« 臨時更新 高速道路高架橋崩落事故 その後 | Main | 番外編 FOODEX JAPAN 2015 オーストリアパビリオン訪問記 »

March 06, 2015

珍演出炸裂 グラーツ歌劇場「メリーウィドウ」(下)

Img_2015_02_2397_001_2

今日は昨日に引き続きグラーツ歌劇場の「メリーウィドウ」後半の模様をお伝えしましょう。

休憩を挟んで後半は、再び男性陣による「女、女、女のマーチ」がフルバージョンで歌われました。休憩後にリフレインというのは珍しいパターンです。男性陣が歌い終わる頃、客席中央にハンナ、両側には女性陣が待機しており、歌い終わった段階で舞台に上ります。

ここで、最近流行の女性陣による「男、男、男のマーチ」になるかと思ったのですが、ちょっと様子が違います。客席から向かって舞台右側最前列のロージェを見ると小太鼓、コントラバス(コントラバスはロージェに入らないので、ロージェ前の舞台)、アコーディオンなどが陣取っているではありませんか。

そして、最初はハンナを中心にアカペラで歌いますが、意図的にコーラスが揃わないようにしているのです。そのうち、だんだん揃ってきたところで、アコーディオン、小太鼓、コントラバスの伴奏で歌が始まります。

Img_2015_02_2402_001

ただ、最初はおとなしい感じで歌います。凝っているのは、その後、舞台上部に字幕が出て、ハンナとヴェランシェンヌが“さぁ、女性のお客さま。上に歌詞が出ていますから、一緒に歌いましょう!”と呼びかけ、会場の女性を交えた大合唱となります。良くやりますね。

グラーツのお客さまは乗りが良いのか、結構、歌っている女性も多く、会場は一気にハイテンションに。なお、後半は男性のお客さまも手拍子で参戦できる工夫が取り入れられていました。

Img_2015_02_2404_001

「男、男、男のマーチ」が終わり、女性陣が退場すると、なぜか男性陣がバスタオルをまとった姿で舞台袖からずらりと登場します。風呂かサウナにでも入っていたという想定なのでしょうか。

最後にはハンナとダニロもバスタオルをまとった姿で登場。「お馬鹿な騎士さん」を、その姿で歌います。

ハンナとダニロが良い雰囲気になってきたところに、タオルを忘れた全裸の男性が登場。ダニロにタオルを課してくれと懇願。ダニロはハンナと一つのタオルを使い、男性に自分のバスタオルを渡します。

Img_2015_02_2412_001

この状態で最初の「唇は語らずとも」を歌うのですから、すごい演出。遠くから、その様子を見ていたニグシュが、ガンウを持って登場し、“女性だけです”と言ってハンナに着せます。気配り上手のニグシュが演出の鍵を握ります。

そして、舞台右側に布で覆われた東屋が登場。ヴェランシェンヌとカミーユ・ド・ロションが中に入っていくのはおなじみの展開。この時のカミーユ・ド・ロションのアリアは、非常に良かったですね。

Img_2015_02_2417_001

その後、ツェータ男爵とニグシュがやってきて、ツェータ男爵が東屋に入ろうとするのをニグシュが阻止。

ただ、ツェータ男爵が東屋まで行って、鍵穴から覗くという演出ではなく、例の木の下で覗いているフリをするような感じでした。ハンナとヴェランシェンヌの入れ換えも通常通り。ハンナがカミーユ・ド・ロションと結婚すると皆の前で、発表する展開も通常どおりです。

そして、ダニロが会場から去って行きますが、この時も客席側から退場していった。休憩後、ここまで40分ほど。

その後はお楽しみの第3幕、マキシムへ。ヴァランシェンヌがダンサーを引き連れて「グリゼッティンの歌」を踊りながら披露します。後ろには「MXM」の電飾が、上から下りてきます。

Img_2015_02_2421_001


フォルクスオーパー版ではバレエ団による踊りが、その後に入り、一気に盛り上げますが、グラーツ版では、1回でおしまい。ただ、その後、シルクハットをかぶったハンナがソロで登場して「グリゼッティンの歌」を披露します。

この時、男性ダンサーがハンナの回りを取り囲んで踊りますが、なぜか上半身は下着姿。最後は女性ダンサー、コーラスも加わって全員での大合唱となります。

ただ、この場面はリフレインも少なく、全体的にあっさりしており、この場面が好きなFeriとしては不完全燃焼です。

Img_2015_02_2429_001

ハンナは一旦、舞台から去り、その後、客席にいる男性(お客さま)の隣に座っています。そこへダニロがグリゼッティンを連れて登場。

ハンナを見つけて、隣に座っている男性を揶揄する仕草を‥実際、“俺の彼女に手を出すんじゃないよ”といったジェスチャーを披露します。このあたり舞台も客席も一体です。

ハンナはお客さまのほほにキスをして、舞台へ。いぁー、ラッキーなお客さま。Feriも当たりたかったところです。

ハンナとダニロのデュエット「唇は語らずとも」では、ヴァイオリン・ソリストが、奥のオーケストラスペースから2人の近くまで出てきて、伴奏をします。この後はお決まりの展開でしたが、全体的に3幕はあっさりしていた感じしました。それもそのはずで、3幕はわずか15分。

Img_2015_02_2432_001

カーテンコールは結構、長めに行っていました。特に最後は「女、女、女のマーチ」の演奏に合わせて、舞台袖からキャストが登場するパターンでした。

全般的にお色気ムード満載で、ニグシュが進行役を務める形になっていました。舞台装置は基本的にシンプルで、階段が基本。舞台袖の両脇がバーになっているだけで、後は2幕の「謎の木」以外は、何もありません。また、衣装も全般的に華やかさが弱い感じがしましたね。とくにハンナの衣装が、シンプルすぎる感じ。Feriとしては、パンツルックは不可。

Img_2015_02_2433_001

今回、最も残念だったのはオーケストラの演奏と歌手、合唱団の歌が極端にずれている場面が多かったこと。

これは舞台後方にオーケストラが陣取っていることから、発生したものだと思いますが、最近、これだけずれまくっている舞台を観たのは久しぶりです。最終公演までに調整ができなかったと言うのは本当に残念です。

通常、プロンプターさんが、歌い出しのタイミングなどを指示することがあるのですが、今回は、どこに陣取っていたのか確認できませんでした。

通常、このようにプロンプターボックスが使えない場合は、舞台に一番近いロージェをあてがうようですが、今回は、どうだったのでしょうか。

Img_2015_02_2434_001

オーケストラが後ろにいること、歌手がかなり前で歌うことから、声量については全く問題ありませんでした。

さて、歌手陣ですが、ツェータ男爵のGötz Zemannさんは、貫禄があるので、雰囲気は出ていました。コミカルな演技も堂に入っています。また、ヴェランシェンヌのSieglinde Feldhoferさんは、小柄な方ですが声も出ており、ダンスも上手です。ちなみに「白馬亭にて」では、オッティリエで起用されています。

ハンナのMargareta Klobučarさんは、セカンドクルーで声がきれいなタイプではありませんが、声量は十分(2001/02シーズンからアンサンブル入りしたようです)。

Img_2015_02_2445_001

フォルクスオーパーでは、あまり良い評価がないダニロのMarco Di Sapiaさんですが、今回は初のGrazということで、いつになく張り切って、飛ばしていました。声量も十分だったので、やればできるという感じもしたね。少なくともフォルクスオーパーのダニロよりは、良かったですね。ただ、伊達男という雰囲気が弱いのはいたしかたありません。

カミーユ・ド・ロションのMark Milhoferさんは、正直、風貌は今ひとつなのですが、歌と踊りは上手でした。

Img_2015_02_2436_001

人気が高かったのは舞台の進行を事実上、コーディネートしているニグシュのJános Mischuretzさん。ブダペストの出身らしく、今までに見たことがないニグシュ像を創り上げていました。

本編では出しゃばりすぎず、脇役に徹していましたが、なかなか見事なお芝居でした。なお、「ワルツの夢」ではモンチ中尉を演じています。

Feriは、終始、音ズレが気になって仕方がなかったのですが、お客さまの受けは上々。ご年配の方、若い方も本当に楽しんでいました。

Feriは、こういった珍演出は、邪道のような気がしてならないのですが、Grazの皆さまは、こういうのがお好きなのでしょうかね。

まぁ、少なくともグラーツ歌劇場の「チャールダーシュの女王」や、この前のフォルクスオーパー版「メリーウィドウ」よりは、まともに見えました。それにしても、色々と手を変え、品を変えがんばっているグラーツ歌劇場には脱帽です。

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります delicious

Br_c_3246_1gif

オペレッタ |

« 臨時更新 高速道路高架橋崩落事故 その後 | Main | 番外編 FOODEX JAPAN 2015 オーストリアパビリオン訪問記 »

Comments

Feriさん、こんにちは

前衛と言うのか、やりたい放題なのか、
グラーツってすごいですね。
芝居って、お客さんの求めているものを演る、
ことが基本だと思うので、そういうwantsがあるのかな?

5月のウィーン行で、ちょっとご相談が生じました。
addressへ返信いただけますか?

ぷいい

Posted by: ぷいい | March 06, 2015 at 05:09 PM

ぷいいさま、現地の方を対象としたオペラやオペレッタの場合、ありきたりの演出だと飽きられてしまっているため、ご来場いただけないことがあります。


そこで「新演出」となる訳ですが、さじ加減を間違えると地元のお客さまも離れてしまうことがあります。

ただ、今回のグラーツ歌劇場はお客さまの反応などから判断して、グラーツのお客さまの感性にヒットした展開だったような気がします。

Posted by: Feri | March 07, 2015 at 12:02 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 臨時更新 高速道路高架橋崩落事故 その後 | Main | 番外編 FOODEX JAPAN 2015 オーストリアパビリオン訪問記 »