« 18区で“Verliebt in Fasching”がありました | Main | ここではお静かに‥Sバーンにサイレンスルーム »

February 16, 2015

ここまでやるか? フォルクスオーパーの「ビバ・ラ・マンマ」

Img_2015_02_0878_001_2

2014/15シーズン、フォルクスオーパーでオペラのプルミエとなるドニゼッティ作曲の「Viva la Mamma」。

歌手のローランド・ヴィラゾンさんが演出を担当したことで話題になりました。ドニゼッティの作品は好きなのですが、当初は観る予定にはしていませんでした。が、あらすじを見たところ、なかなかコミカルなドタバタ劇らしいことがわかり、8回目の公演を観ることにした次第です。

が、お話の筋以上に、第2幕「劇中オペラ」の演出に度肝を抜かれました。正直、歌手の歌唱力云々という話ではなくなってしまったのが、正直なところ。

指揮は女性のKristiina Poskaさん。主なキャストは、以下のとおりです。

-コリッラ(Corilla ):Rebecca Nelsenさん
―シュテファン(Stefano ):Ben Connorさん
-ルイザ(Luisa):Mara Mastalirさん
-マンマ・アガタ(Agata):Martin Winklerさん
-ドロテア(Dorothea):Elvira Soukopさん
-ウラジミール(Vladimir):JunHo Youさん
-指揮者(Der Dirigent):Yasushi Hiranoさん
-劇場支配人(Der Regisseur):Daniel Ohlenschlägerさん
-舞台演出家(Der Theaterdirektor):Wilfried Zelinkaさん

ルイザのMara Mastalirさんが、当日、Rollendebütでした。

Img_2015_02_0809_001

では、お話の筋に沿って、公演の模様をご紹介しましょう。

第1幕は、オーストリアの地方都市の小さな「歌劇場の稽古場」。演目は、イタリアのオペラ「ロムルスとエルシリア」。初演を3週間後に控え、稽古の真っ最中。

プリマドンナのコリッラは、自分の歌には満足ですが、演出コンセプトに納得できない様子(2幕になってわかりますが、確かにこの演出コンセプトだったら怒り出すのも無理はありません)。ロシアのテノール歌手ウラジミールは、イタリア語に苦しんでおり、演出家から厳しい指導が入るのですが、客席からは笑いがでる場面です。

一方、第二ソプラノのルイザとメゾソプラノのドロテアのどちらが、ロンドを歌うべきかという問題も持ち上がっています。問題山積の中、稽古が進む「ビバ・ラ・マンマ」。

Jmg_2015_02_0807_001

歌手たちは密かに指揮者と演出家の悪口を言っているのですが、当の指揮者、演出家に加え劇場支配人も新プロダクションの成功に自信満々。

そこへ、ルイザの母マンマ・アガタが登場。この人、役は女性だが、実は男性歌手のMartin Winklerさんが演じています。コミカルなお芝居や立ち振る舞いは、正にイタリアのマンマ。


親戚・知人でも稽古を見に来てはならないという指示を全く無視したアガタは、自分の娘ルイザこそロンドを歌うべきだと激しく訴えます。ステージママぶり全開です。

更に彼女は、プリマドンナのコリッラが以前は補助コーラスの歌手だったこと、コリッラの夫が街頭のマローニ売りだったことを持ち出します。

Img_2015_02_0818_001

以前の「マローニフランツ」はシュテファンという名前で、今はコリッラの夫でありマネジャーなのです。ゴシップネタで、役をもぎ取ろうという魂胆ですね。アガタとコリッラの最初の出会いからも、今後の険悪な展開に‥

そうした中、ロンドを歌わせてもらえないメゾソプラノのドロテアは劇場を去ってしまいます。その後、事態はますます混乱するばかり。

女王役が決まっていないので、アガタもシュテファンも、自ら舞台に立つ最高のチャンスと大いに張り切ります。男女や声域の違いも無視して、2人は女王役を歌おうと申し出て、劇場は大騒ぎ。

アガタの加わった稽古が大混乱のうちに終わると、テノール歌手も、あきれてプロダクションから去ってしまいます。

Img_2015_02_0819_001

劇場支配人は苦し紛れに、マンマ・アガタを女王役とし、シュテファンがバリトンであるにも拘らず、テノールであるロムルスの役を与えるという、とんでもない決断を。

そこへ劇場への公的補助金は不確実で、アンサンブルの人々には、劇場支配人がギャラの支払いに関して信用できないという噂が‥腹を立てた歌手たち、演出家、指揮者は、前払いを要求するのでした。何やら、実際にありそうなは話です。

Img_2015_02_0828_001

第2幕は、「初演2日前のゲネプロ」。興味深いのは、舞台上にオーケストラピットが出演している点です。つまり舞台上にオペラ座の舞台を再現してしまった訳です。

今度は、皆、本番用の衣装を着ているのですが、これがびっくり仰天。何と「スター・ウォーズ」に出てくるチューバッカ、R2-D2などが出ているではありませんか。

プリマドンナのコリッラは、相変わらず演出コンセプトに腹を立てていますが、確かに「スター・ウォーズ風」の演出だったら、腹も立つでしょう。妙に納得。

一方、自信を取り戻したルイザは、場合によってはコリッラの代役を務められるレベルに‥ シュテファンも自意識を強め、妻より自分自身の売り込みに熱心‥皆さん、自分が一番です。

マンマ・アガタは、ギャラを吊り上げようと試みますが、劇場支配人から追い出されそうになります。するとアガタは態度を変え、とにかく一度でもいいから歌わせてほしいと懇願。

Img_2015_02_0823_001

しかも、公演の費用を保障するため自分の貴重なアクセサリー類を担保にしてもよいと約束するのでした。目覚めちゃったのですね。劇場支配人にとって、今やアガタは初演に不可欠の存在になってしまいました。

さて、劇中、アガタの髪型をよく見ると、何となくレイヤ姫風。また、C-3POのような金ピカの衣装も‥何しろオペラの中身と衣装は全く関係ないようです。

最後にはR2-D2の中から、ヨーダまで登場したのにはびっくり仰天。後ろに並んでいる合唱団も「スター・ウォーズ」に登場するストーム・トルーパーを彷彿させるコスチュームです。

Img_2015_02_0843_001

ちなみにゲネプロの場面では、チューバッカが見事なダンスを披露し、観客からは拍手喝采。盛り上がること。ちなみに、本格的なダンスを踊るため、チューバッカは歌手とダンサーの2人が準備されていました。

ゲネプロでは舞台の背景もスター・ウォーズ調でした(第一作のポスターにイメージが近い感じです)。このほか、登場人物がライトサーベルを振り回しているのには笑ってしまいました。

完全に「スター・ウォーズ」のパロディです。しかし、ここまでやったのだったら、是非とも敵役のダースベーダーを出演させてもらいたかったところ‥ ルークやハン・ソロや出さなくてもいいが‥ 「スター・ウォーズ」の第一作を知っている人が見ると、おもしろさ倍増という感じです。

Img_2015_02_0838_001

さて、お話ですが、プルミエの直前に劇場支配人は、公的補助金が打ち切られたという知らせを受けます。しかしアガタのおかげで、公演費用は確保されており、無事、プルミエを迎えることができるという筋でした。ビバ・ラ・マンマ!

フォルクスオーパーの「ビバ・ラ・マンマ」はローランド・ヴィラゾンが演出を担当したことで話題を集めましたが、まさか「スター・ウォーズ」の世界観を取り入れるとは‥ヴィラゾンの構想力にはFeriも脱帽。昆虫がいっぱい出てくる「ツゥーランドット」も凄まじかったですが、こちらも、負けず劣らず。

歌手は、そこそこ声も出ており、オペラらしい展開なのですが、如何せん、演出が「スター・ウォーズ」風なので、そちらに目を取られてしまって、アリアをじっくり聴くという感じではありませんでした。

Img_2015_02_0853_001

これぞ、フォルクスオーパーでなければ実現できない「希代の珍演出」と言えるでしょう。劇中オペラとは言え「スター・ウォーズ」を下敷きにしてしまうのだから‥恐らく2015年に久しぶりに「スター・ウォーズ」の新作が上演されるので、その話題に乗った感じです。

なお、プログラムにも1977年版の「スター・ウォーズ」と見開きで2015年版「Viva la Mamma」が対比されているページがあります。

出演者では、何と言ってもマンマ・アガタ役Martin Winklerさんの怪演が光りました。彼の怪演が舞台を支えていると言っても過言ではないでしょう。また、今回、指揮者役でYasushi Hiranoさんが出演していたが、なかなか良い味を出していました。

正直、ドニゼッティの作品ながらじっくり鑑賞する芸術的なオペラではありませんが、腹を抱えて笑える‥そんな気楽なオペラです。


※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります

Br_decobanner_201105_v_02

オペラ |

« 18区で“Verliebt in Fasching”がありました | Main | ここではお静かに‥Sバーンにサイレンスルーム »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 18区で“Verliebt in Fasching”がありました | Main | ここではお静かに‥Sバーンにサイレンスルーム »