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March 27, 2015

工事が進むSemmering-Basistunnel

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先日、発生したジャーマンウイングスの墜落事故は、墜落原因から事件になってしまい、正直、驚いています。「人の内面」にかかわる問題である上に、本人は亡くなっていますので、真の要因にはたどり着かないかもしれません。

さて、今日は「ÖBBのセメリングベーストンネルの話題」をお届けしましょう。

現在、オーストリアで進められている大規模な鉄道プロジェクトの一つがセメリングベーストンネル(Semmering-Basistunnel)です。

先日、グラーツへ行った際、Railjetの車内から工事現場をちょっとだけ見ることができました。

工事は2012年4月25日に着工されましたが、既にGloggnitz側の工事用取り付け道路が完全にできあがっていました。写真に見える橋(Schwarza川を越えるもの)の先がトンネル入り口になるようです。この橋は、現在は工事用車両が使っていますが、完成後は鉄道橋になる予定です。

掘削工事も大型の機械を使ったオーストリアお得意の「ニューオーストリアトンネル工法(New Austrian Tunneling Method、NATM)で始まっているようです。

セメリングベーストンネルは、Gloggnitz-Mürzzuschlag間、総延長27.3kmの鉄道専用トンネルです。

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ÖBBが公開している工事関連資料を見ると、完全な直線に近いルートではなく、一旦、南部に下り、緩やかなカーブを描くルートが選定されています(地図をご覧ください)。恐らく断層などを避けるためではないかと思われます。

さらに、こちらでもトンネル掘削による地下水の問題があるため、それを避けるようなルートが選定された可能性もあります。

ところで、日本の新幹線ではトンネルは複線で建設するのが一般的ですが、オーストリアでは長大山岳トンネルの場合、単線のトンネルを並列で建設するケースが多いことです。今回のセメリングベーストンネルも、単線並列方式が採用されています。

興味深いのは複線トンネルではなく、単線トンネルを並列で建設していることです。また、途中、上下のトンネルを結ぶ連絡トンネル(Querschläge)が500メートル毎に設けられることになっています。ただ、上下のトンネルは完全に並行という訳ではなく、40mから70mの間隔で建設されるそうです。

Semmering_basistunnel

さらにトンネル内にはNothaltestelleと呼ばれる緊急避難所が上下トンネルの間に設置されています。ここには地上につながる縦坑も設けられることになっており、緊急時には、この避難所から避難通路(Zwischenangriff)を通って、外へ脱出するシステムになっています。

ちなみに地上への避難通路は、Gloggnitz側からGöstritz、Fröschnitzgratzgraben、Grautschenfofの3箇所に設けられます。このうち緊急避難所があるFröschnitzgratzgrabenは、地表からかなり深い部分らしく、避難通路が縦坑方式になっています。

日本の鉄道トンネルでは、青函トンネルは海底部に入る直前に地上へ脱出するルートが確保されていますが、山岳トンネルでは地上への避難通路が確保されているという話は聞いたことがありません。これも考え方の違いなのでしょうかね。

Streckenausruestung_gross

さて、トンネル内の勾配ですが、平均8.4‰に設定されており、最高設計速度は230km/hになっています。

トンネルが開通するとこの区間の所要時間は旅客列車の場合、15分程度に短縮される予定になっています。現在が30分から45分かかっていますから、大幅な時間短縮効果が期待できる訳です。とくに貨物列車の時間短縮効果が大きいと思います。

ところで、気になる開通時期ですが、2015年現在、2025年の完成が予定されています。

先日、グラーツ空港の記事でお伝えしたGraz-Klagenfurt間のKoralmbahnも開通するとセメリングベーストンネルとの相乗効果で、Wien Hbf-Klagenfurt Hbfは大幅な時間短縮が実現すると思われます。

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鉄道のお話 |

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Comments

本格的に工事が進んでいますけど、将来はここをレイルジェット等の長距離列車が通るとなると、またヨーロッパの鉄道も大きく変わるのでしょう。来年はスイスのゴッタルドベーストンネル開業でミラノ~チューリッヒ間の所要時間が大幅に短縮されますし、イタリアヴェローナとオーストリアを結ぶ路線でも長大トンネルの工事が行われていますので、こちらも目が離せません。

Posted by: おざきとしふみ | April 03, 2015 23:05

おざきとしふみさま、こんにちは。

オーストリアは山岳トンネルの建設では高い技術力を持っていますが、予算面の方が大変そうですね。

また、興味深いのは貨物輸送の効果が強調されている点です。

Posted by: Feri | April 05, 2015 08:13

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