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July 14, 2015

Dampfbetriebstageの Strasshof鉄道博物館を訪ねて(上)

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今日は「最近のStrasshof鉄道博物館の様子」をお伝えしましょう。

Strasshof鉄道博物館(Eisenbahnmuseum Strasshof)では、開館期間中、定期的にイベントを開催していますが、その一つが“Dampfbetriebstage”(蒸気機関車運転の日)です。当日は、この博物館で動態保存されている蒸気機関車が構内を走るため、人気のあるイベントです。

当日の様子をお届けする前に、Strasshof鉄道博物館の概要を、改めてご紹介しましょう。

ウィーン郊外のStrasshofに鉄道博物館がオープンしたのは、「鉄道150周年」を迎えた1987年のことです。鉄道博物館の開設に伴い、それまでWestBahnhof近くのTechnisches Museum Wien(技術博物館)に展示されていた蒸気機関車の多くが移転させました。位置づけとしては、科学博物館の分館という感じです。

また、それに合わせて、一部の蒸気機関車を動態に修復した上で、鉄道150周年の中心行事であった車両パレード(Strasshofで実施)に参加させました。

しかし、鉄道車両の動態保存は、多額の費用がかかるため、継続するのは非常に大変です。鉄道150周年当時、オーストリア連邦鉄道(ÖBB)は、「国営」でしたから、ある程度、無理が利きました。

また、1985年に当時の西ドイツで、ドイツ連邦鉄道が開催した鉄道150年の記念行事(車両パレード)にも影響されたと思います。

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しかし、その後、ÖBBは民営化(株式は国が保有していますが)されたため、経費削減と収益性の向上が求められるようになり、正直、鉄道博物館も「お荷物」状態になってしまったようです。

Feriは2002年に初めてStrasshofの鉄道博物館を訪ねたのですが、平日だったこともあり、お客さまが極端に少なく、正直、「本当に開館しているの?」という印象を受けました。

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一応、入り口で入場料金を払って博物館の構内に入ったのですが、車庫内に保存されている車両はまだしも、屋外に展示してある車両は、事実上の放置状態。かなり痛んでおり、博物館の展示物というより、廃車になった車両が放置されているというイメージでした。


鉄道150周年に合わせて、華々しく開館当時を思い起こすと、そのギャップに愕然としたものです。

少なくとも日本の鉄道博物館、梅小路蒸気機関車館などをイメージしていると、その落差に、がっかり‥という感じになりますので、訪問される方は、それなりの心の準備を(笑)。

Feriは、ウィーンから近いこともあり、その後、何回か訪問していますが、いわゆるイベントが開催されていない日は、本当に閑散としています。

では、6月末にDampfbetriebstageの模様をお伝えしましょう。チケット売場の前には「heute:Dampfbetriebstage」(本日、蒸気機関車運転の日)の看板が掛かっていましたが、この看板は客車に取り付けられる行き先表示板を加工したものです。

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なお、当日は入場料金が9.5Euroにアップします(通常は7.0Euro)。まぁ、事実上の寄付みたいなものですね。

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物好きなFeriは、開館時間に合わせて10時過ぎに訪問しましたが、すでにかなりのお客さまが自家用車で来ていました。といっても、日本に比べると、非常に少ないですが‥

チケット売場で入場券を購入し、構内に入ると、懐かしい石炭が燃える匂いが‥ 蒸気機関車は、これですね。さっそく車庫前に行くと、車庫から今日、運転する蒸気機関車がディーゼル機関車に押し出された直後でした。

その後、ディーゼル機関車を従えた状態で、試運転を行い、運転準備完了。ディーゼル機関車も、もちろん保存機です。

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当日、運転されたのは、KkStB 30型という小型機関車。残念ながら鉄道ファン垂涎の大型旅客用機関車310型は点検中で、出てきませんでした。

このKkStB 30型という機関車ですが、ボイラー上に乗っている二つのスチームドームが太いパイプで結ばれている変わった形が特徴です。日本では、まずお目にかかれない珍品。

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この蒸気機関車(33号機)は、1897年にWiener-Neustadtの機関車工場で、当時のオーストリア国鉄(k.k. Staatsbahnen)向けに製造された小型機関車で、ウィーン市内や近郊区間での使用を前提に設計されています。

Stadtbahnの前身に当たる市内路線でも使用されていたようで、Verkehrsmuseum Remise(交通博物館)にも、現役当時の彩色写真が展示されていました。ある意味、ウィーンにゆかりの深い機関車と言えるでしょう。

KkStB 30型は、軸配置1C1のタンク機関車(炭水車を連結しないタイプ)で、全長11.3メートル、全高4.5メートル、空車重量43.5トン、最高速度は60km/hです。小さいように見えますが、動輪経は1298mmほどあります。

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KkStB 30型は、113両が製造されましたが、この33号機は1934年までÖBBに在籍していました。その後、GKB(Graz-Köflacher Bahn)に譲渡され、1960年まで、同鉄道で使用されていました。

さらに、民間の工場に払い下げられたようで、1973年に廃車となり、Technisches Museum Wienを経て、Strasshof鉄道博物館にやってきました。鉄道150年に合わせて1987年に動態復帰を果たしています。

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写真をご覧になるとおわかりのように、動態保存機だけに状態は非常に良く、真鍮の部分が磨き出されており、現役時代を彷彿させる整備状態です。

なお、右の写真は、今回、車庫内で整備中だった310型です。では、続きは、明日、お伝えしましょう。


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鉄道のお話 |

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Comments

はじめまして。興味深い記事ありがとうございます。
市電博物館は2回ほど行きましたが、ここは未踏でして、次回是非、という気でおります。
ここはとにかくボロボロのものが多数並んでいるとの定評なのですが、一方で同類のものがほかに現存していないものを「資料」として収蔵している、ということだと理解しております。学校のグラウンドの一角とか、個人宅とかいったところに譲渡されたものを再度引き取って、とにかく体系的コレクションとしていく、お金と手間がかけられる限り、一つづつ修復していく。修復できなくても、そのモノの持つ特徴や歴史的意義は説明ができる。この点はむしろ日本の同系統施設や機関にはない視点であると思います。モノさえあればなんとかなる、とは某氏の受け売りですが、まさにその視点であると思います。
どうしようもないように見えるボロボロを、ボランティアが主導して、何年も、場合によっては十数年でもかけて復元していくのがかの地の博物館の流儀と理解しています。

Posted by: S.Higu | July 20, 2015 21:31

S.Higuさま、コメント、ありがとうございます。

鉄道車両ではありませんが、ウィーンの中心部に建つシュテファンドームも、常時、修復工事が行われています。

このように息の長い活動を基本的な考え方にしていることがよくわかります。

このあたりは考え方の違いでしょうね。

Posted by: Feri | July 21, 2015 08:38

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