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April 01, 2015

40周年を迎えたオーストリア鉄道史協会(ÖGGEG)

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今日から4月。日本では新年度のスタートということで、話題の多い1日になるでしょう。日本からは桜の開花も伝わっており、週末はお花見‥という方もいらっしゃるのではないでyそうか。

こちらでは、今年は4月5日がイースターなので、3日が「聖金曜日」。イースターを迎えると、こちらも春本番という感じです。

さて、4月最初の話題は、「趣味の団体にまつわる話題」をお届けしましょう。

日本では鉄道愛好家向けの商業雑誌が多数発売されており、最近では一般の新聞や雑誌などでも鉄道関連の記事が掲載されるなど、鉄道を趣味とする人が多いような気がします。

反面、ちょっと気になるのは、最近、日本では鉄道愛好家の中に、暴走する人も多く、世間から白い目で見られているケースが出ているという話を聞きました。本当に残念でなりません。

ヨーロッパでは、鉄道趣味は古くから「大人の趣味」として広く世間から認知されており、各種の団体が設立され、独自の活動を行っています。

その一つに1974年に創立したÖGEG(Österreichische Gesellschaft für Eisenbahngeschichte、オーストリア鉄道史協会)があります。2014年には創立40周年を迎えました。

リンツで熱心な若い鉄道愛好家によって設立されたÖGEGは、民間の団体ながら、鉄道史協会という名称が示すように、蒸気機関車をはじめとする歴史的な鉄道車両の動態保存にも力を入れています。

この点、写真撮影や乗車することだけが目的のファンが多い日本とは、大きな違いになっています。「愛すべき鉄道車両を自分たちの手で保存し、後世に伝える」という使命感に基づいた活動を行っている訳です。

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基本的の鉄道愛好家の皆さんが、ボランティアとして協会の運営全般に参加しているのが特長です。ボランティアに参加しているのは、直機関士や整備士などの鉄道専門家だけではなく、消防士、料理人、技術者、彫刻家、画家、グラフィックデザイナー、一般の会社員など多岐にわたっており、「自分たちの持つ技能(労働力)で貢献しよう」という訳です。

「自分たちで車両や鉄道を保存することが趣味の醍醐味」と考えるヨーロッパの愛好家の考え方には、頭が下がります。もちろん、それだけではなく、寄付金も得て、協会を運営しているようです。

さて、ÖGEG は1976年には、保存を目的とした最初の蒸気機関車78 618を入手。以後、蒸気機関車を中心に各種鉄道車両の収集をはじめます。

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2007年からオーバーエスターライヒ州に「LOKPARK AMPFLWANG」という鉄道・鉱業博物館を運営するまでに至りました。鉱業博物館が併設されているのは、この敷地が鉱業施設だったことに由来するものです。

この博物館は、ÖBBの車両基地を転用したものではなく、鉱業施設の一部(専用線)を買い取り、博物館を建設したようです。そのため使用されているターンテーブルは、当初からここにあったものではなく、旧ドイツ国鉄のローゼンハイム機関区から移転されたものだそうです。

「LOKPARK AMPFLWANG」には、蒸気機関車は20両(動態保存・静態保存を含む。以下、同じ)、電気機関車・電車(16両)、ディーゼル機関車・ディーゼルカー(12両)をはじめ、客車、貨車など多数の車両が保存されています。ただ、電気機関車や電車に関しては、電機部品の入手難などもあり、動態保存は少ないようです。

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この博物館では隣接する路線が保存鉄道(MuseumBahn、Ampflwang -Timelkam 間10km)になっており、動態保存している蒸気機関車などを使い、定期的に特別列車の運転も行っています。

さらに狭軌鉄道(軌間760mm)の保存鉄道Steyrtalbahn(Steyr-Grünburg 間、17km)の運営も行っています。こちらでは蒸気機関車8両をはじめ、ディーゼル機関車、客車、貨車などを保存しており、夏期を中心に蒸気列車の運行を行っています。

さらに、ÖBBの営業線に、保存車両を使った臨時列車も運転しています。このあたり、法令の違いなどもあるとは思いますが、民間の保存団体が所有する車両が本線で営業運転をしてしまうのですから、たいしたものです。

最近では、鉄道車両の保存だけでなく、ドナウ川を航行していた船舶の保存にも関与しており、1912年に建造され、廃船となった蒸気外輪船「シェーンブルン」を1995年に取得。現在はドナウ川で動態保存も行っています。

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Feriが昨年9月に訪問したDeutsches Dampflokomotiv Museumで行われた「01er Dampf-Festival & Nacht der Sinne」というイベントに、オーストリア代表としてゲスト参加した2両の蒸気機関車(01 1533、38 1301)も、ÖGEGが所有するものです。

墺太利代表としてドイツのイベントに参加した訳ですから、運行に携わるÖGEGのメンバーも気合いが入っていたようです。また、ゲストとして呼んでいるので、特別列車の運行では、01 1533は、しっかり列車の先頭に立っています。

今回、お目にかけたトップの写真は、ウィーンで見かけたÖGEG40周年記念塗装を施した旧ÖBB1010型電気機関車です。資料によるとÖGEGは5両の1010型を所有していますが、1010.15号機は動態保存機の1両で、通常はTimelkamに置かれているようです。40周年の特別列車でも引いてウィーンまで顔を出したのかもしれません。

しかし、写真撮影や車両乗車、模型の収集といった比較的狭い範囲に限定される日本の鉄道趣味界を振り返ると、環境が違うとは言え、彼らの行動力、社会的な支持・支援には考えさせられるものがあります。

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鉄道のお話 |

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Comments

まぁ、日本に関して言うと、法律の問題や昔からの習慣もあると思いますが、どうも鉄道ファン自体の趣味が限られるのは事実です。実車の保存や運転となると、会社が何とかしてくれるだろう、という鉄道会社頼みの面が長年に渡って続いているのが当然の流れでした。ただ、ここへ来て、日本ではクラウドファンディングという形でJR北海道の711系を保存する為の資金を獲得したり、銚子電鉄の電車の修理費用を工面する事が出来たので、鉄道ファンの意識が変わってきたのも事実です。ですが、ヨーロッパ並みに行くかどうかは未知数です。あくまでもボランティアで活動して、企業がお金を出すというのはかなり難しいでしょうし、何しろ考えが違うので、そこまで行くのは難しいでしょう。技術的に優れていても、趣味的にはまだまだ限られた範囲でしか楽しめない日本の鉄道趣味を欧米の鉄道ファンはどう思うのか、聞いてみたいものです。きっと呆れてしまうのがオチでしょうけど・・・

Posted by: おざきとしふみ | April 03, 2015 23:20

おざきとしふみさま、コメント、ありがとうございます。

民間所有車両の動態保存には法的規制も影響していますが、まず、車両を民間で保存しようという「心意気」には脱帽です。

また、鉄道に限らず、彼らは趣味を通じて人とのつながりを大切にしているような気もしますね。

Posted by: Feri | April 05, 2015 08:15

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