PEOPLE's VIENNALINEとは?
今日は「航空会社の話題」をお伝えしましょう。
ご存じのように、現在、オーストリアで定期旅客便を運行している航空会社は、オーストリア航空グループ(Austrian Airlines Group)とニキ航空(Niki)の二社です。以前は、色々な航空会社がありましたが、競争の激化による経営統合により、社数が減って寂しくなりましたね。
そんな中、先日、シュヴェヒャート空港で変わったカラーリングの旅客機を見かけました。最初は外国のエアラインかと思ったのですが、機体には「VIENNALINE」という文字が描かれていた上に、機体のレジストレーション(登録番号)がオーストリア籍を現すOEだったので、オーストリアに関係のある航空会社のようです。
後日、調べてみたところ「People’s Viennaline」という新興航空会社であることがわかりました。
同社は2010年に設立され、2011年から業務を開始したそうです。現在、同社が保有している機材は、先日、オーストリア航空でも導入が発表されたエンブラエル社のEmbraer 170が1機だけ(登録番号はOE-LMK)。
この機材は、元フィンエア(いわゆる中古。2006年にフィンエアにデリバリーされた機材です)のもので、定員は76名です。
気になる運航路線ですが、Wien (VIE)とスイスのAltenrhein (ACH)間を結ぶ1路線だけ。
皆さんはAltenrheinという名前を聞いても、ピンとこないと思いますが、スイス東部の中心都市St..Gallenにある空港です。この空港ですが、従来はビジネス用のプライベート機の専用空港でした。
さらに詳しく調べてみると、正式名称は「People’s Business Airport St.Gallen-Altenrhein」。つまりPeople’s社が所有しているプライベート空港ということになります。ちなみに2枚目が、同社が提供しているSt.Gallen-Altenrhein空港の写真です。日本の離島にある空港のような感じですね。
当たり前ですが、プライベート空港なので定期便は、People’s Viennalineが初めてです。しかし、プライベート機の利用に特化した空港を民間が運営しているところが、スイスらしいですね。
ところでSt..Gallenから国際線が多数発着するチューリヒ空港まで鉄道で1時間ほど行くことができるため、プライベート機の利用に特化した空港にしたのでしょう。
ちなみに空港の所在地ですが、St.Gallen市内から離れたボーデンゼー湖畔にあり、滑走路は1本、長さは1500メートルです。ブレゲンツなどに行くのには便利そうです。
どうでも良い話ですが、プライベート空港なので、運用時間帯に昼休み(12時00分~13時30分)が設けられていました。公共空港では考えられませんね。
このほか同社では、同空港を拠点としてビジネスジェットのチャーター運航なども行っているようです(恐らく、こちらが本業でしょう)。
さて、People’s Viennalineですが、2015年の夏ダイヤでは、平日、3往復(週末は1往復)しており、フライトタイムは1時間ちょうどです。ちなみに便名に付く航空会社の頭文字はPEです。
運賃は最も安いものは、Wien-Altenrhein間が片道99Euro(税金等込み)なので、一見するとLCCのような感じがします。ただ、ビジネスジェットを運行している会社なので、LCCとは一線を画しており、機内食(軽食ですが)も無料で提供されています。夏の時期、アイスクリームなども提供されるのも面白いですね。
現在、手荷物の預け入れをはじめとするウィーンでのハンドリングはオーストリア航空に委託しているようです。
なにしろ小さい航空会社なので、工夫が沢山。機内誌が同社のホームページからダウンロードできるようになっていますが、全乗務員の紹介ページがあるなど、家族的な感じがする航空会社です。
さらにホームページでは、CEOをはじめ、全社員が写真入りで紹介されています。Feriは、ふと、設立当時のTyrolean Airways(チロリアン航空)を思い出しました。
このように小規模な航空会社が誕生する背景には、IT技術の進展により、航空券の予約や決済がインターネット上で行えるようになったことも大きいと思います。昔は、旅行代理店経由しか手段がありませんでしたし、高額な使用料が必要な予約システムを利用せざるを得なかったですからね。
ただ、同社は本社所在地がスイスなので、厳密にはオーストリアの航空会社とは言えませんが、機材がオースオトリア籍なので取り上げました。
さて、People’s Viennalineが、今後、新しい航空会社として支持を集めるかどうか、注目されるところです。
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