日本語のアドリブもふんだんに入れて、楽しいお芝居でした。ただ、歌やダンスもうまいだけに、ちょっともったいないキャスティングだったような気がします。なお、ボリス・エダーさんは2月12日の「オズの魔法使い」からフォルクスオーパーに復帰予定です。

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台詞が多いオペレッタの場合、日本人歌手にはハードルが高いと思います。そういう意味では、ブリントの大久保光哉さん、イーダの鷲尾麻衣さんは、結構、がんばっていたそうです。

日本では、最近、なかなか観ることができないオペレッタですが、なかなか楽しめたようです。ただ、しつこいですがお値段が高い席の席数が多いというのは、何とも‥

2月1日はマチネ公演で、かつグループが三つくらい入っていたらしく、9割程度は埋まっていたそうです。日本の場合、最近では、ご年配のお客さまが多いこともあり、マチネ公演の方が、入りが良いそうです。確かに余裕を持ってご自宅へ戻れますからね。極論すれば関西方面からでも日帰りが可能ですから‥

今回は友人Tさんの感想をご紹介しましたが、日本でご覧になった皆さまからのコメントもお待ちしております。
なお、2015年4月には新国立劇場でローラン・プティ振付のバレエ版「こうもり」も上演されます。これはなかなか楽しいバレエなので、オペレッタファンにもお勧めです。

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Comments

Feri さん、ご無沙汰しています。

金曜日(最後から2番目)の公演に行って来ました。で、感想を少々..

まず序曲からですが、Eschwé さんがとても丁寧に振っており、ちょっと重たく、はじける感じはあまりありませんでした。Volksoper ではもっと軽妙なのに、やはりオケが違い、劇場も大きいからでしょうか。この印象は、最後まで消えませんでした。
Adele の O'Loughlin さんが良かったですね。歌にオペレッタの華がある感じで、演技も面白かったです。
反対に Rosalinde の Reinprecht さんは、調子があまり良くなかったのか、叫び声に近い歌で、声は響きましたが感心しませんでした。しかし、第2幕のバレエ・シーン(ハンガリー万歳!)では、男性ダンサーと一緒に踊ったり、身の軽さを見せていました。

Eröd さんは、Werther での、あの陰険な Albert の印象が強いので、Eisenstein はどうもしっくり来ません。ただ、第3幕の登場時に Don Giovanni のアリアを歌ったり(彼は昨年10月に新国立劇場で同役に出演しています)、やはりヴィーンの人らしくお芝居は軽妙でした。
Lamnek さんと Leonhartsberger さんは、Volksoper にも出演されているとのことですが、私は初聴きでした。お二人ともなかなかだったと思います。Leonhartsberger さんは、Orlofsky にしては少し音が高い感じもしましたが、雰囲気は出ていました。
Sander さんは、これまでオペラ(Ariadne や Fra Diavolo)でしか接したことがなく、オペレッタは初めてでしたが、なかなか良い Falke だったと思います。

で、期待の Boris Eder さんですが、やはり Frosch では魅力が活きませんね。特に Gräfin Mariza の Zsupán での活躍や Frau Luna での Theophil の怪演を知っているだけに、Tさんも言われているように、もったいなかったです。

全体としてなかなか楽しめる公演でしたが、やはりヴィーンの、あの独特な雰囲気で観たい/聴きたい作品です。

Posted by: Steppke | February 07, 2015 at 03:51 PM

Steppke様、ご丁寧な感想をお寄せいただき、ありがとうございます。

日本では、この時期、風邪が流行っていますから、歌手の皆さまの体調維持が大変だと思います。

友人もEschwé さんの指揮ぶりがていねいだったという感想を持ったようです。

しかし、本来、オペレッタに出演している歌役者さんばかりではないので、そういう意味では大変だったかもしれません。

そう言えば2月中旬、フォルクスオーパーの「こうもり」はRudolf Biblさんが振るようです。

また、RosalindeはUlrike Steinskyさん、AdeleはAnja-Nina Bahrmannさんの起用が予定されているので、女性陣の活躍が期待できそうな公演になりそうです。

Posted by: Feri | February 07, 2015 at 05:28 PM

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